触手の苗床にされてた剣士を助けたんだけどエロさが半端ない!

天城

文字の大きさ
93 / 100
十話【第二部】

1-10

しおりを挟む



 翌朝早く、ジェスター司祭と子供たちは俺たちに挨拶をするとすぐ「おつとめ」へと出かけて行った。

 司祭は、礼拝堂が荒らされていることにはまだ気づいていないようだ。メイア教に朝の礼拝の習慣がなくて良かった。
 こっちは夜中のうちにアレンから分析結果も届いているので仕掛けるなら今だろう。さて、クロードには何から話すべきか。

「エディンは大丈夫だろうか……」

 見送った後、クロードがぽつりと呟く。
 髪をまた染め直したエディンは、顔にも何か塗り込め肌の色を変えて出かけて行った。それでも俺たちに向けて笑って手を振るところなんか、あの年齢にしては大人びてるんだよな。だから余計にクロードは気になるのかもしれない。
 クロードはエディンを見送った後からずっと落ち込んだように俯いている。ポンポンと布越しに頭を撫でて覗き込むと、少しホッとしたように頬を緩めた。

「俺たちが居ようが居まいが、エディンの日常は変わらないだろ。変わるのはこれからだ。さて、何からはじめるかな。……そうだクロード、砂漠にオアシスは見つけられそうか?」
「うん……不可能ではないと思う」

 話しながら、俺たちは老夫婦には辛いだろう朝の水くみをかって出た。井戸から大きな甕いっぱいに水を汲む。
 それと男手が必要そうな仕事はできるだけやってから出ていこうとクロードとも話してたんだ。世話になったしな。
 んー、あとは薪割りと家具の移動くらいしていくか?
 
 教会の謎の「おつとめ」のため司祭についていった子供達は十人ほどだったが、あの中で「色」を隠している砂漠の民は何人くらいいるのだろう。国を離れ親を奪われ、脅されて強制労働を強いられているファスタール人は想像以上に多いようだ。
 公式に奴隷扱いされているわけではないが、実質そんな状態だという。敗戦国の行く末なんて時代が変わっても似たようなもんか。

 さて、新しくアレンから送られてきた情報を整理しよう。

 ファスタールは俺とアレンが再生させた、五百年前の虫被害の土地と地続きだ。位置的に隣の国なんだよな。
 そこにはエルフ自治領とは比べ物にならない範囲の、広大な砂漠が広がっている。あの砂漠では人が住める土地はほんのわずかだ。
 クロードが人として暮らしていた時代のファスタールには国力があった。オアシス都市が機能していて物資が多く流通し、作物の育つ土地が少なくても豊かに暮らしているように見えたという。
 ファスタールには砂漠の他に鉱山が数多くありそれらの加工技術も高いんだ。扱う反物も煌びやかで独特な模様をしていたし、貴金属のデザインも周辺国の貴族に人気だった。
 それだけ豊かだったファスタールが何故こうも衰退したのか。

 アレンがいうには「精霊の加護を失ったから」だという。

「精霊の、加護?」
「あの国が呪術師の国なのは知ってるか。俺よりアカシックレコードのほうが詳しいかもしれないが。……彼らは精霊の力を借りて、風をよみ天候の変化を知らせ災害を予測する。砂漠の民の幸も不幸も精霊次第ってことだ。その力を失ってから緩やかに衰退していったって話らしい」

 ファスタールがいくら豊かな国だったとはいえ、もとより砂漠は過酷な土地だ。彼らが発展したのは加護の力あってこそ。
 未来が分かっていれば備えができて被害は最小に抑えられる。そういう危機回避の積み重ねで国は成長を止めずにいられた。
 その、精霊の加護に翳りが見えはじめたのがだいたい六百年前のあたりだとアレンはいう。

「そんなに昔……なのか」
「オアシスの水量が減りはじめた最初の記録がそのあたりだと」
「俺が苗床になった頃……つまりヴィノードが砂漠を離れて死んだあと?」
「何の関係もない、とは言い切れない。砂漠の民の中で何か事件があったのは事実だろうな。元より砂漠を民族だと言われてるし」

 北の部族と同じように、砂漠の民も帰属意識が強い。親が子を大事にするだけでなくルーツに対する強い思い入れがあるんだろう。ヴィノードがそこを離れたのは、普通のファスタール人の思考ならあり得ないんだ。

「ヴィノード個人についてはアレンの情報網にはこれ以上引っかからない。俺が知ってるのもテンタクルボールが最初の雄株候補としたってことくらいか……」

 そうやってクロードと半分頭の中で話しながら、薪もあるだけ割って老夫婦の指示通り模様替えなんかもして、俺たちは昼になる前に教会を出た。

 空はどんよりと曇った嫌な天気だった。
 植物の気分に引きずられるわけじゃないが、俺は雨なら雨、晴れるならカラッと晴れたほうが好きだな。

「同感だ。……俺も晴れた空に太陽が見えたほうが気持ちがいい」

 クロードが俺の傍らで空を見上げ、そう言った。  

 フードは目深に被っているものの垣間見えたエメラルド色の瞳と金の髪が眩しい。


しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

愛しの妻は黒の魔王!?

ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」 ――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。 皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。 身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。 魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。 表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます! 11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

BL短編まとめ(現) ①

よしゆき
BL
BL短編まとめ。 冒頭にあらすじがあります。

処理中です...