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白骨
白骨4
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和夫は初めて見る白骨死体の前で説明を聞いても違いがまったくわからなかった。
「じゃあここにある白骨は男性のものか」
「いえ、肩幅や骨の太さから見て、頭蓋骨の大きさが小さい印象を受けます。小顔にしてもやや小さいのでは。それに全体的にごつごつしておらず滑らかです。断定はできませんが、全体的な骨格の大きさから見て、頭蓋骨は別の人間のものかと。あくまで推測ですが、顔は肉付けしていけば女性っぽい顔になりそうですね。実際つけてみないとわかりませんがね」
窪田は大きく息を吐いて「そうか」と言った。そして、のたりのたりと玄関へと向かい、「管理人さん、電話あるかい? ここ電波が悪くて携帯電話が繋がらないんだ」と話すと、志穂は、はっと水に打たれたように「こ、こっちです」と管理人室へと向かった。窪田は去り際に「柏田。ちょっくら警察呼んでくる」と言った。
和夫は驚いて、柏田と呼ばれた若い刑事に聞いた。
「え? あなたたち警察じゃないのですか?」
「警察ですよ。でも管轄が違うと僕ら部外者でしかないんです。ここで僕らが捜査していることも先方さんには知らせていませんからね。こういうものが見つかった限りは所轄通さなきゃやっかいになります」
和夫は何を言われているのか理解できなかった。警察は警察じゃないのだろうか。警察の中でも管轄が違うと部外者になる。なぜだろうという疑問が拭い去れなかった。
「この現場は現状維持しておかないとあとで色々面倒なことになりますので、いったんこの部屋から出て行ってもらえませんか」
柏田が和夫を部屋からだして三十分もしないうちに現場は完全に封鎖され、警察関係者で埋め尽くされた。志穂と和夫は洗いざらい紀之のことを聞かれ、そしてなぜここにいるのかなど、事件とは直接関係のないようなことも多々聞かれた。
和夫は、執拗に警察に詰め寄られた。ここへ来た理由として、「封筒を届けに来た」と答えたが、肝心の封筒が現場から見つからず、「どこかに隠したのではないか」「何か(和夫の)不利になるようなことが書かれているのではないか」とまで疑われる始末だった。
「封筒がない」と警察から聞き、和夫の背中には妙な寒気が走り、嫌な予感がざわざわと胸をなでた。
さすがに一日中質問攻めにあい、くたくたに疲れ果ててしまった和夫は、管理人室で志穂とぼんやりしながら座っていた。部署が違うということで同じ警察でも次々と人が来ては、三回ほど同じ質問に答えたこともあった。
ぐったりと畳の上に横になって天井を見ると部屋が回っているようだった。一日だけでも疲労はピークに達している。体は汗でべとついている。外はもう真っ暗で帰れそうもなかった。
「じゃあここにある白骨は男性のものか」
「いえ、肩幅や骨の太さから見て、頭蓋骨の大きさが小さい印象を受けます。小顔にしてもやや小さいのでは。それに全体的にごつごつしておらず滑らかです。断定はできませんが、全体的な骨格の大きさから見て、頭蓋骨は別の人間のものかと。あくまで推測ですが、顔は肉付けしていけば女性っぽい顔になりそうですね。実際つけてみないとわかりませんがね」
窪田は大きく息を吐いて「そうか」と言った。そして、のたりのたりと玄関へと向かい、「管理人さん、電話あるかい? ここ電波が悪くて携帯電話が繋がらないんだ」と話すと、志穂は、はっと水に打たれたように「こ、こっちです」と管理人室へと向かった。窪田は去り際に「柏田。ちょっくら警察呼んでくる」と言った。
和夫は驚いて、柏田と呼ばれた若い刑事に聞いた。
「え? あなたたち警察じゃないのですか?」
「警察ですよ。でも管轄が違うと僕ら部外者でしかないんです。ここで僕らが捜査していることも先方さんには知らせていませんからね。こういうものが見つかった限りは所轄通さなきゃやっかいになります」
和夫は何を言われているのか理解できなかった。警察は警察じゃないのだろうか。警察の中でも管轄が違うと部外者になる。なぜだろうという疑問が拭い去れなかった。
「この現場は現状維持しておかないとあとで色々面倒なことになりますので、いったんこの部屋から出て行ってもらえませんか」
柏田が和夫を部屋からだして三十分もしないうちに現場は完全に封鎖され、警察関係者で埋め尽くされた。志穂と和夫は洗いざらい紀之のことを聞かれ、そしてなぜここにいるのかなど、事件とは直接関係のないようなことも多々聞かれた。
和夫は、執拗に警察に詰め寄られた。ここへ来た理由として、「封筒を届けに来た」と答えたが、肝心の封筒が現場から見つからず、「どこかに隠したのではないか」「何か(和夫の)不利になるようなことが書かれているのではないか」とまで疑われる始末だった。
「封筒がない」と警察から聞き、和夫の背中には妙な寒気が走り、嫌な予感がざわざわと胸をなでた。
さすがに一日中質問攻めにあい、くたくたに疲れ果ててしまった和夫は、管理人室で志穂とぼんやりしながら座っていた。部署が違うということで同じ警察でも次々と人が来ては、三回ほど同じ質問に答えたこともあった。
ぐったりと畳の上に横になって天井を見ると部屋が回っているようだった。一日だけでも疲労はピークに達している。体は汗でべとついている。外はもう真っ暗で帰れそうもなかった。
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