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私の大切な家族
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これは、私がまだ六歳の頃の話。私は幼い頃から飼われていた猫達に囲まれて幸せな時を過ごしていた。勿論猫は気まぐれ、ずっと私の傍にいるわけじゃない。でも私が暇そうにしてると寄り添ってくれる。だから私も猫が好きだった。
共働きのお母さんが、仕事から帰ってくる。疲れた顔を隠し笑顔で私と猫達を抱きしめる。
「鮎香ー! タロ、タマ、クロ、トラ! ただいまー!」
「ママおかえり!」
お母さんはいっぱい頬擦りをした。私も抱きつく。その時だった。
「大変だ、どうしよう」
「え? どうしたの? ママ」
「何? ママ、何も言ってないよ?」
「だって今大変だって」
私は、キョロキョロと辺りを見回す。
「ママ、病気になってる」
「お腹だな」
「早く知らせないと」
「でもどうやって?」
猫達が話しているのが聞こえる。聞き間違いなんかじゃなかった。
タロが、タマが、クロが、トラが、集まって話していた。
「ママ病気なの?」
「ええ? お母さん元気よー」
お母さんには聞こえてないらしい。だが、確かに猫達が話してる。
「鮎ちゃん、ママを病院に連れて行けるか?」
「ほら、私たちをいつも連れていってるところ」
「ママに知らせて」
「早くしないと死んじゃうかも」
嘘っ! 私は驚いてポロポロ涙を流してしまった。
「ママ死んじゃうの?」
「どうしたの? 鮎香、ほら泣かないで」
「ママ死んじゃうって! 病気だって!」
「誰がそんなこと言うの? おばけかな?」
「タロ達が!」
「へ? タロ?」
「タマも、クロも、トラも! 皆大変だって話してる!」
「う、うーん? そうなの?」
きっと、妄想の夢の中にでもいるんだろうと思ったんだろう。だが、私は必死に訴えた。
「病院に行こ! ママ!」
「うーん、そうねー。本当に何ともないんだけど」
パパが帰ってきてから、ママは話し合い次の日病院に行くことにした。
大きな病院で、先生に診られたのは……私だった。
「お名前言えるかな?」
「鮎香です」
「偉いね。鮎香ちゃん、猫ちゃん達と話たって聞いたたけど」
「あのね! タロがね、ママ病気だって! 大変だって! それでママを病院に連れて行けるか? って、タマは、お腹だなって! とにかく、クロはママに知らせて欲しいって! トラが早くしないと死んじゃうかもしれないって話してたの!」
「そうかー、それは大変だね。じゃあお母さんにも検査受けてもらうね。鮎香ちゃんも何ともないか検査するね」
当然だが、私は何ともなかった。両親には精神科医が、幼少期に見られる妄想の類だの何だの話してたように思える。
しばらくして、お母さんの検査結果が出た。パパと、ママと私はお医者さんの部屋に入る。
「率直に申しますと。胃癌ですね」
「え!」
ママは顔を真っ青にしていた。パパも椅子から転げ落ちそうになった。
「嘘ですよね!」
パパが病院なのに、声を荒らげた。
「落ち着いてください。ステージ一期です。内視鏡手術をすれば治りますよ」
お医者さんは癌の説明と手術の説明をしていた。最後に、
「早期発見できたことが大きいです。娘さんは大手柄かも知れませんね」
そう言っていた。
「鮎香、疑ってごめんね」
「それにしてもタロ達がなぁ。不思議なこともあるもんだ」
ママは手術のため入院となった。パパは私を家に連れ帰り、必要な物などを準備して再び病院へと向かった。
ママの手術は無事成功した。再発の心配なども少ないようで、パパも安心していた。
ママが退院する日まで待ち遠しかった。退院日、パパと病院に行った。ママの姿を見つけ私は走った。
「ママ! 大丈夫?」
「うん! 大丈夫よ、それよりタロ達にちゃんと餌あげてた?」
「うん、でも皆あんまり元気ないような気がするよ! 早くママ帰ろう!」
私とママがパパの車で帰り家の中に入ると、タマがママの所に走り寄ってきた。クロも立ち上がり鳴き始める。トラはくわえた玩具を持ってきた。最後にタロがママの足元に寄ってきてスリスリした。
「あはは、皆に心配かけたね。ありがとうね」
その日は、皆でママの退院祝いをした。
「鮎香、あれからタロ達とお話したの?」
私は首を振って俯いた。
「私から話しかけるんだけどね? タロもタマもクロもトラも、ニャーって鳴くだけ。お喋りはできない」
ママはそれを聞いて、私の頭を撫でながら言った。
「ママのピンチを知らせてくれたんだね。タロ達の言葉を少しでも聞ける、鮎香は猫の王女様だね」
私はそう言われて嬉しくなって、にっこり笑ってママに抱きついた。
これが、私が初めて猫と会話した時の出来事。タロ達にもいつも話しかけてる。答えはしてくれるけど、「ニャー」と鳴くだけ。そして私が高校一年生の時。私にとってとても……悲しい出来事が起きたんだ。
共働きのお母さんが、仕事から帰ってくる。疲れた顔を隠し笑顔で私と猫達を抱きしめる。
「鮎香ー! タロ、タマ、クロ、トラ! ただいまー!」
「ママおかえり!」
お母さんはいっぱい頬擦りをした。私も抱きつく。その時だった。
「大変だ、どうしよう」
「え? どうしたの? ママ」
「何? ママ、何も言ってないよ?」
「だって今大変だって」
私は、キョロキョロと辺りを見回す。
「ママ、病気になってる」
「お腹だな」
「早く知らせないと」
「でもどうやって?」
猫達が話しているのが聞こえる。聞き間違いなんかじゃなかった。
タロが、タマが、クロが、トラが、集まって話していた。
「ママ病気なの?」
「ええ? お母さん元気よー」
お母さんには聞こえてないらしい。だが、確かに猫達が話してる。
「鮎ちゃん、ママを病院に連れて行けるか?」
「ほら、私たちをいつも連れていってるところ」
「ママに知らせて」
「早くしないと死んじゃうかも」
嘘っ! 私は驚いてポロポロ涙を流してしまった。
「ママ死んじゃうの?」
「どうしたの? 鮎香、ほら泣かないで」
「ママ死んじゃうって! 病気だって!」
「誰がそんなこと言うの? おばけかな?」
「タロ達が!」
「へ? タロ?」
「タマも、クロも、トラも! 皆大変だって話してる!」
「う、うーん? そうなの?」
きっと、妄想の夢の中にでもいるんだろうと思ったんだろう。だが、私は必死に訴えた。
「病院に行こ! ママ!」
「うーん、そうねー。本当に何ともないんだけど」
パパが帰ってきてから、ママは話し合い次の日病院に行くことにした。
大きな病院で、先生に診られたのは……私だった。
「お名前言えるかな?」
「鮎香です」
「偉いね。鮎香ちゃん、猫ちゃん達と話たって聞いたたけど」
「あのね! タロがね、ママ病気だって! 大変だって! それでママを病院に連れて行けるか? って、タマは、お腹だなって! とにかく、クロはママに知らせて欲しいって! トラが早くしないと死んじゃうかもしれないって話してたの!」
「そうかー、それは大変だね。じゃあお母さんにも検査受けてもらうね。鮎香ちゃんも何ともないか検査するね」
当然だが、私は何ともなかった。両親には精神科医が、幼少期に見られる妄想の類だの何だの話してたように思える。
しばらくして、お母さんの検査結果が出た。パパと、ママと私はお医者さんの部屋に入る。
「率直に申しますと。胃癌ですね」
「え!」
ママは顔を真っ青にしていた。パパも椅子から転げ落ちそうになった。
「嘘ですよね!」
パパが病院なのに、声を荒らげた。
「落ち着いてください。ステージ一期です。内視鏡手術をすれば治りますよ」
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そう言っていた。
「鮎香、疑ってごめんね」
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ママの手術は無事成功した。再発の心配なども少ないようで、パパも安心していた。
ママが退院する日まで待ち遠しかった。退院日、パパと病院に行った。ママの姿を見つけ私は走った。
「ママ! 大丈夫?」
「うん! 大丈夫よ、それよりタロ達にちゃんと餌あげてた?」
「うん、でも皆あんまり元気ないような気がするよ! 早くママ帰ろう!」
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「私から話しかけるんだけどね? タロもタマもクロもトラも、ニャーって鳴くだけ。お喋りはできない」
ママはそれを聞いて、私の頭を撫でながら言った。
「ママのピンチを知らせてくれたんだね。タロ達の言葉を少しでも聞ける、鮎香は猫の王女様だね」
私はそう言われて嬉しくなって、にっこり笑ってママに抱きついた。
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