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葉村叶の日常
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私には、友達がいない。
最初のイメージ作りを少し失敗してしまったらしい。
たったそれだけだ。
中学校の友達は別のクラスで、高校で仲良くなった友達と話している。
だからって自分から話しかける勇気もないから、今日も1人でご飯を食べる。
ある日は教室で。ある日はトイレの個室で。ある日は校庭のベンチで。
「今日はどこで食べよう……」
自分の居場所を探して今日も校内を歩き回る。
「あの子、いっつもどこに行ってるのかな」
「また来た。何してるんだろ」
周りの人は変なものを見る目を向けて私の事をヒソヒソ話す。
直接話しかけてくれればいいのに。
「あれ、屋上開いてる……?」
たしか屋上は立ち入り禁止だったはず……
周りに人がいないのを確認して、そろそろと屋上への階段を上る。
「……あ」
外を覗くと、女の子が両手を開いていた。今にも落ちそうだ。
「――よし」
……近づいて話しかけてみよう。気が変わって飛び降りないでくれるかもしれない。
「な、何してるんですか?」
*
「ありがとうございます!」
なんだかんだあって、田中紗季と名乗った彼女にパンを買ってもらった。
「あ、そういえば、結局何してたんですか?あんな所で」
「んーと……あ、風を感じてたの。あそこは誰もいないから、静かで気持ちよくてね」
「そうなんですか、いつもいるんですか?」
「まあ、ね」
「じゃあ、その……」
「ん?」
友達になってください。と一言口に出すのが躊躇われる。言葉に詰まっていると、
「毎日屋上にいるから、今度から一緒にご飯食べたり、する?」
紗季さんが途切れ途切れにそう言ってくれた。
「――はい!」
私の高校初めての友達は、同じクラスの人でも部活の人でもなく、屋上で助けた先輩だった。
最初のイメージ作りを少し失敗してしまったらしい。
たったそれだけだ。
中学校の友達は別のクラスで、高校で仲良くなった友達と話している。
だからって自分から話しかける勇気もないから、今日も1人でご飯を食べる。
ある日は教室で。ある日はトイレの個室で。ある日は校庭のベンチで。
「今日はどこで食べよう……」
自分の居場所を探して今日も校内を歩き回る。
「あの子、いっつもどこに行ってるのかな」
「また来た。何してるんだろ」
周りの人は変なものを見る目を向けて私の事をヒソヒソ話す。
直接話しかけてくれればいいのに。
「あれ、屋上開いてる……?」
たしか屋上は立ち入り禁止だったはず……
周りに人がいないのを確認して、そろそろと屋上への階段を上る。
「……あ」
外を覗くと、女の子が両手を開いていた。今にも落ちそうだ。
「――よし」
……近づいて話しかけてみよう。気が変わって飛び降りないでくれるかもしれない。
「な、何してるんですか?」
*
「ありがとうございます!」
なんだかんだあって、田中紗季と名乗った彼女にパンを買ってもらった。
「あ、そういえば、結局何してたんですか?あんな所で」
「んーと……あ、風を感じてたの。あそこは誰もいないから、静かで気持ちよくてね」
「そうなんですか、いつもいるんですか?」
「まあ、ね」
「じゃあ、その……」
「ん?」
友達になってください。と一言口に出すのが躊躇われる。言葉に詰まっていると、
「毎日屋上にいるから、今度から一緒にご飯食べたり、する?」
紗季さんが途切れ途切れにそう言ってくれた。
「――はい!」
私の高校初めての友達は、同じクラスの人でも部活の人でもなく、屋上で助けた先輩だった。
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