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十八話 ネット
しおりを挟む家に犬神さんを招いた翌日、ニエさんが近づいてきた。
「昨日は二人でどんなお話したの? 楽しかった?」
「楽しいかどうかはともかく家も持たないのはちょっと――」
「え?」
「人間の形をしているものが野ざらしで寝ているのはどうにもと、家にあげました」
怨んでいると告げていたが。特に親切にしたことに怒りはみうけられない。何故。
「……シノガタさんならそうするよね」
文字の授業や算数の授業、そして今のこと。
「インターネットという文化が発展しました、パソコン室に行きましょう」
パソコン室にはテレビのようなものが並ぶが、違うもの。
とても難しいがクリックやキーボードで文字を打つなどといった操作を学ぶ。
ライトさんは楽々こなしていく。
「僕には楽勝、パスワードの解読だってしてきたんだから」
「まー今を生きてたなら余裕やろ、ウチもできるし」
「情報を調べるならパソコンは必須だよね、何でも分かるもん」
何でも分かるなら、男についても調べられないだろうか。
「かわりに文字を打ってもらえませんか?」
「僕ちゃんのスキルがお望みね、特別に今回だけタダでいいよ」
「ヘンリー・フィッシャーと」
「知らない人だけど……調べれば分かるか、おっけーあの世ペディア出てきた」
ホームページとやらで書かれている情報。
読めない漢字部分は音読してもらい、どうにか人物像を知ることができた。
【ヘンリー・フィッシャー】
『異世界からきて大量殺人、妖怪か人間かで揉めた初の裁判』
「異世界からきて……殺人?」
「異世界ってのは例えばお米が白くなくて青いとか、人ではなくて猫が喋る世界とか、何かが違う世界を異世界って呼ぶんだよー」
今では異世界のおとぎ話が流行っているらしく、あくまで夢物語だと教えてくれた。
「しかし、このヘンリーは異世界からきたと?」
「……あのさ『異世界から様々な道具を持ち込んだヘンリー。自分を神様だと村人を騙して隣村を焼き討ちした』ってあるんだけど、シノガタさん村やかれたって言ってなかった?」
村人を騙して、隣村を焼いた。それが本当なら何と彼に怒りが沸くことだろう。
ニエさんのことも気になるがこれは真実かと赤鬼に問いかける。
地獄では嘘をつくことは罪だが、インターネットには嘘も多いと先ほど習ったのだ。
「そうだな、ヘンリー・フィッシャーが焼いたのは確かだ」
「話きいとったねんけどおかしいやろ――アメリカ人が何で奈良時代の日本におんねん」
祖国がアメリカと書かれている。海の向こうにある巨大な国の名。たしかアイスクリームを天高く掲げた女の神様が統治する国だっただろうか。
殺し屋であるライトさん、現代の学生だった学生冬美さんにとっては何かが不思議らしい。
「ほんとだ、異世界からきたのにアメリカ人?」
「記事間違っとるんかな」
ナキは首を横に振った。
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