【完結】シスコン妹は大好きな姉のために、婚約破棄に奔走する

白キツネ

文字の大きさ
29 / 55

進学

しおりを挟む
 2年目になる学園生活、1年目と同様に成績で決められたクラスはほとんどが同じ顔ぶれでした。

「あまり変わってはいないようですね」
「それは成績順ですからね。1組に食い込むには難しいのでしょう。しかし、以前までは1組と2組はちょこちょこ変わっていたみたいなので、ここまで固定されているのは珍しいみたいですが……プッ、ふふふ」
「……なんだよ」

 クラス表を一緒に見ていたラティス様が途中で笑いを堪えられなくなり、声を押し殺しながら笑う。
 それを自分に向けられていると確信しているキースがラティス様にジト目を向ける。

「い、いえ……べ、別になんでも……」
「笑うなら笑えばいいだろ!」
「そんなっ……キースの理由を知っているのに笑うなんて……あはは、お、おかしい。だ、ダメ……お腹苦しい」
「結局笑ってるじゃねぇか!」

 どうしてこんなやり取りをしているのか。それはキースのクラスが3組になっているからです。

「だって~、1組から3組に行く人ってこの学園ができたから初めてなんですよ。は・じ・め・て。キース、歴代初めての名誉だよ……ふふふ」

 いつもよりも砕けた話し方をしているラティス様。キースが相手なので、いつもよりも素に近いのでしょう。ですが――

「そろそろ止めませんか? 今回の事に関してはキースは被害者です。そこまで第三者が何かを言う理由はありません」
「……申し訳ありませんわ、ローズ様。それと……キースもごめんなさい」
「あ、ああ……」

 キースが1組から3組に行った理由。それは護衛対象が3組にいるからである。つまり、2年になってもアレの成績がよくなる事はなかった。護衛対象を常に守るためには、従者も同じクラスに行くべき。そう結論付けられたのである。
 
 理屈はわかりますが、私には納得できません。ですがキースが同意した以上、私には何も言えないです。ただ――

「あ、あの人でしょ。1組から3組に落ちた人」
「落ちこぼれだったのかな~。まあいいんじゃない。実力通りのところに行けるんだからさ~」

 何も知らない、知ろうともしない人たちに――

「キース、陛下からの拝命、謹んで励みなさい!」
「……! はっ!」

 キースは突然のことに対してもキッチリと臣下の礼をとる。
 
「えっ、陛下からの……拝命?」
「ちょっ、私たちもしかしてまずいんじゃ……」

 こうやって、キースが実力で落ちた訳ではないという事を、知らしめることしかできないのですから。

「……ありがとうございます。ローズ様……」
「お気になさらないでください。アレの護衛は大変だと思いますし、何も知らない人から何か言われることがあるかもしれません。しかし、キースは堂々としていていいのです。貴方が優秀であると多くの人が知らなくても、私は……私たちは……貴方が関わってきた人たちは皆知っています。そのことは覚えておいてください」
「……ッ! はいっ!」

 キースは少し涙ぐみながら返事をする。この決断をするのにも色々と葛藤があったのでしょう。それでも国に忠誠を誓い、行動に移しました。それは誰にもできるようなことではありません。

「ほら、キース泣かないの。男の子でしょ。後は任せて、ローズ様は先に行ってください。待っているんでしょう?」
「……泣いてない。私のことはいいので、ローズ様は妹君のところへどうぞ」
「……ありがとうございます。辛いこと、大変なことがあると思いますが、私たちを頼ってくださいね。では、失礼します」

 私は後ろ髪を引かれる思いではありながらも、ティアの待つ教室へと向かう。
 ティアの事だから、おそらく心配はないはずなのだけれど、アレが何するかわからない以上、放っておくことはできません。

「私のお姉様はとても素晴らしい人よ!」
「そうかしら? ワタクシの憧れのお姉様より素晴らしいとは到底思えませんわ」

 一年生がいるはずの廊下。そこで言い合いをしている声が……しかも、一方の声は聞き間違えるはずのないティアの声です。
 それに、話題になっているのは私……

 迷っていても仕方ありません。軽く挨拶をして、ティアを連れて帰りましょう。

「ティア、お待たせしました」

 2人だと思っていた現場は、思った以上に人数が多く、その全員が振り返って私を見た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです

珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。 でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。 加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。

処理中です...