【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石

文字の大きさ
58 / 71

57・ゲッカビジンと、申し出。

しおりを挟む
「大切な役者が二人もいなくなってしまったわ。 これでは話が続けられないわね……。 さて、どうしようかしら?」

 小さく息を吐いてそう言ったハズモンゾ女公爵様に、お父様はやれやれと肩を竦め、トルスガルフェ侯爵はお茶の準備をするように指示を出していた。

 そんな中、部屋を出て行ったマミと院長先生が気になり扉の方を見ていた私は、自分に影がかかり、人の気配を感じ顔を上げた。

 私の目の前にはハズモンゾ女公爵様のご子息であろう、が、穏やかな微笑みを浮かべ、私が気が付いたことに微笑みを浮かべると、皇族と見まごうばかりの優雅な所作で、胸に手を当てて頭を下げてきた。

「お手をよろしいですか。」

「……えぇ。」

 戸惑いながらも頷くと、透き通る翡翠色の瞳を柔らかく細めた彼は、そっと私の手を取った。

「皇帝陛下の宝石姫、ザナスリー公爵家の白薔薇であるザナスリー公爵令嬢殿にお会いでき光栄です。 私はハズモンゾ公爵家嫡男ウルティオと申します。 どうやら話し合いは一時中断のようですので、よろしければ、トルスガルフェ侯爵邸の中でも珍しい花の咲く庭園へご案内したく。 貴女をエスコ―トさせていただく栄誉をいただいてもよろしいでしょうか?」

「……。」

 突然手を取られ、あまりに突然の事に声も出せず、ちらりとお父様の方を見ると、お父様は大きなため息を一つついた。

「決して二人きりにはならないように。」

「もちろんです。 大切なご令嬢をお預かりするのです、我が家の女騎士を護衛につけさせていただきます。」

 にっこりと笑った彼は、お父様に頭を下げた後、私の方を見た。

「お父様の許可も頂きましたので、参りましょう。 ザナスリー公爵令嬢。」

「では、よろしくお願いいたします。」

 急なことで驚いたものの、ソファを立ち上がった私は、彼のエスコートを受け、入った時とは違う扉から廊下に出た。

(とても歩きやすいわ。)

 ジャスティ第一王子殿下には最低限の公務でしかエスコートされたことがなく、普段の夜会などではお父様かアイザックとしか歩いたことのない私。 気遣う気すらなかったジャスティ第一王子殿下は論外として、幼い頃から共に暮らすお父様やアイザックではない人のエスコートは初めてだった。 そんな彼は、初対面であるにもかかわらず、歩幅や歩調など、丁寧に合わせてくれ、とても歩きやすいと思った。

 そんな彼のエスコートで私たちがたどり着いたのは、昨夜、この屋敷に到着したときと同じ、噴水のある見事な室内庭園であった。

(昨日拝見したときにはゆっくり見る余裕がなかったけれど、この室内庭園、隅々まで手入れが行き届いていて、とても美しいわ。 風も気持ちいい。)

 天井に近い位置に作られた窓はすべて解放されており、そこから差し込む柔らかな光と、吹き込む優しい風は心地よく、先ほどまで緊張で凝り固まっていた心が、ゆるゆると凪いで行くのがわかる。

「ここは、今から4代前の侯爵夫人が作らせたそうなんです。」

「そうなのですね。 大変心地の良い場所で、素敵だと思いますわ。」

 そんな、差し障りのない会話をしながら、わたしたちは庭園の奥へと足を勧める。

 彼の足取りに躊躇するところはなく、屋敷内を歩きなれていることがうかがえる。

(この方は、トルスガルフェ侯爵のお屋敷に詳しくていらっしゃるようだけど……いつもは帝国にお住まいなのよね……? もしかしてこちらにはよくいらっしゃるのかしら?)

 ちらりを彼の方を見れば、パチッと視線が合ってしまい、私は目をそらした。

「申し訳ありません。」

「何故謝られるのですか?」

 穏やかにそういう彼に、私は静かに答えを返す。

「不躾でしたわ。」

「初対面で商会もないままに突然散歩にお誘いしたのは私です。 ですから、先に不躾な真似をしたのも私です。 どうか謝らないでください。 ……実をいえば、今日、貴女にお会いできることを心から楽しみにしていたのです。」

「……私に、ですか?」

「えぇ。」

 それは何故?

 と、問おうとした時だった。 沢山の花が咲く花壇と彫刻の施されたプランターが並ぶ室内庭園の中の一角にある、私の背丈ほどもある大きな黒い箱の前で足を止めた。

「こちらです。」

「あの、お花を見に来たのでは、なかったのですか?」

「えぇ、これがその花です。」

 私の問いかけに彼が傍にいた庭師に指示をすると、彼らは丁寧に丁寧に、その箱を取り去った。

「……まぁ!」

 現れたそれに、私はつい、声を上げてしまった。

 目の前には、背が高く大きなサボテン。 その中央には、まるで上質な絹を広げて作ったような、美しい白い花が一輪、大きく花弁を広げ凛と咲いている。

「何て綺麗。」

「喜んでいただけて良かった。 これは、ゲッガビジンといいます。」

「ゲッカビジン、ですか?」

 その花のあまりの繊細な美しさに、目を離せずにいる私に、彼は穏やかな声で教えてくれる。

「はい。 実はこのゲッカビジンは、年に一夜、それもたったの数時間しか咲くことが出来ない儚く、しかし美しい花なのです。 初めてこの花を見た時、ぜひ貴女に見ていただきたいと思った。 そして、今日、貴女にお会いできると聞いた私は、これを見ていただきたくて、庭師たちに少々無理を言い、開花調整をしてもらったのです。 喜んでいただけて良かった。 無理を言って運び込んだかいたありました。」

 その言葉に、私ははっとして彼を見た。

「もしかして、わざわざ帝国からお持ちになったのですか?」

「えぇ。 先程も申し上げた通り、どうしても貴女に見ていただきたかったものですから。」

 嬉しそうに笑った彼の翡翠の目が合った私は、、咄嗟に目をそらしてしまった。

(しまった。)

 先程もそうだが、こんな風にあからさまに目をそらすなど、相手に大変失礼だ。

「も、申し訳……。」

「いいえ、お気になさらないでください。 先ほどサロンにいた時も、私の方を意識して見ないようにしていらっしゃるようでした。 いいのです、理由は解ります。 私は顔ですから。」

 彼のその言葉が何を刺しているかわかった私は、小さく首を振った。

「いいえ、そうではないのです……。 ご気分を害するような事をしてしまい申し訳ありません。」

「お気になさらないでください。 貴女にとってこの顔に良い印象はないでしょう。 衆目が集まる公的な夜会の場で、婚約破棄を言い渡されたのですから。 修道院に入られるほどには、そのお心は傷つかれたのに、同じ顔があるのです。 動揺しないわけがありません。」

「いえ、あの……違うのです。」

 そうではないと言う事を伝えようとしたのだが、彼は悲しそうに微笑んだ。

「お気遣いくださらなくても大丈夫ですよ。 先ほど倒れてしまった令嬢の様子を見ても、よくわかります。 それほどまでに私の顔は、貴女や彼女の心の傷をこじ開けてしまうほどに、血縁の父に似ているのでしょう……大丈夫です、この顔に対して皆が驚いたりするのは……もう、慣れています。」

「……。」

(……傷心で、というのは事実と違うのだけど、驚いたのは、そしてこの方を傷つけたのは事実だわ……。)

 その事実に、私はぎゅっとこぶしを握った。

 そう。

 顔を上げ、彼の顔を見た時、私は自分が動揺を隠せたことを褒めたいくらいに、本当に驚いた。

 彼の、何色にも染まる事のない漆黒の髪の毛以外は、その澄んだ翡翠の瞳も、彫刻の様に美しい顔立ちも。

 輝く金の髪をもち、紺碧の瞳を持った、誰よりも国王陛下に似ていると言われた私の元婚約者であるドルディット第一王子殿下よりも、似ていたのだ。

 気付かれぬよう一呼吸置き、私はもう一度頭を下げた。

「申し訳ございません。」

「そのように気にしないでください。 貴女があやまる必要はありません。 これは誰を責めることも出来ない、どうしようもない事です。 貴女は、私の血縁の父の事は御存じですか?」

 それには、偽る必要性がないと判断し、静かに頷く。

「はい。 院長先生から伺っております。」

「大丈夫ですよ。 あの場にいたと言う事はそういう事なのだと私もわかっています。 私は生まれて間もなく、3人の母の尽力により、ハズモンゾ公爵家に養子として引き取られました。 父も母も大変厳しかったですが、同時にとても愛し、慈しみ、公爵家の嫡男として育ててくれました。 私は両親に育てられ、妹もでき、とても幸せに暮らしていました。
 しかしある日、私はこの顔とそっくりの顔を王宮で見たのです。 他国の王が自分に瓜二つだった。 それはあまりにも衝撃的で、1週間寝込み、その病床で、父と母にお願いをして、すべてを教えてもらいました。
 生みの母のこと、育ててくれた2人の母のこと、そして血縁上の父のこと。 すべてを知った私は、正しく父と母の子である妹を後継としてもらい、私は社交界の表舞台に顔を出すことを辞めました。 それが7歳の時です。 あぁ、誤解しないでくださいね。 父と母は私の出自など構わないと言ってくれたのです。 それをよしとしなかったのは私なのです。」

 1人の子供が背負うには苦しい話を、とても穏やかに話すハズモンゾ公爵令息は、静かに私を見て微笑んだ。

「そんな私を、父も母も、幼い頃から皇宮によく連れて行ってくれました。 血縁上の父を見たのも、実はその時の出来事だったのですが……。 ご存じの通り、母は皇妃殿下の妹ですから、お茶会と言って私と妹を連れ出し、皇太子殿下や第二皇子殿下と遊ばせていたのです。皇帝陛下は、将来は皇太子殿下の側近になればいいと言ってくださり、共に勉学を学ばせてもくれました。 その時です。 貴女の話を聞いたのは。」

「え?」

 突然話の流れが変わり、しかも自分の事が出てきたことに驚いた私に、彼は微笑んだ。

「ある日、貴女とアイザックの絵姿を見せてくださいました。 そして、2人ともとても優秀であること、楽器を上手に奏でる事、勤勉である事、そしてドルディット国の王命で婚約者なってしまった事。 ……その後も事あるごとに、貴女の外交手腕がどれだけ素晴らしいか、とても大人びているのに甘い菓子が好きであること、アイザックとどれだけ仲が良いかなど、たくさん聞いたのです。」

「そ、それは……。」

 突然の事に、私は羞恥で顔が熱くなるのを感じた。

(伯父上様! 臣下の子供に何伯父馬鹿を爆発させていらっしゃるのですか!? 恥ずかしい!! もしかして他の皆様にもそんなことしていらっしゃたのですか!? だから外交の時、皆様微笑ましく私を見ていらっしゃったのですか!? もうっ! もうっ!)

 突然の事に怒りよりも恥ずかしさで居たたまれない。 次にお会いしたときには本気で抗議するしかないと決心しながら、頭を下げる。

「それは、伯父上様が大変ご迷惑をおかけしました。 ぜひお忘れください!」

「それは、出来ません。」

 きっぱりと言い切られ、私は困惑する。

「あ、あの……。」

「私はお話を伺い、絵姿を拝見するたびに、大変可愛らしい方だと思いました。 貴女が婚約破棄されたと聞いた時には駆け付けたいと思い、その後皇帝陛下の采配で弟君であるアイザックと知り合ったあとは、彼からもいろいろ聞きました。 修道院から送られてくるアイデアには、本当に驚かされましたよ。」 

(アイザックまで何をしているの……? もう! もう!)

 恥ずかしさでどうにかなりそうになりながら、私は平静を取り繕い、微笑む。

「ハ、ハズモンゾ卿は、アイザックと仲良くしてくださっているのですね。」

「えぇ、彼が帝国に来て、皇妃殿下のお茶会で顔を合わせてからはよく話をしておりましたね。 私は個人で商会を所有していますので、彼が帝国で商会を立ち上げるときに助言を求められましたし、逆に、彼が照会で新商品を出し始めた時には、その柔軟な発想にびっくりし、何度も話をしました。 その時に、商品が貴女のアイデアであると聞いたのですが。 子供用のおもちゃなど、本当に画期的で素晴らしい商品でした。」

(私がいないところで何を話しているの!?)

 今すぐここから逃げてしまいたいと思い、私は俯いた。

「女だてらにとお思いでしょう……? お恥ずかしい限りです。」

「そんなことはありません。」

 そっと私の手を取ったハズモンゾ卿を見れば、彼は穏やかに微笑むままだ。

「あの、ハズモンゾ卿?」

「ウルティオと、お呼びいただけませんか? そして私に、お名前を呼ぶ栄誉をいただけませんでしょうか?」

「では、ウルティオ様、と。 ……私の事は、ミズリーシャとお呼びください。」

 断る理由などなくそれに頷いた私に、彼は嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとうございます。 ミズリーシャ嬢。」

 にっこり笑って彼が私の名を呼んだところで、温室に誰か別の人が入ってきた気配を感じた。

「こちらにいらっしゃいましたか。 皆様がお待ちです。 サロンへお戻りください。」

「わかった。」

 僅かの間、見ているこちらの背すじが凝ってしまいそうな、すべての表情を落とした冷たい顔をした彼は、一度ゆっくりと目を伏せると、先ほど冷たい表情とは明らかに違う、穏やかで優し気な微笑みを浮かべて私の方を見た。

「ミズリーシャ嬢。」

「はい?」

「貴女がこれからお聞きになるのは、ローザリア帝国と教会、ドルディット王国と神殿にかかわる重大な話になります。」

 それには、解っていると頷く。

「はい、詳しくはお聞きしておりませんが、何か大きなことを成し遂げようとなさっていることは、存じております。」

 少し目を見開いた彼は、『やはりあなたはとても聡い』と呟いた。

「私も、貴女も、そしてあなたが友と呼んだ彼女も、この大きな渦に巻き込まれることになるでしょう。 そして、その後は最小限でとても大きな混乱が待っているのは確実です。 そしてその混乱を収拾するために、私はその渦中にこの身を投じることになります。 覚悟はしています。 そのために今日まで生きてきたのです。 ですが……もし、望めるのであれば……その時、貴女が傍にいてくれたら、と。」

「……え?」

 言われた言葉に顔を上げた私に、ウルティオ様は慈しむように私の手を両手で包み微笑むと、そのまま私の正面に膝を突いた。

「あ、あの。 ウルティオ様。」

 突然の事に慌ててしまった私の手の甲に、彼はそっと唇を落とした。

「お会いしたばかりだと言うのにと、信じていただけないかもしれませんが、私は、幼い頃から皇帝陛下や皇妃殿下、ここ2年ほどは、アイザックやあなたの母上を通して貴女の話を聞き、その気高さ、強さ、美しさ、かわいらしさ……そのすべてを愛おしいと思い、心からお慕いしていました。 今すぐに答えが欲しいなどとはけして申しません。 この容姿は、私でさえ嫌悪しているのです。 傷ついた貴女を苦しめるには十分でしょうから……。 しかし、もし、貴女が許してくださるのならば。 生涯を共に歩む相手として、私を選んでいただけたらと願っております。」

「……わ、私は……」

 あまりに突然の事に答えを出すことも出来ず、ただ戸惑うだけの私に、彼は何も言わずに微笑むと、すっと立ち上がった。

「先ほど申し上げた通り、答えは急ぎません。 何よりこれから先、このようなことは考えられなくなるほど忙しくなるでしょう。 御心を惑わしてしまった事をお詫びいたします。 サロンへ戻りましょう、ミズリーシャ嬢。」

 そう言って、何事もなかったかのように私をエスコートするウルティオ様に手を引かれるまま、私は室内庭園を後にした。
しおりを挟む
感想 188

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします

宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。 しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。 そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。 彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか? 中世ヨーロッパ風のお話です。 HOTにランクインしました。ありがとうございます! ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです! ありがとうございます!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。

ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」 実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて…… 「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」 信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。 微ざまぁあり。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~

猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」 王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。 王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。 しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。 迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。 かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。 故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり── “冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。 皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。 冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」 一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。 追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、 ようやく正当に愛され、報われる物語。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...