触手の苗床にされてた剣士を助けたんだけどエロさが半端ない!

天城

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十話【第二部】

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「じゃあ、行くか」
「あの森へ? 歩いて行って追いつけるのか」
「んー、それは任せとけって」

 昨夜エディンから聞いた、教会の裏手の抜け道を使って村の外に出てみる。

 切り立った崖に辿り着くと、落下したら即死だろうなって高さに太いロープが垂れ下がっていた。こんなところを十歳程度の子供が行き来してるのかと思うとゾッとするが。
 ファスタール人ってのは過酷な砂漠で暮らしてたせいか結構身体が頑丈なんだよな。使い勝手の良い奴隷にされるのもそれが理由だろうけど。

 あの森から南下してくる時には荷馬車だったが、道は僅かに上り坂だった。その傾斜分を一気に飛び降りるのがこの崖ってわけだ。

「クロード、高いところは得意か?」
「え?」
「触手に巻き付かれて固定されるのと自分で抱きつくのだったら、どっちがいい?」

 にっこり笑って両腕を開いて見せると、クロードは躊躇するような間の後におずおずと俺の腕の中へ入ってきた。
 自分から抱きついてくるように指示してよかった。照れてるのが可愛すぎる。
 さて、と相手の腕を首の後ろへ回し腰をしっかり抱き寄せた。背に無数の触手を生やしてそのまま崖から飛び降りる。

「舌噛むから気をつけろよ」

 崖の凹凸部分に触手を引っかけ落下速度を調節しながら滑り降りていく。森の木々が近くなったら崖の側面を蹴り、一番高い木のてっぺんに触手を巻き付けた。
 振り子のように勢いをつけ、空を跳ぶ。

「――ッ!!」

 さすがにクロードがなんか言ってるみたいだ。……いや、叫んでるのか。
 頭の中は混乱してぐちゃぐちゃだから何を言ってるのかよくわからない。ただ、高いところが怖いんじゃなくこの速さと浮遊感がダメみたいだな。
 すまん、ちょっとだけ我慢してくれ。

 手当たり次第に高い木に触手を伸ばし、勢いを保ったまま次の木へ。一瞬で届く範囲に低い木しかない場合は、一帯に張り巡らせた根からテンタクルボールの成体が丸太のような触手を天に伸ばした。
 腕の中で目を回しているクロードをぎゅっと抱き直し、真面目に速度を優先したお陰か空中散歩はそうかからずに終わる。

 竜酔花の森は静かだった。
 俺がそのへんの竜種を片付けてしまったせいだが、あの時は夜だったから人間の気配はなかった。
 今は……だいぶ多くの人間が森の中にいるようだ。

「クロード、大丈夫か?」
「うん……。これからも、旅は徒歩で行こう……徒歩で頼む」
「そんなにダメだったか」

 俺がクロードを落すわけないから安心して抱かれてていいんだけどな。
 まだ足が立たないというクロードを抱き上げたまま人の気配のする範囲に近づいていった。
 この森は一定の距離で竜酔花が植えられていて、これに吸い寄せられた竜種が罠にかけられ捕縛されるようだ。大がかりな仕掛けが幾つか見てとれた。

 これ、テンタクルボールにとっては脅威にならないからちび達に無視されたのか? 根を伸ばした最初の探索で見過ごしたとは失態だった。俺が冒険者の目で見れば一目瞭然なんだが。

「『牧場』の竜が一匹もいないだと!?」

 突然、男の怒鳴り声が辺りに響いた。茂みに隠れて向こうを窺うと、初老の男がジェスター司祭に何か文句を言っているのが見える。一見身なりの良い、貴族みたいな男だがその顔は悪徳商人のように歪んでいた。

「納期が近いのに何をしてるんだ! 世話のガキ共はどうした!」
「それが、聖樹には何も問題はなかったと……」
「ならば竜を捕まえてこい! 数人くらい生餌にして構わん!」

 護衛のような男達を引き連れた初老の男は、言うだけ言って馬車に乗り込み去って行った。鬱蒼とした森の中でここだけ木を切り倒し広場のようになっている。石で組み上げられた墓のようなものがあり、地下に通じる穴と階段が見えた。

「何だあれ……あんなもん見当たらなかったはず」

 これはさすがにおかしい。
 あれだけしっかりした建造物が地下……つまり俺が根を伸ばした範囲にあれば異常だと気がつくはずだ。
 今も地中からその地下空間を探ろうとしてみるがある程度まで近づくと弾かれる感じがする。これは認識阻害の魔法か?

「結界だ。……ヴィンセント、結界の気配がする」
「魔術師でもいるのか。まさか、このへんに魔術が復活したのだって最近だぞ?」
「昔からある魔道具か、五百年生きていた魔術師か?」

 そんなことあるんだろうか。魔道具はないとも言い切れないが。
 長生きの魔術師はアレンみたいな人外でない限り無理じゃないか?

「エディン! ここ二日の見回りはお前の仕事だろう! 何をしていた!」

 ハッとして俺達が視線を向けると、ジェスター司祭に殴られたエディンが地面に倒れるところだった。茂みから飛び出して行きそうになったクロードを両腕で押し留める。

「今回の生餌はお前だ! 役立たずめ、せめて肉として竜を呼び寄せろ!」

 木の杭を取り出したジェスター司祭は石造りの墓標のような場所にエディンを引っ張り上げ、留め金をガンガンと槌で叩く音がした。
 エディンの押し殺した悲鳴が聞こえ、腕の中のクロードの身体が何度も震える。

「何をボサっとしている! 他の者は作業に戻れ! 一緒に吊されたくなければ働け!」



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