宵宮高校の日常

ちくわぶ太郎

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葉村叶の日常

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私には、友達がいない。

最初のイメージ作りを少し失敗してしまったらしい。

たったそれだけだ。

中学校の友達は別のクラスで、高校で仲良くなった友達と話している。

だからって自分から話しかける勇気もないから、今日も1人でご飯を食べる。

ある日は教室で。ある日はトイレの個室で。ある日は校庭のベンチで。

「今日はどこで食べよう……」

自分の居場所を探して今日も校内を歩き回る。

「あの子、いっつもどこに行ってるのかな」
「また来た。何してるんだろ」

周りの人は変なものを見る目を向けて私の事をヒソヒソ話す。

直接話しかけてくれればいいのに。

「あれ、屋上開いてる……?」

たしか屋上は立ち入り禁止だったはず……

周りに人がいないのを確認して、そろそろと屋上への階段を上る。

「……あ」

外をのぞくと、女の子が両手を開いていた。今にも落ちそうだ。

「――よし」

……近づいて話しかけてみよう。気が変わって飛び降りないでくれるかもしれない。

「な、何してるんですか?」



「ありがとうございます!」

なんだかんだあって、田中紗季さきと名乗った彼女にパンを買ってもらった。

「あ、そういえば、結局何してたんですか?あんな所で」

「んーと……あ、風を感じてたの。あそこは誰もいないから、静かで気持ちよくてね」

「そうなんですか、いつもいるんですか?」

「まあ、ね」

「じゃあ、その……」

「ん?」

友達になってください。と一言口に出すのが躊躇ためらわれる。言葉に詰まっていると、

「毎日屋上にいるから、今度から一緒にご飯食べたり、する?」

紗季さんが途切とぎれ途切れにそう言ってくれた。

「――はい!」

私の高校初めての友達は、同じクラスの人でも部活の人でもなく、屋上で助けた先輩だった。
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