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再会、丸呑み

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 地底の悪意が嗤う。
 
 「グフフフフ……勇者よ、何と情け無いザマだ。どうした? もっと抗ってみせよ」

 ビジョンの中で犯される勇者。彼の瞳の中に、既に光は無い。
 その様を見て、悪意は何処か不満げに吐き捨てる。

 「……フゥッ、つまらん、つまらんぞ。駆け出しの勇者ではこの程度だとでも言うのか?」
 
 先代の勇者には散々煮湯を飲まされたが、これでは肩透かしを食らった気分だ。何ともつまらん、物足りん。

 ぎゅちっ。
 「お゛っ……♡♡♡♡」
 何かを締め上げる音と共に、苦しげな女性の嬌声が上がった。

 この程度で堕ちる様では目標とするモノへ到底届かん。奴等への示しも____っ、この様な弱者のッ……腹立たしいッ!

 憎悪が吹き出し、闇をより暗く染め上げる。その中を蠢く無数の蟲達。それらが悪意の代わりに嗤うが如く、気味の悪い音を立てる。

 「……そうか。そうだな。グフッ、グフフッ! そうだ、趣向を変えよう」
 静かに彼は頷き、また嗤った。

 再び悲劇の幕が上がる。哀れ勇者よ、果たして何処まで____

 ✳︎

 ____母さんの声が聴こえる。

 ユウ、ほら起きて、ユウ。

 うう、いいじゃん。凄く疲れてるんだ、今日くらいは許してよ。怖い夢だって見たんだよ? 眠った気がしないよ……

 ユウ! 起きてってば!

 ユイの声まで聞こえて来た。なんでそんなに元気なんだよ。ユイだって一緒に行ったじゃん。一緒に……そうだ、ユイと先生と三人で、ダンジョンに行って……

 ダンジョン。その言葉を思い浮かべた所で恐怖がフラッシュバックして、胸が苦しくなった。確かめずにはいられず、慌てて衣服を捲って股間を覗く。すると、あった。見慣れた相棒が。

 な、なーんだ。ホッとしたその刹那、それが蟲に変わって蠢き、ズルズルと這い出ていく。

 へっ⁉︎ っ⁉︎

 何を驚いてるの? と母。続け様に、ユウのち○こはもう無いんだよ? とユイが笑う。

 うそだ。これは夢だ、夢だ。ありえない。

 ふふふ、ユウ。ユウ。
 ____ユウ! ユウってば!
 ユイの声が響いて、次第にはっきりする。

 だって、こんなの……
 「ユウ!」
 「うわぁあああっ!」
 
 目を開けると、真正面にユイの顔が。飛び起きかけたが、途轍も無く身体が重くて持ち上がらない。

 「ユウ!」
 「あ……ああっ……」

 目の前の彼女よりもまず、股間に手を当てる。くちゅり。
 「んはっ……♡」
 無い。ズボンも無く、そこにあるのはじくじくと疼く、ついさっきまで弄られまくってたぐちょぐちょの患部だけ。蘇る屈辱の記憶に頭が痺れ、絶望感が心を覆いかけたその時だ。

 「ユウッ!」
 ユイに力強く抱き締められた。

 「ユウ! よかった……よかった! 生きてた! ユウ、ユウっ!」
 「ちょっ……ユイっ、いたいっ、くるしっ……くるしいっ……」

 力無くタップすると、途端に現実感が戻って来る。

 「あれっ、ユイ、な、のっ?」
 「そうだよ! もうっ! こんなにボロボロになって! 死んじゃったかと思ったじゃない!」
 「そっちこそっ……敵に、捕まってるのかと……」
 
 呆気に取られて、ぽかんとしてしまった。思う事は色々あった。しかし、それらを差し置いて心からの一言が涙と共に溢れ出る。

 「無事で、良かった……!」
 「うん……うんっ……!」

 しかし、感動の再会も束の間。ガリッ、ガリッ、と何かが近付いて来る音が。

 「っ、話は後にしよ。まずはここから離れなきゃっ」
 ユイはそう言うと、なんとオレの身体をひょいと持ち上げ、お姫様抱っこの形で抱え上げた。

 「えっ……えっ!?」
 魔法職な筈の彼女のあり得ない力強さに困惑する。「ふふっ、このダンジョンで手に入れた装備の力なんだ」と笑うけれど、プライドも含め到底受け入れられない。
 
 尚、文句の一つを口にする間も無く、彼女はオレを抱えたままそこから風の様に走り始めた。
 「わっ⁉︎ っ!」
 その挙動は最早重力を無視していて、出てすぐあの大きくて丸い緑の蟲に出くわしたものの、ひとっ飛びでその頭を越えていく。しかも、そのまま岩壁を駆け上がるなんて芸当まで見せられ、全く理解が追い付かない。

 「っっ!?」
  更に、高所に上がると、そこで自分がいつの間にか広い空間の一つの横穴に置かれてた事が発覚。穴の中、ないし岩壁には至る所に先程の物と同種の蟲達が蠢いており、悲鳴を上げそうになる。

 「ユっんんっ!」
 が、ユイに「お静かに、舌噛んじゃうから」と口を押さえられ、言葉は出ず。

 「しっかり捕まっててね。いくよっ」
 「んんんんんん!!」
 
 その後は景色が線の様に流れていく所しか見えなかった。轟々とした風の音が止むと、漸く「よし、ここまで来れば安心だね」とユイは言って、浮かぶ光球を二つに分ける。

 「…………っ」
 未だ夢の中にいるみたいで、でも、この安心感は確かで。また涙が溢れてきてしまう。
 「ふふっ、泣き虫」
 揶揄われた所で、そうだ、とすぐに訊けなかった事を訊く。
 
 「ぐすっ……先生、は?」
 「それはこっちが聞きたかった事だよ。私が先生と逸れた後何があったの?」
 「えっ?」
 「そっちはずっと抱えられてたじゃない、私は途中で……って、そっか。ユウ、気を失ってて……」
 「うん、気付いたら、一人だった……」
 「そう、なんだ……」

 一通り心の整理がつき、二人はその場で腰を下ろしてお互い話し合った。これまでの事と、これからどうするかを。

 「まず、ユウの装備探さない?」
 「……はっ」
 言われて今更恥ずかしくなった。色々あり過ぎて気にするのを忘れていた。一応余ったインナーの裾で隠れているものの、あくまでこちら側の視点だ。向こうからは見えてるかもと、それを更に下げて隠す。

 「ぷっ、顔真っ赤。かわいいー♡」
 「揶揄わないでくれっ! っ♡」

 その動作で不意に敏感な所が擦れてしまい、一瞬変な気分になった。すぐに取り繕って誤魔化そうとするも、当然バレる。

 「大丈夫?」
 「うあっ、ああ。大丈夫、ユイの回復魔法でだいぶマシになった」
 「……そう」

 身体の事と、蟲に何をされたかについてはあまり話せなかった。ユイもあまり深くは聞いて来ない。ただ表情を強張らせて、心配そうな目を向けて来るだけ。

 「なんか、っ、布とか巻く物無い?」
 「うーん、ごめん。無いなぁ」

 正直、布でもただ巻くだけだと多分ちょっと厳しい。擦れるだけで気が狂いそうになる。出血してる訳でも、ましておしっこ漏らしてる訳でも無いのに何かずっと濡れてる感じがするし____こんなの、本当にどうすれば良いのか分からない。
 
 「……その、ローブは」
 そう訊くと、彼女の顔が固まって仄かに赤くなった。反応を見て察する。
 「あっ、えっと……ごめん」
 そうだ、ここまで親身な彼女だ。脱げるなら自分から既に提案しているだろう。なんて事を訊いてしまったんだと反省する。
 
 「……こっちこそごめん。脱げない、かな。その、恥ずかしいとかよりも、私がこれを着てないと、ユウを守れない、し」
 「うっ、そう、だよね……」

 気まずくなってしまった。沈黙が流れるとぼーっとしてきて、途端に身体の火照りを感じる様になる。地べたは丁度なだらかで冷たい岩肌で、熱い患部がそこに触れる感触に意識が向いてしまう。
 
 (はぁっ。息が、あつい……っ、だめだだめだっ)
 首を振って何とか正気を保つと、ユイの方も沈黙に耐えかねたのか、言う。
 
 「ホントにごめんね? その、でも……」
 「っ、そんな、謝らなくていいよ。仕方ないっ、装備、探しにいこっ……っ♡♡」

 強がって立ち上がろうとした。でも、無理だ。腰が上がらないどころか、地べたと股の擦れる感触で気持ち良くなってしまう。
 「くぅっ……♡」
 
 いつの間にか、股下の濡れ滲みが隠し切れない程に広がってしまっていた。恥辱と劣情で顔を真っ赤にし、唇を噛んで蹲る。

 「……ユウ、無理しなくていいよ。私が頑張って装備と一緒にそれ治す薬探して来るから、ここで待ってて」
 「えっ……まってっ……っ♡」
 手を伸ばし置いていかないで、とまで言いかけたけれど、声も言葉も、何かもが情けなさ過ぎて途中で飲み込んだ。

 彼女は力無く下ろしていくユウの手を取り、額を当てて言う。
 「……大丈夫、すぐ戻るから」
 「……っ」
 
 決心したその表情に、何も言えなかった。額が離れ、絡められた手がするりと解けていく。
 「あっ……」
 
 そうして分けられた光源と微笑みだけを残し、ユイは何処かへ行ってしまった。
 
 しんとした暗所でまた一人取り残されたユウ。一度再会してしまっただけに、寂しさはより一層増す。
 「ううっ……」
 半べそかきながらぐるぐる考える。
 
 ユイは大丈夫かな? 治す薬探して来るとか言ってたけど、アテがあるのかな? 先生は、ユイが大丈夫なんだからきっと無事だよね。先生、心配してるかな? はやく、来てくれないかな。

 「…………っ」

 しかし、程なく考え事は尽きて孤独感が心を覆うと、また頭がボヤけてくる。
 「……っ、ふぅ……っ♡ ジャケット、重いな……」
 二人の事を考えたいのに、思い出してしまう。身体を弄ばれるあの感触が、思い出したくも無い記憶が甦って、蝕んでいく。
 「ふぅ……♡ ふぅっ……♡♡」
 お腹の下の辺りがきゅう、きゅうと締まる感じがして、切なさが溢れてきた。
 「ふぅーっ……♡♡ っ……♡ ふぅーっ……っ♡♡」
 息が荒くなる。整えようとしても上手くいかない。

 抑えられない。身体がいつの間にか前傾していて、腰が無意識にゆっくりと動いている事に気付いた時にはもう遅かった。
 「ふぅっ……んぅっ♡♡♡」

 濡れたツルツルの岩の上を股が滑る。すにゅっ、すにゅっ、くりっ。
 「んはっ♡♡♡」
 くりっ、くりゅっ、くちゅっ♡ 両手を地につけ、押し付ける。
 「あ゛ぁっ……♡ っ♡♡ あ゛ぁー……っ♡♡」

 ____このっ、くりくりってとこ♡ やっぱ、きもち、いいっ♡
 今までとは違う。かなり理性が残った状態で、自ら気持ち良い所を探してしまっている。

 「あ゛っ……やめないとっ……♡♡」
 
 ユイには危険な探索を任せてるのに、待ってる自分はこんな事をするなんて。あり得ない、最低だ。
 純朴な彼はその行為がなんであるか名前も知らないものの、本心から後ろめたさを感じ自身を恥じた。しかし、最早それはブレーキ足り得ない。

 「こんなとこっ♡ もどってきたユイにっ、見られたらっ……♡♡♡」
 
 どくんっ!

 「はっ……♡ はうっ♡ ふっ……♡♡ なん、でっ……♡」
 ____なんで、もっとコーフン、して……♡♡

 後ろめたく思えば思う程、何故か昂ってしまう。こんなのダメだ、恥ずかしい。恥ずかしい事が、恥ずかしい。しかし、そう感じる度に燻っていた情欲の炎に薪が焚べられ、勢いを増す。

 「はっ……う゛っ♡ うぅっ♡ ふっ、んぅっ♡♡」
 
 そう、その概念すら聞いたことの無いであろう少年の脳髄は、今やすっかり背徳による倒錯の味を覚えてしまっていたのだ。
 「はぁっ……♡ いや゛っ……♡♡」
 理性すら燃料となるという事実に怯えながらも、彼は確実に、着実に深みへ嵌っていく。いやだ、いやだと唱えつつも、頭の中であの陵辱の時間をプレイバックし、あの快楽を両手で再現しようとする。それが堪らない。やめられない。

 「っ……♡ っっ♡♡ んっ……♡ っ♡ はぁっ♡ くぅっ♡♡」
 
 浅ましく腰を振ってくちゅくちゅくりくり。片手は下についたまま、もう片手で胸を撫で始める。
 「はぁ……っ♡♡ っ?♡♡」
 ____ここ、こんな、やわやわだったっけ?
 胸部の肉感に違和感を覚えるも、硬い突起を指ですりすりくにくにすると、どうでもよくなる。

 「ふっ、あっ……はっ♡♡」
 もう一方の突起も肘を上手く動かして擦る。3つの突起が強い性感帯である事も覚えてしまった。

 「う゛っ♡♡ ふぅっ、ん゛んっ♡♡ っ♡ んぅっ……♡♡」
 いけない事と理解した上で、あの瞬間を求めて貪欲に貪り続ける。幼い彼が、教わってもいないのに妖艶な動きを繰り返す。一般常識的が未だ備わっていない者の倒錯的自慰行為。強烈な原初の発露は、一体彼を何処まで歪めてしまうのだろうか。

 腰をくねらせ、喘ぐ。
 「あ゛っ……♡ こ、れっ……えっ♡♡ らめあ゛っ、クるぅっ♡♡」
 
 上り詰める感覚。知ってる。アレが、もうすぐクる。
 満ちるのは、恐怖では無く期待。
 
 「あ゛っ♡ あっ、あっ……♡♡ っ♡♡ はっ♡♡ あっ♡♡ ああっ、あ゛ああっ♡♡ あ゛あああぁっ♡♡♡」

 キて欲しい。なのに、キて欲しくない。もう少し、もう少しだけ、もっと。
 寸前特有の切なさに胸が締め付けられる。それを何だか長く味わいたくて、腰と手を調整してしまう。

 「こんなのっ♡♡ はぁっ♡ さいてー、だぁっ♡♡ あ゛ぁっ♡♡ さい゛っ♡ てぇっ……♡♡♡」

 が、覚えたての快楽を御し切れる筈もなく。

 「____っっっっ‼︎♡♡♡♡」
 
 耐え切れなくなった彼は形にならない嬌声を上げ、股から大量の淫水をぷしぃっ! っと吹き出し呆気なく達した。

 ぷしぃーっ! ぷしっ、しっ! 
 「っ!♡♡ あ゛っ!♡♡ あ゛ぁっ!♡♡♡」
 痙攣の度汁が出て、股下の水溜りが大きくなる。その水溜りに股が触れる度余韻は跳ね、腰が浮く。

 ____め、ちかちかっ、あたま、ぴきぴきっ♡♡ 
 「あ゛っ……♡♡ っ♡♡ んぅっ……♡♡♡」
 からだ、ふわふわっ、して♡ っ……もどって、これないっっ♡♡

 前の様な荒々しい物では無いが、甘美で優しい余韻は中々冷めない。ただ力は入らないので、ゆっくりとうつ伏せに倒れ伏した。すると、
 「ぅあ゛っ……♡♡」
 不意に股が暖かくなる。溜まった物が、出て来てしまう。
 「はあ゛あぁ……♡♡♡ あ゛あぁ……♡♡」

 恍惚とした吐息が漏れ、微睡んだ。

 きもちいい。こんなに、はしたない事なのに。
 「っんぅ……♡♡」
 
 解き放った筈の熱が、またじくじくと腹の下に溜まってきた。おかしな事に前よりも更に刺激を求めて、きゅうきゅう疼いている。
 涙の溢れる瞳は揺れ、濡れた唇が告げる。もっと、もっとほしい。

 今度はナカを、と右手が股間へと伸びていったその時だ。
 「んっ……?♡」
 揺れを感じた。地面だ、伏しているその場が揺れている。

 突き上げる様な振動が徐々に大きくなった後、一度止まった。

 「……っ?♡」
 何だったんだろう、そう小首を傾げた刹那。下から大きな魔蟲が現れ、彼を突き上げた。

 「へっ⁉︎」

 そう、ダンジョンに安全な場所など無いのである。どれだけ静かで疎な場所であっても安心してはならない。ましてや、これだけ濃密なニオイを放ち、地に染み込ませるなど以ての外。

 「なにが、おきっ」
 訪れる浮遊感。宙に浮いた身体は全くの無防備だ。そこへすかさず蟲は大きな口を開け、彼の下半身にしゃぶりつく。

 「てぇっ⁉︎ くっ、う……⁉︎」
 急転直下、生命の危機に立たされたユウ。惚けた頭が一時期に晴れる。

 ____でかい、ヨウチュウっ……!?

 頭の大きな、円柱状の身体をした蟲だ。口には鋭い牙があるもののユウにそれは立てず、唇の様な物を窄めて腰から下を捉えている。

 それを手で押して必死に脱出を試みるも、やはり力不足。びくともしない。
 「ふんっ……ぐっ……くぅっ。くそっ……はなせっ」
 ぺしぺしと打撃に切り替えても効果は無し。そこまでやったところで、嫌な予感が走る。

 ____これ、下、咥えられて……まさかっ!

 にゅるんっ。
 「ふゃっ!?♡」
 予感的中。細長い何かが股を舐めた。即座に股を閉じるも、それは一本だけでなく複数伸びてきて、器用に両足を縛り開脚させて来る。

 「ばかやろなにしっ♡ てぇっ!?♡♡」
 滑りの塗布されたザラザラとした感触。それに密着され、前後に股を扱かれる。あまりにも酷な刺激だ。腰が抜けてしまう。

 「はっ♡ やめ、ろっ♡♡ このっ、つぶすぞっ、このっ……♡ このっ、クソムシッ♡♡ っ!♡♡♡」
 
 口ほどにも無かった。一度達したばかりの身体は余りにも敏感で、易々とその快楽を受け入れ、浸り始める。

 「っあ゛あぁ♡♡ やばいやばいやばいやばいっ……♡♡♡」
 これっ、じぶんでいじるよりも、クるっ!♡♡

 「やばっ、い゛っっっ!!?♡♡♡♡」
 
 達した。もう、達してしまった。ビクンビクンと腰が痙攣して、その度敏感な所がザラザラに当たる。
 「いあ゛っっ!♡♡♡ あ゛っ♡♡ ……あ゛ぁっ!♡♡」
 止まらない。響いて、擦れて、また。

 「はあ゛ああぁっっ!!?!?♡♡♡♡」

 連続の絶頂。前より大きい。ビリビリビリッ、頭が痺れる。

 「う゛ああぁっ♡♡ ああ゛あ゛ぁっ♡♡♡」

 舌を放り出して白目を剥き、淫らで無残な顔を晒す。こんな所をユイに見られたら、なんて考える隙は無い。

 「はあ゛っ、あああっ……♡♡♡」
 触れているザラザラの形が変わっていく。前と後ろの二つ、挿入る場所を探り当て、そこだけ隆起してくる。

 ずにゅにゅにゅにゅっ。
 「う゛っ、お゛おおお゛おっ??♡♡♡♡」
 
 つちゅっ。完全に奥まで到達。中も外もぴっちり満たされてしまった。腰を動かしても、もう何処にも逃げ場が無い。

 「お゛っ♡♡ くあ゛っ……♡♡♡ はっ♡♡ っ!?♡♡♡」

 動き始めた。不規則だが、余りにも緻密で艶かしい動きだ。それは吸い付いて殆ど密着したまま、加圧を操りながら的確に箇所を擦り上げる。
 
 ずちゅっ、ちゅっ、むにゅっ、にゅっ、じゅじゅっ。腹の下全てを内外から揉み解され、性感を揺さぶられる。もにゅっ、ずにゅっ、にゅぐにゅぐっ。
 「あ゛はぁっ♡♡♡ あ゛っ♡♡ っ♡ っっ♡♡♡ っは、お゛ぁっ♡♡♡」

 ____ぐにぐにうごいてっ♡ おくも、さきっちょもっ♡ っ♡ 
 
 蹂躙の最中、ぶちゅるるるるるるっ!
 「ん゛お゛おおおおおおおぉ!!??♡♡♡♡」
 ゼリー状の何かを前後の穴に注入され、その灼熱感で達する。尚、動きは止まらない。

 「う゛おっ お゛っ♡♡♡ んお゛ぉっ♡♡ ほお゛っ?♡♡ お゛おおおおっ!!?♡♡♡♡」
 
 あついっ⁉︎♡♡ とけてっ、からだのさかいめ、わからなくな゛っ……♡♡♡
 腰から下が全て熱い。蟲と触れている部分が一体化しているかの様な錯覚に陥り、身体の芯まで蕩け、全て好き勝手にされる。

 「ふお゛っ⁉︎♡♡ お゛おおおおぉっ♡♡♡」
 内臓刺激が強く、喘ぎ声が不可抗力的に段々と獣めいて来た。そんな折、漸く蟲は徐々に彼の全身を体内へと引き摺り込み始める。

 「ん゛んっ⁉︎♡♡ や゛っ、あ゛うっ♡♡ うあ゛あああっ!♡♡♡ 」
 
 下半身をこれでもかという程ホールドされている上、この善がり様である。完全無抵抗。出来る事といえば悲壮に叫び、恐怖と快楽を享受する事だけ。ズルズルとスムーズに呑まれていく。

 「たべら゛っ♡♡♡ えう゛っ、っ♡♡ いや゛っ♡♡ っ♡ んお゛っ♡♡ んぅお゛おおっ♡♡♡ 」

 ずるり、ずるり、ずるり。あっという間に胸まで。

 「たしゅげっ♡♡♡ せん゛っ……っ♡♡ へえ゛っ♡♡ ゆい゛ぃっ♡♡♡ やしゅけえ゛ええええっ‼︎♡♡♡」

 危機に瀕した頭が二人の名前を呼ばせた。しかし、まともに形にならなかった上、助けは来ない。

 「えうぅっ……♡♡♡」
 ずりゅん。そうして、無力なユウは絶望のまま完全に頭まで丸呑みにされてしまった。

 ____そん、な……っ♡♡
 ずるっ、ずるるっ、ずるるっ。奥へ、奥へと引き摺り込まれていく。光の届かない、暗い体内へ。
 「あ゛っ……あぶっ♡♡ っ……♡♡」
 粘液塗れだ。その上狭い。息が吸えない、溺れてしまう。

 ただ圧迫は長くは続かず、やがて解放されすとん、と底についた感じがした。身体が丁度良いスペースに収まったかの様な、そんな感触だ。
 「っ……♡♡ あ゛……♡♡♡」
 薄れ行く意識の中、今度はじゅうじゅうと服が溶けていく音が聞こえて来る。
 
 ああ、溶かされるんだ。だったら、このまま____

 自ら意識を手放そうとした。この先はもういい。知りたくない。

 しかし、蟲はそれを許さない。

 チクチクッ。両胸が加圧され包まれると共に、出っ張ったその先端に何かが刺さった。
 「はぁっ、う゛……?♡♡」
 それを合図に、股に当てられているのと似た感触の物が口に押し挿り、喉の奥でゼリー状の何かが流し込まれる。
 
 「う゛っ……うぅっ……♡ ん゛ぅ、うううぅ……♡♡♡」
 あついっ、あついあついあついっ♡ あああああっ、なにっ、これぇっ……♡♡

 お腹の中と胸の先から下半身と同じ熱い物が広がっていく。胸の方も何かを注入されている様で、張りが出て、痛みを伴いながら疼く。

 ずくんっ、ずくんっ、ズクンッ!♡ 
 「んぅっっ⁉︎♡♡♡♡」
 張ったその箇所が強く脈打つ感覚に、堪らず身悶える。確認しようにも真っ暗で、何も分からない。

 「ん゛っ♡♡ う゛うっ♡♡ っ、う゛うぅっ♡♡ 」
 やめてっ♡ もうやだっ、もうやだよぉっ♡♡ やだっ♡ やだぁっ♡♡

 駄々をこねても無駄だ。遠のいていた意識は壊れそうな程に騒々しさを増す心拍と強烈な疼きにより引き戻され、鮮明に、克明に状況を突き付ける。

 ずにゅっ♡
 「ん゛ぅっっっ⁉︎♡♡♡♡」
 張った胸が揉まれた。ぐにゅっ、ぐにゅっ。触れられるシルエットが、感覚がおかしい。

 「ふぅっ!?♡♡♡ んう゛っ!♡♡♡」
 揉まれる度全身がふわりと浮いて、闇に閉ざされた視界が明滅する。同時に下半身の刺激も再開。

 「うう゛っ!♡♡♡ っっ!♡♡ ふう゛ううううっ!♡♡♡♡」
 ぐにゅっ、ぐにゅっ、ぐちゅっ、ぐにゅっ。全身が擦られ、揉まれ、ぐちゃぐちゃにされる。溶かされるのは、身体ではなく心だ。全ての境界が曖昧になっていくのに、快楽だけがはっきりと輪郭を帯びていく。

 「むう゛っ♡♡♡ っ♡ っ、っっ!♡♡♡ ……っ♡♡ ん゛ぅっ!♡ んう゛ぅ、っ!♡♡♡」

 何度も気を失う程の絶頂が走るが、気絶出来ない。焼き切れそうなのに、その度無理矢理溶接されてしまう。
 
 「ん゛ぅ……♡♡♡ う゛っ♡♡ っ……♡♡♡ っっっ♡♡♡♡」
 
 間もなく気持ち良さだけがユウの形になって、逆に失う事が怖くなる。そうなると、もうただ心地良くなって____

 刹那、唐突に目の前が縦に裂け、光が差し込んでくる。

 「____ウ! ユウっ!」
 
 声が聞こえて来た。ユイの声だ。でも姿が光で滲んで見えない。

 「う゛ぅっ……♡♡」
 「っ、今出してあげるからね! 『エア・カッター!』」

 彼女は風の刃によってユウの身体に纏わり付いた蟲の肉を削ぎ救出。回復魔法を唱え回復を行いつつ、彼を抱き締めた。

 「ユウっ! ユウっ‼︎」
 
 しかし、ユウはそれだけで「っっっ♡♡♡」と声にならない声を上げて達してしまい、股からはドロドロと何かが溢れ出てくる。

 「ユウっ! ごめんねユウっ! 私が、遅くなったからっ……!」
 「ちが……うっ♡♡♡ っ♡♡」

 言葉を必死で絞り出す。苦しい。ユイは心配で抱き締めているのに。身体がびくびく跳ねて、止まらない。

 「もう離れないよ! ずっと一緒にいるからね……!」
 「ゆい゛っ……♡♡ くる、しっ……♡♡♡」

 すると、漸く彼女はハッとした様子で「っ、待ってて。今、薬を」とローブの中に手を入れて、一つピンク色の液体が入った小瓶を取り出した。

 「これっ、飲んで!」
 言われるがまま、されるがまま。口に運ばれ、口内に薬液を流し込まれる。
 「ん……っ♡」
 不思議な事に、それは嚥下せずとも舌に触れた瞬間染み入って、口の中で消えてしまった。

 ____あま、い……?
 
 ふわりと甘い風味がした直後、ズキッ。
 「ふぐっ!?」
 頭に鋭い痛みが走った。掻き回されるかの様な感覚と同時に眩暈と吐き気に襲われ、うめき声が上がる。

 「ユ、イっ……これっ……!」
 
 苦言を呈そうとした所で気付く。なんと、あれだけ酷かった身体の火照りがスーッと引いていくのだ。
 「あ、れ……?」
 しかも、痛みや不快感も長くは続かず、火照りと共に消えていく。惚けていた思考もはっきりしてきた。

 ずっと合わなかった焦点も合う。心配そうに瞳を揺らす彼女の顔が、漸く映った。
 
 「っ……ユイ……!」
 今度はユウの方から抱き着いた。身体がちゃんと動いて、座っているユイの所に届く。

 「っ、よかった……効いたんだね」
 彼女は優しい声で抱き返した。
 「うん!」
 「そっか……」
 頭を撫でられる。今まで受けた異常な快楽とは全く異なる心地良さを感じ、ホッとして、また涙が。

 「ユイっ……ううっ、うああああああ!」

 暗いダンジョンの中ポツリと灯った、深く、暖かな絆が生んだ二つの光。

 「ううううっ……うああああぁっ……!」
 「ふふっ……」
 声を上げて涙を流すユウと、その頭をうっとりと、淫猥で恍惚な笑みを浮かべながら撫でるユイ。

 「もうっ……かわいいんだから……♡」

 その光は希望か、それとも____
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