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7巻
7-2
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「しかし、街道が使えぬとあらば、時間がかかってしまうのう」
「なら俺は、移動中は隠れていますよ。昼間は俺が馬車を下りて顔を出したから戦闘になったわけですし」
俺の似顔絵しか出回っていないのだから、馬車で布でもかぶって隠れていれば問題ないだろう。
「いや、ワシに射かけてきたところを見ると、ワシらの人相も伝わっている可能性があるぞ」
確かに、東方鎧を着た狼人族と連れ立っているなんて情報が流れているかもしれない。
「おそらく、どのルートの街道も見張られていると思います。わたくし達がウェルスへ向かっているのは、あの宿場町の町民ですら知っていました」
「もういっそテリオンに乗り込んで大元を潰せば?」
ミントは相変わらず大雑把だ。
それは〝城塞都市テリオンを制圧しろ〟って言っているのと同じだぞ。
「ミントの意見はともかく、テリオンの内情が知りたいな」
「城塞都市テリオンは傭兵と冒険者の町じゃ。〝賞金稼ぎの故郷〟などと揶揄されるほど金が物を言う場所よ。それに、言いにくいことだが……お主は☆1じゃからな、賞金首にするのにそう手間はかかるまいて」
「『人間狩り』の対象にでも、選ばれたんでしょうか」
『人間狩り』……あるいは『☆1狩り』。
そのように呼ばれるスポーツが存在する。
そう、スポーツだ。
ただ鹿狩りや猪狩りと違うのは、目標が生きた人間であるという点だ。
こういったバカなことを言い出す高貴な人間にとって、☆1や☆2は動物とそう変わらない存在なのだろう。
逃がした☆1に賞金を懸けて、数組のハンターが追い立て、狩る。
動物と違い、人間は知恵を使って隠れ逃げるのでより興奮する……というのが彼らの弁だ。
虫唾が走るほど下衆な発想だし、さすがに市井の民衆にはそこまで受け入れられてはいない。
それでも、『☆1狩り』の主催者が罪に問われることはない。☆1の価値はそれほどまでに低いのだ。
「いずれにせよ、警戒して進むほかなかろう。チヨ、明日からは先行警戒を密に頼む」
「はっ」
レンジュウロウとチヨの堅苦しいやり取りを見て、ミントが呆れ顔で揶揄する。
「ほら、レン。そこでそういう物言いになるから、いつまでも主従関係が抜けないのよ」
「む、うむ……」
縮こまるレンジュウロウの後ろで、チヨが小さく苦笑する。
きっと変わっていくのだろう、二人も……俺達も。
感慨に耽る俺の袖を、ユユが引っ張った。
「アストル、魔法……教えて。あの二つ同時のやつ」
「うーん、あれをしようと思ったら〝気〟のコントロールから覚えないとだな」
「む……ユユにも使える、かな?」
「訓練すれば誰でも使えるようになるはずだって聞いたけど。教えるから頑張ってみようか?」
「ん。お願い、します」
施療院のイクノさんによると、人間は多かれ少なかれ誰でも〝気〟を持つらしい。
それを意識して操作できるようになるには、それなりに訓練が必要らしいが。
「む、待て。二つ同時とはなんじゃ? 聞いとらんぞ」
「えーっと、魔法式を二つ同時に構築します。例の崩壊型魔法式の原理を少し改造して使います」
錬気を利用して魔力濃度を上げ、崩壊型魔法式の〝分離して別の魔法式を構築する〟という特性を少し利用することで、ランクⅡくらいの簡単な魔法までは同時に構築できるようになった。
試していないが、もっと大きな魔法も構築できるはずだ。
〝気〟の利用によって、魔法式を構築する魔力の維持がかなり容易になった。
この技術を得たおかげで体にかかる負荷はとても軽くなり、無詠唱であっても二つ同時に魔法を履行できる。
たとえば、〈魔法の矢〉で牽制しつつ、〈麻痺Ⅱ〉を放つことができるというわけだ。
「まだ練習中ですけど、大型の魔法式を二つ構成することも可能になると思います。古代魔法とか」
「古代魔法を……二つ同時、じゃと……? アストル、天変地異でも起こすつもりか?」
「まさか。でも、そうしないと勝てない相手なら……そうしますけどね」
暗黒竜とか。
「〝魔導師〟らしくなりおって。もう名前負けがどうとか言わせんぞ、まったく……」
「〝☆1〟で充分ですよ、俺は。まだまだです」
俺の言葉に、全員が苦笑を漏らした。
◆
「またか……」
もはやこうなると緊張感よりも先にため息が出てしまう。
三日目にして、すでに襲撃はこれで五度目。襲撃者のクオリティは最初の傭兵騎士達を基準にすると、劣化の一途を辿っている。
いや、侮ってはいけないということは重々承知だ。
☆1である俺が侮っていい相手など、この世に存在しない。
しかし、前方で待ち構えているのは、どう見ても駆け出しの食い詰め冒険者だ。
「お、おい! おとなしくしろ! ☆1野郎さえ置いていけば他は見逃してやる」
俺よりも少し年上だろうか、他のメンバーよりもやや精悍な顔つきをした青年が長剣を突きつけるようにして、立ちはだかっている。
俺が魔法使いであるということも知らないのだろうか?
〈魔法の矢〉をはじめとした攻撃魔法で充分に攻撃できる範囲に、ああも無防備に身を晒すなんて、今時素人でもなかなかしない愚行だ。
「どけ。ワシらは急いでおる」
馬車から下りもせずに、レンジュウロウが告げた。
青年はうわずった声でこれを拒絶する。
「う、うるさい! 見逃してほしけりゃ……か、金を置いていけ! 金貨八枚でいい!」
やけに具体的な数字だな。
「なんで八枚なんだ?」
興味に負けて、思わず尋ねてしまう。
問答無用で俺達を攻撃して成功すれば、金貨は五十枚だ。
見逃してやるから報賞金分の金をよこせと言うなら、まだ理解はできる。
お互いに無駄な血を流さないように折り合いをつける、妥当な要求だ。
だが、この青年はたった八枚の金貨でいいと言った。
それによく見ると、突き出した抜き身の長剣の先が小さく震えている。
……どうも様子がおかしい。
「ど、どうだっていいだろう?」
「そうよ、どうだっていいわ。立ちふさがるなら斬って捨てるまでよ」
ミントが馬車を下りて『白雪の君』を抜き放つ。
「かかってきなさいよ。さっきも言ったけど、急いでるの。十秒かからずに全員殺せるわよ」
肩に抜き身の『白雪の君』を担ぎ上げ、ミントが挑発する。
その体には、殺気と闘気が漲っていて、今にも飛び掛かりそうだ。
「待てよ、ミント。ええと……事と次第によっては金を払ってもいい。理由を聞かせてくれればな」
「アストル、後ろの人達……様子が、ヘン」
ユユに袖を小さく引かれて、視線をそちらへと移す。
剣士の後ろにいる三人のうちの一人、ローブを身につけた小さな人影が片膝をついて肩で息をしている。
顔色も悪い。
「おい、その後ろの……大丈夫なのか?」
「いいから、金を出せ!」
俺が尋ねると、剣士は焦った様子でこちらに詰め寄ろうと一歩前に出る。
……が、その首筋に『白雪の君』の切っ先が押し当てられた。
やはり、そう熟練した冒険者ではないようだ。
「警告よ……。あと、死にたくなかったら質問に答えなさい」
殺気を込めた冷え冷えとしたミントの声が、聞こえてくる。
そんな風に脅したら、話せるものも話せなくなると思うのだが。
「か、金が必要なんだ! 早くしないと……妹が……」
「どういうこと?」
「呪いを受けているんだ! 金を払ったら解除してやるって……」
「ふむ? 借金の踏み倒しでもしたのかの?」
債権などの取り立てに魔法を使うのは、よくある手段だ。
およそ額面の大きい借用書は魔法道具である場合が多く、返済不履行となった際に呪いや〈強制〉系の魔法効果を発動させることが多い。
騙されたとはいえ、それにサインしたのは自己責任だし、普通は魔法誓約書にサインする時は慎重に慎重を期すものだ。
「そんなんじゃない!」
「何か事情がありそうだな。ミント、ちょっとその子、こっちに連れてきてくれ」
「もう……また悪い癖が出てるわよ」
ミントはそう言いながらも、うずくまった人影に近づき抱え上げてこちらへ歩いてくる。
本人も、横にいた少年も特に抵抗しなかった。
ユユがローブの娘の顔を覗き込む。
「ひどい顔色……毒も、ある?」
「かもしれないな。ええと、この子に接触禁忌は?」
「え、あ……ない」
俺はしどろもどろな剣士と、意識のはっきりしないローブの娘に問診を重ねる。
呪いを受けたのは一ヵ月前で、依頼の上でのちょっとしたトラブルが原因のようだ。
呪いの主は、トラブルがあったパーティの魔法使い。
……嫌がらせと恐喝に魔法を使用するなんて、なかなか倫理観念の良くない魔法使いらしい。
「解除を請け負おう。代わりに、命乞いをさせてくれ」
そう言って、俺はいくつかの魔法薬と聖水を取り出し、慎重に魔法式を探っていく。
解除に金貨を吹っかけるような呪いだ、相当手が込んでると思った方が賢明だ。
「教会には?」
剣士は首を横に振って俺の質問に答える。
「この辺りの教会に聖人はいない。エルメリアの方には多いらしいが、テリオン領内だと大都市にしかいないんだ」
テリオンは荒い人間の多い地域だ。教会も聖人をなかなか派遣しにくいんだろう……
そう珍しくないとはいえ、【浄化】もユニークスキルだからな。
「よし、特定した。……解くぞ」
呪いをかけた魔法使いはなかなかデキるやつのようだ。
呪い自体が有害な毒を精製して体を蝕むようになっていた。
時限式と継続式の魔法式を組み合わせた、なかなか高度な魔法……きちんとした場所で魔法を学んだ人間なのかもしれない。
解毒薬で解毒しつつ、魔法式を剥がしていく。
呪いの触媒に使ったのがそう珍しいものでなくてよかった。
触媒があまりにも高度な……たとえば馬頭悪魔の血液だったりしたら、剥がすのに一苦労だからな。
「よし、完了。魔法毒でずいぶん弱っているから、安全な場所でよく休ませた方がいい」
「あ、ああ……!」
青年は剣を地面に放り出して、少女を抱きかかえる。
その顔は襲撃者のそれではなく、妹を心配する兄のものだった。
「まったく、相変わらずじゃの」
レンジュウロウが御者台で頬杖をついて溜息を吐き、ミントが同様にジト目で俺を見る。
「説教なら後で聞くよ。さ、道を開けてくれ。俺達は急いでここを抜けなくちゃならない。……見逃してくれるんだろう?」
俺の言葉に、泣き顔の剣士が顔を上げる。
「待ってくれ! ちゃんと礼を……」
「いいよ、俺は命を見逃してもらう代わりに仕事しただけだ」
「そ、それなら安全な経路を教える……! ここから東に向かって山沿いを進むといい。街道ほど整備されちゃいないが道もあるし、そっちは僻地だから手配書はまわっていないはずだ。国境までの距離もそう変わらない」
「助かる」
そう伝えて、俺達は青年が指さした方へ馬の頭を向けて、馬車を走らせることにした。
◆
青年が教えてくれた道は、彼が言った通り実に快適な旅路となった。
山に沿って清流が流れていて水の確保には困らなかったし、ポツンポツンと点在する農村には俺達の情報が伝わっていないらしく、素通りすることができた。
もっとも、俺が☆1であるため、村で宿を確保するのはやめておいたが。
田舎は☆1への風当たりが強いしな。
「ふむ、そろそろウェルス領じゃの。さすがに領境は街道を行った方がいいかのう」
御者をしているレンジュウロウが、迷った様子で呟いた。
彼が迷うのはもっともだ。領境がある町が賞金稼ぎ達にとっては最も待ち伏せに適していて、俺達にとっては危険なのだから、俺達としては可能ならば街道を避けたい。
だが、領の行き来には形骸化しているとはいえ、検分がある。
特にウェルスは危険な薬品や魔法道具を扱う町であるため、その領境の関所を通ることが半ば義務づけられているのだ。
……抜け道はいくらでもあるが。
「うーん、このままウェルス方面に抜けられませんかね」
「そうしようと思うと、アルノールの森を抜けねばならん。難しいじゃろう」
俺達の前方に広がるのは『アルノールの森』と呼ばれるかなり深い森だ。
あまり調査の進んでいない未調査地域の一つで、『小迷宮』の可能性も示唆されている。
……つまり、魔物が多いのだ。
「やはり領境へ行くしかないですね。俺は上手く姿を隠してみます」
「わたくしもサポートいたしますのでご安心を」
俺とチヨに頷き、レンジュウロウが馬首を西へ向ける。
「では、気は進まぬが向かうとしよう。リスクとプランについては、アストル……立案を頼む」
「わかりました」
領境の町『コルニア』までは、ここからおよそ一日。
俺達を乗せた馬車は、森沿いの古い道をガタゴトと走った。
俺のプランが練り上がった日の昼前には、町が見えてきた。
テリオンとウェルスの領境にある町『コルニア』は、二つの文化が混じり合った不思議な町だ。
冒険者や傭兵が多く住んでおり、ここを拠点として北に行く時は傭兵、南へ向かう時は冒険者と二つの身分を使い分けて生活する者が多い。
荒くれ者が多い町であり、周辺の冒険者兼傭兵達の本拠地でもある。つまり、賞金稼ぎの数も半端ではないのだ。
住民の半数以上が俺の首を狙ってくる可能性も否めない。
冒険者兼傭兵ということは、その日暮らしが多いということでもあるのだから。
「まず、町に入る前に俺達は馬車を降ります。そのまま辺縁部からこっそり町へ入って、関所は魔法で通り抜けます。代わりに荷物を置いていきますから、レンジュウロウさんは里帰りしたイコマの民という体を装って関所を通ってください。ウェルス領に入って最初の野営地で落ち合いましょう」
シンプルに行くのが一番良い。
冒険者の町なので狼人族もそう珍しくないし、東方鎧はイコマの民だという印象付けに役立つ。
ユユ達姉妹は冒険者証があるので、パーティメンバーだとでも言えば問題ないはずだ。
「夜明けまでに合流できない場合は、トラブルがあったと判断しましょう。その場合は〈手紙鳥〉で報告を。ユユ、いけるな?」
「ん。任せて」
最悪、俺に何かあってもチヨさんが捕縛される可能性は極めて低い。
なんとでも対処してくれるはずだ。
「うむ、それで行くとしよう」
レンジュウロウに頷いて、俺は魔法の鞄から米の入った麻袋や、梅干しの入った瓶、干し魚などを馬車へと配置していく。
最初からいくつか積んであった分も合わせて、まるで行商人の馬車のような様相だ。
「では、そろそろ降りますね。後ほど」
「チヨ、アストルを頼んだぞ」
「はい、お任せくださいませ」
チヨの姿がじわりと俺の影に滲んで溶ける。
強化魔法と錬気を行なってから、小さく手を振って俺は森の中へと分け入る。
町の近くだし、魔物はそうそういないだろうが、逆に警備隊や薬草取りの目に触れるかもしれないので、慎重に、そして素早く踏み入っていく。
「……このまままっすぐで問題ありません。動く者の気配なしです」
いつの間にか先行警戒に出ていたらしいチヨの言葉に従って、森を進む。
「この辺りから町に入りましょう。手助けは必要ですか?」
「いや、大丈夫」
二メートルほどの壁を軽々飛び越して、チヨがコルニアの町に入っていく。
俺はさすがに二メートルを垂直に跳べないので、魔法で壁に小さな穴をあけて足掛かりにさせてもらった。
「気付かれてない……かな」
「はい。では、急いで関所に向かいましょう。町の配置はすでに把握しておりますので……こちらです」
小柄なチヨの背中を追いかけて、住宅地の細い通路を抜けていく。
この辺りは商店などの従業員が暮らす場所で、今の時間は人通りが少ないのだとチヨは説明した。
「……見えてきました。壁を登りますか?」
「いいや、ここまで来ればなんとかなるので、チヨさんはこのまま普通に関所を抜けてください」
「どうされるおつもりです?」
「少し実験を」
〈望遠〉の魔法で、関所の向こう側を確認する。
関所自体はごく狭い敷地にある施設だ。
視覚を強化してやれば向こう側が見える。
次いで、自分にいくつかの魔法をかけていく。
主に感知能力を向上させる魔法だ。
(地脈は……と。細いけど通ってるな)
魂を失いかけ、半実体となっていたことで研ぎ澄まされた俺の感覚が、〈魔力感知〉と併せてこの地の地脈を読み取る。
「……よし、始めよう」
「アストルさんの無事が確認できてから行きますね」
「了解」
意識を集中して、体の魔力と地脈の波長を同調させていく。
「Pozicio specifo. Sinkronigita kun la linio de lumo. Redukti la ekziston. Invado. Iru al la celo」
魔法式を順番に構築していく。
この程度の距離なら、見えてさえいれば正確なアクセスポイントの確保は必要ないだろう。
すでに何度か試しているが、いずれも地脈の太いイコマでのことだ。こういった場所でも使えるか実験しておきたい。
「発動……〈異空間跳躍〉」
ごそっと体から魔力が抜け落ちる感覚があったが、錬気しておいたおかげで、すぐさま魔力が補充されはじめる。
(掴んで、引き寄せるように……!)
実際に引き寄せられるのは俺だが、感覚的には〝そう〟なのだ。
腕を伸ばして、目標地点を引っ張るようにする。当然、世界というのは固定されたものなので、そこから動かない。
代わりに、地脈の中で軽い存在である俺は、その地点へと引き寄せられる……というのが、何度か使ううちに掴んだ感覚だ。
世界がクルリと反転する感覚があって、俺は先ほどまで見ていたその場所へ移動していた。
無事に地脈を跳躍できたようだ。
「よし、成功……と。見えている範囲なら大丈夫そうだな」
振り返ると、少し遠く……関所の向こう側で目を丸くしているチヨが見えた。
俺が小さく手を振って合図したのを見たチヨは、冒険者タグを取り出して関所へ入っていき、しばらくするとこちらへ駆けてきた。
「アストルさん、すごいですね……」
「できるかどうか不安だったけど、なんとかなりました。さぁ、キャンプ地へ向かいましょうか」
頷き合って、念のために街道を少し離れた草原地帯を警戒しながら、直近の野営地へと向かった。
「なら俺は、移動中は隠れていますよ。昼間は俺が馬車を下りて顔を出したから戦闘になったわけですし」
俺の似顔絵しか出回っていないのだから、馬車で布でもかぶって隠れていれば問題ないだろう。
「いや、ワシに射かけてきたところを見ると、ワシらの人相も伝わっている可能性があるぞ」
確かに、東方鎧を着た狼人族と連れ立っているなんて情報が流れているかもしれない。
「おそらく、どのルートの街道も見張られていると思います。わたくし達がウェルスへ向かっているのは、あの宿場町の町民ですら知っていました」
「もういっそテリオンに乗り込んで大元を潰せば?」
ミントは相変わらず大雑把だ。
それは〝城塞都市テリオンを制圧しろ〟って言っているのと同じだぞ。
「ミントの意見はともかく、テリオンの内情が知りたいな」
「城塞都市テリオンは傭兵と冒険者の町じゃ。〝賞金稼ぎの故郷〟などと揶揄されるほど金が物を言う場所よ。それに、言いにくいことだが……お主は☆1じゃからな、賞金首にするのにそう手間はかかるまいて」
「『人間狩り』の対象にでも、選ばれたんでしょうか」
『人間狩り』……あるいは『☆1狩り』。
そのように呼ばれるスポーツが存在する。
そう、スポーツだ。
ただ鹿狩りや猪狩りと違うのは、目標が生きた人間であるという点だ。
こういったバカなことを言い出す高貴な人間にとって、☆1や☆2は動物とそう変わらない存在なのだろう。
逃がした☆1に賞金を懸けて、数組のハンターが追い立て、狩る。
動物と違い、人間は知恵を使って隠れ逃げるのでより興奮する……というのが彼らの弁だ。
虫唾が走るほど下衆な発想だし、さすがに市井の民衆にはそこまで受け入れられてはいない。
それでも、『☆1狩り』の主催者が罪に問われることはない。☆1の価値はそれほどまでに低いのだ。
「いずれにせよ、警戒して進むほかなかろう。チヨ、明日からは先行警戒を密に頼む」
「はっ」
レンジュウロウとチヨの堅苦しいやり取りを見て、ミントが呆れ顔で揶揄する。
「ほら、レン。そこでそういう物言いになるから、いつまでも主従関係が抜けないのよ」
「む、うむ……」
縮こまるレンジュウロウの後ろで、チヨが小さく苦笑する。
きっと変わっていくのだろう、二人も……俺達も。
感慨に耽る俺の袖を、ユユが引っ張った。
「アストル、魔法……教えて。あの二つ同時のやつ」
「うーん、あれをしようと思ったら〝気〟のコントロールから覚えないとだな」
「む……ユユにも使える、かな?」
「訓練すれば誰でも使えるようになるはずだって聞いたけど。教えるから頑張ってみようか?」
「ん。お願い、します」
施療院のイクノさんによると、人間は多かれ少なかれ誰でも〝気〟を持つらしい。
それを意識して操作できるようになるには、それなりに訓練が必要らしいが。
「む、待て。二つ同時とはなんじゃ? 聞いとらんぞ」
「えーっと、魔法式を二つ同時に構築します。例の崩壊型魔法式の原理を少し改造して使います」
錬気を利用して魔力濃度を上げ、崩壊型魔法式の〝分離して別の魔法式を構築する〟という特性を少し利用することで、ランクⅡくらいの簡単な魔法までは同時に構築できるようになった。
試していないが、もっと大きな魔法も構築できるはずだ。
〝気〟の利用によって、魔法式を構築する魔力の維持がかなり容易になった。
この技術を得たおかげで体にかかる負荷はとても軽くなり、無詠唱であっても二つ同時に魔法を履行できる。
たとえば、〈魔法の矢〉で牽制しつつ、〈麻痺Ⅱ〉を放つことができるというわけだ。
「まだ練習中ですけど、大型の魔法式を二つ構成することも可能になると思います。古代魔法とか」
「古代魔法を……二つ同時、じゃと……? アストル、天変地異でも起こすつもりか?」
「まさか。でも、そうしないと勝てない相手なら……そうしますけどね」
暗黒竜とか。
「〝魔導師〟らしくなりおって。もう名前負けがどうとか言わせんぞ、まったく……」
「〝☆1〟で充分ですよ、俺は。まだまだです」
俺の言葉に、全員が苦笑を漏らした。
◆
「またか……」
もはやこうなると緊張感よりも先にため息が出てしまう。
三日目にして、すでに襲撃はこれで五度目。襲撃者のクオリティは最初の傭兵騎士達を基準にすると、劣化の一途を辿っている。
いや、侮ってはいけないということは重々承知だ。
☆1である俺が侮っていい相手など、この世に存在しない。
しかし、前方で待ち構えているのは、どう見ても駆け出しの食い詰め冒険者だ。
「お、おい! おとなしくしろ! ☆1野郎さえ置いていけば他は見逃してやる」
俺よりも少し年上だろうか、他のメンバーよりもやや精悍な顔つきをした青年が長剣を突きつけるようにして、立ちはだかっている。
俺が魔法使いであるということも知らないのだろうか?
〈魔法の矢〉をはじめとした攻撃魔法で充分に攻撃できる範囲に、ああも無防備に身を晒すなんて、今時素人でもなかなかしない愚行だ。
「どけ。ワシらは急いでおる」
馬車から下りもせずに、レンジュウロウが告げた。
青年はうわずった声でこれを拒絶する。
「う、うるさい! 見逃してほしけりゃ……か、金を置いていけ! 金貨八枚でいい!」
やけに具体的な数字だな。
「なんで八枚なんだ?」
興味に負けて、思わず尋ねてしまう。
問答無用で俺達を攻撃して成功すれば、金貨は五十枚だ。
見逃してやるから報賞金分の金をよこせと言うなら、まだ理解はできる。
お互いに無駄な血を流さないように折り合いをつける、妥当な要求だ。
だが、この青年はたった八枚の金貨でいいと言った。
それによく見ると、突き出した抜き身の長剣の先が小さく震えている。
……どうも様子がおかしい。
「ど、どうだっていいだろう?」
「そうよ、どうだっていいわ。立ちふさがるなら斬って捨てるまでよ」
ミントが馬車を下りて『白雪の君』を抜き放つ。
「かかってきなさいよ。さっきも言ったけど、急いでるの。十秒かからずに全員殺せるわよ」
肩に抜き身の『白雪の君』を担ぎ上げ、ミントが挑発する。
その体には、殺気と闘気が漲っていて、今にも飛び掛かりそうだ。
「待てよ、ミント。ええと……事と次第によっては金を払ってもいい。理由を聞かせてくれればな」
「アストル、後ろの人達……様子が、ヘン」
ユユに袖を小さく引かれて、視線をそちらへと移す。
剣士の後ろにいる三人のうちの一人、ローブを身につけた小さな人影が片膝をついて肩で息をしている。
顔色も悪い。
「おい、その後ろの……大丈夫なのか?」
「いいから、金を出せ!」
俺が尋ねると、剣士は焦った様子でこちらに詰め寄ろうと一歩前に出る。
……が、その首筋に『白雪の君』の切っ先が押し当てられた。
やはり、そう熟練した冒険者ではないようだ。
「警告よ……。あと、死にたくなかったら質問に答えなさい」
殺気を込めた冷え冷えとしたミントの声が、聞こえてくる。
そんな風に脅したら、話せるものも話せなくなると思うのだが。
「か、金が必要なんだ! 早くしないと……妹が……」
「どういうこと?」
「呪いを受けているんだ! 金を払ったら解除してやるって……」
「ふむ? 借金の踏み倒しでもしたのかの?」
債権などの取り立てに魔法を使うのは、よくある手段だ。
およそ額面の大きい借用書は魔法道具である場合が多く、返済不履行となった際に呪いや〈強制〉系の魔法効果を発動させることが多い。
騙されたとはいえ、それにサインしたのは自己責任だし、普通は魔法誓約書にサインする時は慎重に慎重を期すものだ。
「そんなんじゃない!」
「何か事情がありそうだな。ミント、ちょっとその子、こっちに連れてきてくれ」
「もう……また悪い癖が出てるわよ」
ミントはそう言いながらも、うずくまった人影に近づき抱え上げてこちらへ歩いてくる。
本人も、横にいた少年も特に抵抗しなかった。
ユユがローブの娘の顔を覗き込む。
「ひどい顔色……毒も、ある?」
「かもしれないな。ええと、この子に接触禁忌は?」
「え、あ……ない」
俺はしどろもどろな剣士と、意識のはっきりしないローブの娘に問診を重ねる。
呪いを受けたのは一ヵ月前で、依頼の上でのちょっとしたトラブルが原因のようだ。
呪いの主は、トラブルがあったパーティの魔法使い。
……嫌がらせと恐喝に魔法を使用するなんて、なかなか倫理観念の良くない魔法使いらしい。
「解除を請け負おう。代わりに、命乞いをさせてくれ」
そう言って、俺はいくつかの魔法薬と聖水を取り出し、慎重に魔法式を探っていく。
解除に金貨を吹っかけるような呪いだ、相当手が込んでると思った方が賢明だ。
「教会には?」
剣士は首を横に振って俺の質問に答える。
「この辺りの教会に聖人はいない。エルメリアの方には多いらしいが、テリオン領内だと大都市にしかいないんだ」
テリオンは荒い人間の多い地域だ。教会も聖人をなかなか派遣しにくいんだろう……
そう珍しくないとはいえ、【浄化】もユニークスキルだからな。
「よし、特定した。……解くぞ」
呪いをかけた魔法使いはなかなかデキるやつのようだ。
呪い自体が有害な毒を精製して体を蝕むようになっていた。
時限式と継続式の魔法式を組み合わせた、なかなか高度な魔法……きちんとした場所で魔法を学んだ人間なのかもしれない。
解毒薬で解毒しつつ、魔法式を剥がしていく。
呪いの触媒に使ったのがそう珍しいものでなくてよかった。
触媒があまりにも高度な……たとえば馬頭悪魔の血液だったりしたら、剥がすのに一苦労だからな。
「よし、完了。魔法毒でずいぶん弱っているから、安全な場所でよく休ませた方がいい」
「あ、ああ……!」
青年は剣を地面に放り出して、少女を抱きかかえる。
その顔は襲撃者のそれではなく、妹を心配する兄のものだった。
「まったく、相変わらずじゃの」
レンジュウロウが御者台で頬杖をついて溜息を吐き、ミントが同様にジト目で俺を見る。
「説教なら後で聞くよ。さ、道を開けてくれ。俺達は急いでここを抜けなくちゃならない。……見逃してくれるんだろう?」
俺の言葉に、泣き顔の剣士が顔を上げる。
「待ってくれ! ちゃんと礼を……」
「いいよ、俺は命を見逃してもらう代わりに仕事しただけだ」
「そ、それなら安全な経路を教える……! ここから東に向かって山沿いを進むといい。街道ほど整備されちゃいないが道もあるし、そっちは僻地だから手配書はまわっていないはずだ。国境までの距離もそう変わらない」
「助かる」
そう伝えて、俺達は青年が指さした方へ馬の頭を向けて、馬車を走らせることにした。
◆
青年が教えてくれた道は、彼が言った通り実に快適な旅路となった。
山に沿って清流が流れていて水の確保には困らなかったし、ポツンポツンと点在する農村には俺達の情報が伝わっていないらしく、素通りすることができた。
もっとも、俺が☆1であるため、村で宿を確保するのはやめておいたが。
田舎は☆1への風当たりが強いしな。
「ふむ、そろそろウェルス領じゃの。さすがに領境は街道を行った方がいいかのう」
御者をしているレンジュウロウが、迷った様子で呟いた。
彼が迷うのはもっともだ。領境がある町が賞金稼ぎ達にとっては最も待ち伏せに適していて、俺達にとっては危険なのだから、俺達としては可能ならば街道を避けたい。
だが、領の行き来には形骸化しているとはいえ、検分がある。
特にウェルスは危険な薬品や魔法道具を扱う町であるため、その領境の関所を通ることが半ば義務づけられているのだ。
……抜け道はいくらでもあるが。
「うーん、このままウェルス方面に抜けられませんかね」
「そうしようと思うと、アルノールの森を抜けねばならん。難しいじゃろう」
俺達の前方に広がるのは『アルノールの森』と呼ばれるかなり深い森だ。
あまり調査の進んでいない未調査地域の一つで、『小迷宮』の可能性も示唆されている。
……つまり、魔物が多いのだ。
「やはり領境へ行くしかないですね。俺は上手く姿を隠してみます」
「わたくしもサポートいたしますのでご安心を」
俺とチヨに頷き、レンジュウロウが馬首を西へ向ける。
「では、気は進まぬが向かうとしよう。リスクとプランについては、アストル……立案を頼む」
「わかりました」
領境の町『コルニア』までは、ここからおよそ一日。
俺達を乗せた馬車は、森沿いの古い道をガタゴトと走った。
俺のプランが練り上がった日の昼前には、町が見えてきた。
テリオンとウェルスの領境にある町『コルニア』は、二つの文化が混じり合った不思議な町だ。
冒険者や傭兵が多く住んでおり、ここを拠点として北に行く時は傭兵、南へ向かう時は冒険者と二つの身分を使い分けて生活する者が多い。
荒くれ者が多い町であり、周辺の冒険者兼傭兵達の本拠地でもある。つまり、賞金稼ぎの数も半端ではないのだ。
住民の半数以上が俺の首を狙ってくる可能性も否めない。
冒険者兼傭兵ということは、その日暮らしが多いということでもあるのだから。
「まず、町に入る前に俺達は馬車を降ります。そのまま辺縁部からこっそり町へ入って、関所は魔法で通り抜けます。代わりに荷物を置いていきますから、レンジュウロウさんは里帰りしたイコマの民という体を装って関所を通ってください。ウェルス領に入って最初の野営地で落ち合いましょう」
シンプルに行くのが一番良い。
冒険者の町なので狼人族もそう珍しくないし、東方鎧はイコマの民だという印象付けに役立つ。
ユユ達姉妹は冒険者証があるので、パーティメンバーだとでも言えば問題ないはずだ。
「夜明けまでに合流できない場合は、トラブルがあったと判断しましょう。その場合は〈手紙鳥〉で報告を。ユユ、いけるな?」
「ん。任せて」
最悪、俺に何かあってもチヨさんが捕縛される可能性は極めて低い。
なんとでも対処してくれるはずだ。
「うむ、それで行くとしよう」
レンジュウロウに頷いて、俺は魔法の鞄から米の入った麻袋や、梅干しの入った瓶、干し魚などを馬車へと配置していく。
最初からいくつか積んであった分も合わせて、まるで行商人の馬車のような様相だ。
「では、そろそろ降りますね。後ほど」
「チヨ、アストルを頼んだぞ」
「はい、お任せくださいませ」
チヨの姿がじわりと俺の影に滲んで溶ける。
強化魔法と錬気を行なってから、小さく手を振って俺は森の中へと分け入る。
町の近くだし、魔物はそうそういないだろうが、逆に警備隊や薬草取りの目に触れるかもしれないので、慎重に、そして素早く踏み入っていく。
「……このまままっすぐで問題ありません。動く者の気配なしです」
いつの間にか先行警戒に出ていたらしいチヨの言葉に従って、森を進む。
「この辺りから町に入りましょう。手助けは必要ですか?」
「いや、大丈夫」
二メートルほどの壁を軽々飛び越して、チヨがコルニアの町に入っていく。
俺はさすがに二メートルを垂直に跳べないので、魔法で壁に小さな穴をあけて足掛かりにさせてもらった。
「気付かれてない……かな」
「はい。では、急いで関所に向かいましょう。町の配置はすでに把握しておりますので……こちらです」
小柄なチヨの背中を追いかけて、住宅地の細い通路を抜けていく。
この辺りは商店などの従業員が暮らす場所で、今の時間は人通りが少ないのだとチヨは説明した。
「……見えてきました。壁を登りますか?」
「いいや、ここまで来ればなんとかなるので、チヨさんはこのまま普通に関所を抜けてください」
「どうされるおつもりです?」
「少し実験を」
〈望遠〉の魔法で、関所の向こう側を確認する。
関所自体はごく狭い敷地にある施設だ。
視覚を強化してやれば向こう側が見える。
次いで、自分にいくつかの魔法をかけていく。
主に感知能力を向上させる魔法だ。
(地脈は……と。細いけど通ってるな)
魂を失いかけ、半実体となっていたことで研ぎ澄まされた俺の感覚が、〈魔力感知〉と併せてこの地の地脈を読み取る。
「……よし、始めよう」
「アストルさんの無事が確認できてから行きますね」
「了解」
意識を集中して、体の魔力と地脈の波長を同調させていく。
「Pozicio specifo. Sinkronigita kun la linio de lumo. Redukti la ekziston. Invado. Iru al la celo」
魔法式を順番に構築していく。
この程度の距離なら、見えてさえいれば正確なアクセスポイントの確保は必要ないだろう。
すでに何度か試しているが、いずれも地脈の太いイコマでのことだ。こういった場所でも使えるか実験しておきたい。
「発動……〈異空間跳躍〉」
ごそっと体から魔力が抜け落ちる感覚があったが、錬気しておいたおかげで、すぐさま魔力が補充されはじめる。
(掴んで、引き寄せるように……!)
実際に引き寄せられるのは俺だが、感覚的には〝そう〟なのだ。
腕を伸ばして、目標地点を引っ張るようにする。当然、世界というのは固定されたものなので、そこから動かない。
代わりに、地脈の中で軽い存在である俺は、その地点へと引き寄せられる……というのが、何度か使ううちに掴んだ感覚だ。
世界がクルリと反転する感覚があって、俺は先ほどまで見ていたその場所へ移動していた。
無事に地脈を跳躍できたようだ。
「よし、成功……と。見えている範囲なら大丈夫そうだな」
振り返ると、少し遠く……関所の向こう側で目を丸くしているチヨが見えた。
俺が小さく手を振って合図したのを見たチヨは、冒険者タグを取り出して関所へ入っていき、しばらくするとこちらへ駆けてきた。
「アストルさん、すごいですね……」
「できるかどうか不安だったけど、なんとかなりました。さぁ、キャンプ地へ向かいましょうか」
頷き合って、念のために街道を少し離れた草原地帯を警戒しながら、直近の野営地へと向かった。
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