異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪

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第二話……楽しい買い物

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「……よし出来たぞ!」

「見栄えはわるいですね」

「……」

 見栄えをディーに酷評されるも、晴信は採掘用のロボットを作り上げた。
 損耗が多いであろう肩関節は大きくし、足回りは履帯化した。


「GO!」

 ロボットのAIに掘削の指示を出し、待つこと二時間。
 工場の脇の資源置き場には、沢山の鉄鉱石が積まれることとなった。


「どんどん溶かすぞ!」

「了解!」

 晴信とディーは楽しそうに鉄の精錬を始める。

 資源置き場に積まれた鉄鉱石を、どんどんと炉に放り込んだ。
 炉までの輸送は、もともと工場に備わったクレーンが搬送を行う。

 酸化鉄の酸素を炭素に吸収させ、鈍い銀色の鋼板が出来上がった。
 晴信はそうして作られた鋼材をもとに、全長50Mほどの宇宙船の製造を開始。
 二日後には完成にこぎつけた。

 ちなみに、記念すべき船名は「アルファ号」と名付けられた。



☆★☆★☆

「ねぇ、ディー。この世界には、文明をもった生き物とかいるの?」

「いますよ、ハルノブみたいな人間ではないですけどね」

「じゃあ、会いに行こう!」

「了解です!」

 晴信とディーは、出来上がった宇宙船に鉄鉱石を詰め込む。
 そして工場に置いてあった燃料を注ぎ込み、宇宙へと飛び出したのだった。

「発進!」

「了解!」

 とりあえずは、晴信が船長、ディーが航海士といった感じで役回りを決めた。
 しかし、晴信はほとんどわからないから、ディーに教わりながら船を飛ばす。


「ハルノブ! あの構造物に文明をもった生物がいるよ!」

「よし近づいてみるぞ!」

 宇宙ステーションのような巨大な構造物に、アルファ号は接近。


「こちらステーション『タイタン』。未確認船、止まりなさい!」

「こちらは一般貨物船です。積載物は鉄鉱石です!」

 アルファ号のモニターに、タイタン側の管制官が映る。
 晴信は思いっきり笑顔を作って、顔を引き攣らせた。


「良かろう、あとで船長は管制室まできなさい!」

 アルファ号は、無事に宇宙ステーション・タイタンに入港。
 その後、晴信は管制室に出向いた。



☆★☆★☆

「おお? 君は絶滅危惧種の人族じゃないか!」

「……ええ」

 人間が絶滅した世界なので、晴信は好奇な目で見られる。
 管制官の殆どは獣人。
 ゲームやファンタジー世界でお馴染みの姿をしていた。

 管制官はひとしきり調書を取った後。
 晴信の「アルファ号」を正式に登録してくれた。


「あとな、ハルノブさん。惑星間ギルドにも登録しておいた方が良いよ!」

「それはどこにあるんです?」

「このコロニーの中央部の繁華街になる。行けばわかるってもんよ!」

「わざわざありがとうです!」

 晴信は御礼を言って、管制室を出た。
 次に目指すは惑星間ギルド。
 話を聞くには、貿易をするのに便利な組織なのだそうな。

 ギルドへと向かう途中。
 様々な歓楽街が、晴信とディーの心を癒す。
 最近は工場に引き籠りで、人との交流が無かったからだ。



☆★☆★☆

「あのー、登録に来たんですけど……」

「おお、新人か!? まずは名前と生体認証の登録を頼むぞ!」

「はい」

 晴信は必要事項を記入すると、小さなカードを貰った。
 左上にちいさく【Fランク】と描かれていた。

「このカードさえあれば、ギルドから仕事を請け負ったり出来て、時には身元証明書にもなるんだ。なくさないようにしとけよ!」

「はい!」

 馬面のギルド員に、元気な返事をする晴信。
 ちなみ、にギルドの仕事を請け負ったりして貢献したりしていくと、ランクが上がるらしい。


「積み荷があるなら、交易広場に行ってみるんだな! 商売相手が見つかるかもだぞ!」

「はい!」

 晴信はディーとともに、ギルドの建物を出て、交易広場というところへ来た。

 そこは凄まじい喧騒で、熱気にあふれた市場と言った風であった。
 また、意外と近代的な市場ではなく、敷物の上に売りものを広げている商人たちも多数いた。


「美味しいものが欲しいねぇ……」

「私は必要ありませんが……」

 ディーは無生物なので、食料はいらない。
 が、晴信はれっきとした人間。
 工場にある食料も無限にあるとは言えないので、ここいらで買っておく必要があったのだ。

 かといって晴信はお金を持っていない。
 まずは持ってきた鉄鉱石を売りさばくのが先決だった。


「意外と良い品だね! 全部貰うよ!」

 意外なことに買い手はすぐに見つかった。
 サンプルを見せると、いろよい返事を貰え、船倉まで案内。
 ありったけ、全部を買って貰えることになった。


「はい、お代だよ!」

 猫顔の獣人の商人さんから、お代として紙幣の束を3つ貰った。

「ありがとう!」

 晴信は手を振り、その商人と別れた。


「何を買おうかな?」

「何がいいですかね?」

 鉄鉱石のお代は沢山貰ったので、ディーと折半。
 お互いこの交易広場で、嗜好品など好きなものを買うことにした。

 アルファ号への搬入を済まし、宇宙ステーション・タイタンを旅立つ準備を始めた。



☆★☆★☆

「出発!」

 アルファ号の船倉には、新鮮な魚介類や肉、野菜。
 飲料品やお菓子なども多数詰め込まれた。

 ディーの買ったものは電子チップなどの機械類。
 彼はそういったモノが好きらしかった。

 こうして二人は、工場のある岩石天体へと帰還。
 楽しい買い物を終えたのだった。
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