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〖第17話〗
しおりを挟む少年に見惚れるあまり、僕は動けない。目を白黒させて、
「み、水?あ、ペットボトルのでいい?」
「うん」
「裏回って、部屋に来て」
僕は、自分の手が震えていることに気づく。こんなに美しい人間が存在することを、神様は許したのか。
僕が漠然とそう思うほど、彼は純粋に美しかった。ドアをノックする音に、僕は『どうぞ』と言う。
碧色の瞳の彼は口唇も綺麗だ。吸い込まれそうに紅い。指先でなぞって、キスしたいと思った。視線を逸らせない。
「どうしたの?」
初めて会ったばかりのひとに口唇を執拗に見つめられたら気持ち悪いはずだ。僕は下を向いた。
いくら綺麗だからってキスだなんて。男の子なのに。一体僕はどうしちゃったんだろう。
「水、だったよね」
冷えてる方がいいだろうと、冷蔵庫から水を取ろうとすると、
「常温の方がいいな。それ、欲しい」
「僕、口つけちゃったよ?」
「構わないよ」
美味しそうに碧色の瞳の美少年は、僕の飲みかけのペットボトルの水を躊躇うことなく飲み干した。
何か、話をしなければ、と僕は少年に話しかけた。
「何処から来たの?家の人心配するよ?連絡、しなくていいの?」
そんなことは思っていなかった。あるのは引き留めたい。少しでも良いからここにいて欲しい。と言う想いだった。少年は、じっと僕を見つめた。
「ずっと待ってた。会いたかったよ」
待ってた、と言われても初対面なはずなのに、少年はずっと嬉しそうに笑っている。
「君が呼んだから来たよ、惣介。君だから来た。君は、俺のことが好きだろ?」
少年は悪戯っぽく笑う。僕の顔は火がついたように熱くなる。
僕は恥ずかしくてたまらなくて、下を向いて震えた。
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