地獄に落ちた男は鬼に叶わぬ恋をする~事件の謎と恋心~

宝者来価

文字の大きさ
16 / 26

十六話 休日

しおりを挟む

「シノガタさーん、いるー?」

 土曜日の朝食中に子鬼が訪ねてきた。
 ノノホカとトトンガ。相変わらず小さく愛らしい。

「どうされましたか」
「あのさ……学校にニエって人いる?」

 ノノホカさんの問いかけ。学校にいるかいないか。いつも出会う。

「ええ、明るい女性ですよ」
「俺ら鬼って加担できないけど――真実だけは言えるんす」
「オイラたちあれからシノガタさんの事件を詳しく見直したんだ」
「鬼っぽくないお節介なんすけど……ニエさんには優しくしていたほうがいいというかなんというか」
「本当は家族だったもんな」
「バカお前!!」

 家族、まさか、妹だろうか。でも名乗らない理由はなにもない。第一家族は全員が転生して幸せに暮らしている。鬼は嘘を吐かない。

「……まさか父の隠し子ですか!?」
「兄弟っていうよりは許嫁のほうが近いです」
「そんな、私は許嫁を焼き殺してしまったのですか!?」
「ニエさんを殺したのはシノガタさんじゃ……!!」
「子鬼ッそれは鬼にあらず――!!!!!!」

 子鬼をとめるために発した、驚くぐらいの叫び声。
ナキの声で子鬼たちは押し黙る。鬼として、してはいけないことだったのだろう。
 しかし、だとすれば私は……やはり許嫁を。

「でもさ、オイラはニエさんが焼け死んでないって認識してるよ」

 何故、学校で出会ったのだろうか。私に近づくため? 他にも犬神さんが言っていた『私に会いにきた』もまだ謎が多い。関係あるのだろうか。

「ニエさんが復讐のために私に……近づいたなら」

 子鬼たちが顔を見合わせた。

「駄目!! 地獄でも人が人に復讐したらまた裁判になっちゃうよ!?」
「俺、もしもニエさんがシノガタさんにまだ怨みを抱いてるなら果たすのは鬼の役目だと思ってる」
「えっと――『人が人として罪裁かぬように鬼が在り』なんだよ」

 檻でも聞こえてきた言葉。鬼が人を断罪するのは人の怨みを消化し世界に残さぬため。

「本人に聞いてきます」
「「え!?」」

 皆を連れてタクシーでニエの家を目指した。
あっさりと見つかり呼び鈴を押す。

「……シノガタさん!?」
「こんにちは」
「なになにぃ、遊びの誘い? ゲーセン?」
「ニエ様にお聞きしたいことがございまして」
「ええっと、皆とりあえず中に入って……玄関じゃなんだしさ」

 大きな机を囲んでいる椅子。それよりも、もっと気になるものが。
 机上にはとニエさんが子供に囲まれて楽しそうだ。
 何故こんなものがあるのか。そもそも写真なんて奈良時代にはなかった。

「これは?」
「本来であればこうなるハズだった、ただそういう写真だよ」

 ニエさんはお茶を入れてくれた。
 怨みがあるなら毒だろうか、しかし、女の出したものを口にしないなどできるものか。
 茶を飲んだ。

「……これは茶ですね」
「コーヒーのほうが良かったかな?」
「ニエさん、は、怨みがありますか?」

 沈黙した末に彼女は意外な答えを出した。

「怨みは犬神くんとヘンリー・フィッシャーに抱いているわね」

 犬神さん……と知らない人だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

陛下の失われしイチモツをみつけた者を妃とする!………え、ヤバいどうしよう!?

ミクリ21
BL
主人公がヤバいことしてしまいました。

届かない「ただいま」

AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。 「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。 これは「優しさが奪った日常」の物語。

記憶の代償

槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」 ーダウト。 彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。 そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。 だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。 昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。 いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。 こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

処理中です...