異世界から来た美少女達はやたらと僕に懐いてる

24話

ここは･･････。そういえばルナと一緒に琉太さんの人生を追体験しているはず。

ふと周りを見る。どこかの家のリビングのようで、家族が幸せそうにご飯を食べながら団欒していた。

「だいち、今日の学校はどうだった？」

「うん！　とても楽しかったよ！」

「良かったわね」

母親と思う人と男の子が話している。その雰囲気は和やかそのもので、特に問題がある訳ではなかった。

『･･････フェリス様、これはいったい？』

『ルナ、目覚めたようですね。私達は今、琉太さんの人生を別視点から見ています。当然干渉することは出来ません』

「琉太はどうだった？」

「僕もね！　楽しかったよ！」

「それは良かったわね」

この時琉太さんは小学校一年生。この頃は家族環境が良かったのですね。

私達は琉太さんの人生とともに進んでいく。

事件が起きたのは琉太さんが小学校二年、七歳の頃。

琉太さんの母親は琉太さんを庇って車に轢かれて死亡。

「ママ、嘘だよね？　ね？　まだママに僕のこと見ていて欲しかったのに･･････。う、うう、うわああああああああ！！！」

彼の父親は事故を琉太の所為にした。

「お前が！　母さんを！　殺したんだ！」

そう言いながらマウントを取り琉太さんを殴る父親。

これが本当に親がやることなのか･･････。

私達は言葉を失いました。

「うう、痛いよぉ、痛いよぉ･･････」

琉太さんも母親を失い心は傷ついたまま、さらに畳み掛けるように父親の暴力。

琉太さんの心は完全に壊れてしまう。

「僕が、ママを殺したんだ･･････」

『違います！　貴方は悪くありません、私達は知っています！　貴方が優しいことを！』

この声も琉太さんには届かない。

神獣と言われなんでも出来ることを自負してます。

しかし、こればかりは自分の無力さを嫌という程理解してしまう。

さらに、世界は彼に理不尽を叩きつける。

「この人が新しい母さんだぞ！」

父親が再婚したのだ。その再婚相手は連れ子がいた、それが琉太さんの弟となる智さとしくんだ。

「初めまして私のことを本当のお母さんのように思ってくれてかまわないわよ」

そう言い優しく笑う女性、めぐみさんは私達が思ってたよりやばい人だった。

「ここには、役に立たないゴミがもう一つある。おい！！」

父親の怒号で部屋から出てきたのは琉太さんだ。

「こいつが琉太だ。こいつのことは俺らの奴隷とでも思ってくれ」

「･･････あの、よろしくお願いします」

琉太さんが挨拶をした瞬間、めぐみは琉太さんの頬を思いっきり引っぱたいた。

「私に話しかけないで、このゴミ虫が」

めぐみの目は完全にゴミを見るかのような冷たい目だった。

「･･････はい、ごめんなさい。次から気をつけます」

めぐみは琉太さんにはもう興味がないのかだいちくんに話しかける。

「だいちくんは何のご飯が好きなの？　私、頑張って作るから教えてね？」

『この女！　八つ裂きにしてやる！』

ルナがめぐみの腹を蹴ったが幻のように霞むだけ。

『いったでしょ？　こっちからは干渉できないって･･････』

『だけど、この女！　フェリス様は悔しくないの？　琉太さんはこの女に･･････！！』

悔しくない？　何を言っているのかな、私だって今にも爆発しそうな怒りを抑えるので精一杯よ

その様子を見たルナは、

『･･････ごめんなさい辛いのはフェリス様もですよね』

と、冷静になった。

そこからの琉太さんの生活はあんまりでした。

ご飯はいつも残飯だけ。お風呂にすら良くて週に二回しか入れなかった。

「うわ！　こいつ臭！　ウンコマンじゃん！！」

当然いじめっ子に目をつけられる。

琉太さんの弟と兄も琉太さんを虐めた。

「クソ野郎！　母さんを返せよ！　この無能！」

毎日ボコボコに殴られ帰宅すると。

「おい！　ここ掃除しとけって言ったよなぁ！」

理不尽な理由で父親や継母に殴られ、蹴られ。

『こんなのって、無いよ･･････！！』

ルナは涙していた。私だってさっきから涙が止まらない。

好きな人の衝撃な過去にショックを受けた。