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4話 思い出の旅後編

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駅の中に入り周りを見渡す。
 視覚出来る範囲の中、そこに真昼はいない。
 もう既に改札を通ったのか?

「連絡がない。どのホームかわかんねぇよ」

 スマホを見ても、真昼からの連絡がない。
 どのホームにいるかも分かない。

「電話を掛けてみるか」

 スマホを弄り、真昼に電話を掛ける。
 電話を掛け、三コールくらい経った。
 その時真昼が出た。

「はいもしもし」
「真昼! 改札通ったのか? 通ったならばどのホームだ?」
「……改札口の近くにあるベンチ」
「分かった。俺もすぐ向かう」

 真昼との通話を切り俺は懐にある。
 ICカードを取り出す。
 そのまま改札に通し、改札口を通る。
 通って二、三分歩くと、ベンチに座っている少女がおった。
 ベンチに向かって歩き出す。
 俺が歩き出した瞬間、アナウンスが流れた。
『……二番線に列車が着きます』
 タイミング悪過ぎだろ! 二番線のならば、人はあんま乗り込まないな。

「真昼、どうしたそんな暗い顔をして!」
「私、ユッキーに強く当たちゃった」

 真昼は雪ノ宮と衝突した事を気にしている。
 それは雪ノ宮も一緒だろう。
 二人は幼馴染であり大の親友。
 お互い後先考えず感情をぶつけた。
 この感じを見ると、いままで一回も喧嘩をした事がなさそうだ。
 一体どうやって、声を掛ければいいのか。
 俺は真昼の隣に座り、真昼の頭に手を置いた。
 真昼は頭に少しの重みが乗った事で、こちらに視線を向けた。
 その視線に気付き、頭から手を退けた。

「いきなり何するのよ」
「お前が落ち込んでるぽかったから」

 真昼は俺の言葉を聞いてから頬を膨らました。
 どうやら俺の言葉に納得がいかない様だ。

「音羽君は色々とずるい」
「何がずるいんだよ!?」
「そんな事、自分で考えて下さい」

 あれ? 完全に怒っていらっしゃる? 真昼が俺に敬語使う、何て久しぶりだ。
 ここで思い出感傷してもいいが、真昼の機嫌を取り繕ないと。

「ごめん分からん」
「音羽君。ちゃんと考えましたか?」
「一応考えた。だけど俺の頭では理解がな」
「もういいです」

 飽きられてしまったか。
 まぁそれで怒りが収まるならば、一件落着かな? ずるいって何だよ。
 少し腑に落ちないが、考えるのをやめた。

「これから何所に行く?」
「何処か遠い所」

 何処か遠い所、あんま思いつかんな。
 俺達が住んでる場所は都会より、そこから遠い所になると田舎。
 田舎ではダメだ、もし真昼に何か合った時。すぐに対応が出来ないかもしれない。
 折角の思い出作りだ、真昼には楽しんで貰いたい。
 だとしたら真昼が行きたがってた場所。
 そこに行った方がいい。

「なぁ真昼、前俺と行きたいって言ってた場所合ったよな?」
「え、うん」

 俺の唐突な質問に真昼は困惑してた。
 腑を付かれた様みたいになったな。
 真昼に質問した意図、聞かれたらどうするかな? 忘れたとか言ったら……。
「へぇー、私が行きたい場所忘れるんだね!」
 ニコニコしながら言って来そうだな。
 そういう笑顔が逆に怖い。

「音羽君どうかした?」
「いや何でもない」

 俺が考えすぎて、一切喋らないから心配された。 
 あんま考え過ぎてもいけない。
 真昼に無駄な心配を掛けてはダメだ。

「それより、何処の場所だったけ?」
「ん? もしかして音羽君、忘れたの?」
「え? 忘れてないよ」
「本当かね」

 真昼の思わぬ言葉言葉、いや予測していた言葉を言われてしまった。
 さてと、どう答える? 考えろ、考えろ。
 ……大体こういう時、脳が回らない。

「京都に行きたかったんだよな?」
「………」

 何で無言!? めっちゃ怖いんだけど!! 俺が真昼の言葉を待っていた。
 その時、真昼が腑と俺に笑顔を見せた。

「フフッ、ちゃんと覚えといてくれたんだね」
「そりゃ覚えとくよ」

 危ねぇ! 若干、適当に言った場所が合ってた。
 京都……京都か。
 ここから京都は少し遠かった気がする。
 まてよ? 真昼は遠い所に行きたい。
 それに京都は行きたい場所、だとしたら一石二鳥。
 だが、少し問題点を上げるとしたら、俺の金が足りるか。
 真昼に一応聞いてみないと。

「真昼京都に行こうと思う」
「え、本当!?」
「あ、ああ、行きたいのか?」
「それはそうだよ」
「真昼所持金足りるか?」
「うん、私は足りるよ。音羽君の方は?」
「俺は微妙かな。取り敢えず片道分はある」

 真昼は複雑そうな顔をしていた。
 まだ真昼は俺と旅をするのを躊躇ためらっている。
 こんな時、どんな言葉を掛ければいいか、分からない。

「そんな顔をするなよ」
「うん、ごめんね」
「さぁ電車に乗ろう」

 真昼に声を掛け、立ち上がった瞬間。
 横からグゥゥと聞こえた。
 音が聞こえた方に目をやると。
 真昼が恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
 幸いな事に俺達の近くには、誰もいない。
 恥ずかしてがる真昼に言葉を掛ける。

「取り敢えず飯……行くか」
「うん……ごめん」

 ポケットからスマホを取り出し、時間を見る。
 十三時二十分と表示されていた。
 時間を見てスマホを再び仕舞う。
 真昼に手を差し出した。
 真昼は俺の手を取り、そのまま外にまで歩き出す。
 近くに合ったラーメン屋で昼食をすませた。
 再び駅のホームに戻り、京都行きの電車と時間帯を調べる。

「結構距離掛かるね」
「まぁ仕方ないよ」

 思っていたより時間と距離が掛かるな。
 お金はまぁ何とかなる。
 さっき一応コンビニに入って、お金を下ろしといて正解だった。
 俺達は京都行きの切符を買い。
 時間になるまで、電車が来るホームで待っている。
 数分待っていたら電車が来た。

「これに乗ればいいんだよね?」
「ああ、そうだよ」

 電車の扉が開き中に入る。
 指定された場所に座る。
 次にアナウンスが流れる。
『御乗車ありがとうございます。この列車は京都行き』
 アナウンスが再び流れる。
 アナウンスが流れ終わると、列車が発車した。
 いまから本格的に思い出作りの旅。
 それが始まる。
 トンッと肩に重みがのし掛かる。
 横に視線を向けると真昼が寝てる。
 俺の肩に頭を乗せて少し寝息を立ってていた。

「今日朝から色々と合って疲れたんだな」

 京都に行くまでの時間。
 少しでも休めればいいな。
 と、思っていた刹那、胸がドクンと脈が急激に早まる。
「くそ! こういう時に発症するなよ」

 自分の症状に苛立ちを覚え、体が震え始めた時、俺の手が優しく包みこまれた。
 横を見ても真昼は寝ている。
 でも手だけは包んでいる。
 真昼は寝ていても、俺の違和感に気づいたのだろう。

「ちゃっかり右手の包帯を気づいてるな。俺も少し疲れたな」

 少しくらい真昼と、一緒に寝てもばちはないだろ。
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