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十六話 休日
しおりを挟む「シノガタさーん、いるー?」
土曜日の朝食中に子鬼が訪ねてきた。
ノノホカとトトンガ。相変わらず小さく愛らしい。
「どうされましたか」
「あのさ……学校にニエって人いる?」
ノノホカさんの問いかけ。学校にいるかいないか。いつも出会う。
「ええ、明るい女性ですよ」
「俺ら鬼って加担できないけど――真実だけは言えるんす」
「オイラたちあれからシノガタさんの事件を詳しく見直したんだ」
「鬼っぽくないお節介なんすけど……ニエさんには優しくしていたほうがいいというかなんというか」
「本当は家族だったもんな」
「バカお前!!」
家族、まさか、妹だろうか。でも名乗らない理由はなにもない。第一家族は全員が転生して幸せに暮らしている。鬼は嘘を吐かない。
「……まさか父の隠し子ですか!?」
「兄弟っていうよりは許嫁のほうが近いです」
「そんな、私は許嫁を焼き殺してしまったのですか!?」
「ニエさんを殺したのはシノガタさんじゃ……!!」
「子鬼ッそれは鬼にあらず――!!!!!!」
子鬼をとめるために発した、驚くぐらいの叫び声。
ナキの声で子鬼たちは押し黙る。鬼として、してはいけないことだったのだろう。
しかし、だとすれば私は……やはり許嫁を。
「でもさ、オイラはニエさんが焼け死んでないって認識してるよ」
何故、学校で出会ったのだろうか。私に近づくため? 他にも犬神さんが言っていた『私に会いにきた』もまだ謎が多い。関係あるのだろうか。
「ニエさんが復讐のために私に……近づいたなら」
子鬼たちが顔を見合わせた。
「駄目!! 地獄でも人が人に復讐したらまた裁判になっちゃうよ!?」
「俺、もしもニエさんがシノガタさんにまだ怨みを抱いてるなら果たすのは鬼の役目だと思ってる」
「えっと――『人が人として罪裁かぬように鬼が在り』なんだよ」
檻でも聞こえてきた言葉。鬼が人を断罪するのは人の怨みを消化し世界に残さぬため。
「本人に聞いてきます」
「「え!?」」
皆を連れてタクシーでニエの家を目指した。
あっさりと見つかり呼び鈴を押す。
「……シノガタさん!?」
「こんにちは」
「なになにぃ、遊びの誘い? ゲーセン?」
「ニエ様にお聞きしたいことがございまして」
「ええっと、皆とりあえず中に入って……玄関じゃなんだしさ」
大きな机を囲んでいる椅子。それよりも、もっと気になるものが。
机上には私とニエさんが子供に囲まれて楽しそうだ。
何故こんなものがあるのか。そもそも写真なんて奈良時代にはなかった。
「これは?」
「本来であればこうなるハズだった、ただそういう写真だよ」
ニエさんはお茶を入れてくれた。
怨みがあるなら毒だろうか、しかし、女の出したものを口にしないなどできるものか。
茶を飲んだ。
「……これは茶ですね」
「コーヒーのほうが良かったかな?」
「ニエさん、は、怨みがありますか?」
沈黙した末に彼女は意外な答えを出した。
「怨みは犬神くんとヘンリー・フィッシャーに抱いているわね」
犬神さん……と知らない人だ。
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