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〖第14話〗あの子の隣にいたかった
しおりを挟む久々にカメラを構える。段々世界は変わる。カナエちゃんは、木常を探す。ファインダー越しに見る世界は、狐野郎と、カナエちゃんのラブストーリーに変わっていく。
この世に不変の物はない。季節が移ろうように、人も変わる。恋をすれば尚更だ。
術を使ったことを後悔した。心の声をきいたことを後悔した。悲しい声だった。つらそうだった。オレの気持ちがつらいつもりんだと、解った。読心術は使ったことを後悔した。
無愛想な狐野郎と、カナエちゃんが話しているとき、いや、カナエちゃんが叶わないと知りながら狐野郎に一生懸命話しかけてるとき、つらくて泣きたくなってくる。カナエちゃんは、かつてのオレみたいだった。
『振り向いて、少しでいいから』
と切なそうに訴えているようだった。少し前までのカナエちゃんの隣はオレだった。笑顔も、飴より甘い言葉をくれた。でも、オレは恋の相手じゃない。
無理やり指先だけでも繋ごうとしてたオレは、端から見れば滑稽で、踏み込む場所を間違えばカナエちゃんにとって迷惑になる。嫌われる……ここまで気づくのに、読心術まで使ってやっと解った。
だから消えるよ。オレはいわゆる『はっぴぃえんど』が好きだからさ、狐野郎に、三回デートしてやってと頼むつもりだ。きっと、カナエちゃんの良いところが解るから。
あの子の隣にいたかったな。でも、仕方ないね。叶わないからヒトは神様に祈るんだ。色んな願いを込めて、此処に来る。
神様。オレのお願いをきいてください。お賽銭は、出世払いします。今度また誰かを好きになるときは『はっぴぃえんど』にして下さい。オレを主役の舞台で。
オレも誰かに必要とされたい。オレは声を殺して泣いた。
──────────《to next ⑮》
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