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陰で
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ティアが入学してから数日、ティアの周りにもいい友達が出来ていそうなので安心する。
初対面で「妹にしてください」って言うから変な子かと思ったけど、話してみたらいい子だったし……ただ、私が居ない時には何回か口喧嘩しているみたい。喧嘩するほど仲がいい……なのかな?
これでティアの学園生活も安泰。そう思っていたのに……
どうして、アレとティアが一緒に中庭に居るのでしょうか? それも仲睦まじそうに……一体何が?
「ほぅ。この国の王子は浮気を堂々とするのか」
後ろから声を掛けて来たのは今年から留学生として来たベルフリード皇太子殿下です。同じ立場を持つものとしてアレの様子はさぞ滑稽に映るでしょうね。
「浮気は別にどうでもいいのです。問題なのはその相手がティアであるということただ一つ」
「問題なのは相手が妹であることだけか?」
「ティアじゃなければ別にどうでも……アレがもっといい人ならティアにふさわしいと思いますが、アレでは到底ふさわしくありません」
「妹にふさわしいねぇ。自分の婚約者なのに酷い言いようだな」
「別に私もアレも望んで今の立場にいるわけじゃ……」
んっ? ベルフリード皇太子殿下……?
ギギギと音が鳴っているかのように、ぎこちなく後ろを振り向く。そこには紛れもなくベルフリード皇太子殿下が笑みを浮かべて立っていた。
「俺とわかった上で話していたのではないのか?」
「それはっ! そうですが……」
ティアとアレの取引に夢中になりすぎて、話しかけて来たのが誰かだなんて、そこまで気にしていませんでした。
「妹の方がよっぽど大事か。ククッ、レオの言っていた通り、他の奴とは違うようだな」
レオ?……レオ兄様? まさか、レオ兄様が学園に来れないので、ベルフリード皇太子殿下が?
「……流石に他国の王族相手に手を出すのはまずいかと」
「待て待て、どうして俺がアレに手を出すことになっている」
「? だってレオ兄様の知り合いなのですよね?」
「ああ、そうだが……いや、そういう事か……お前、相当アレのことが……」
「い、いえっ、決して! そんなことありません!」
「いや、今更取り繕うのは無理があるだろう……」
いえ、レオ兄様にはまだバレていないはずなので、まだ誤魔化せるはずです。そう、これ以上ボロを出さなければ大丈夫。
「そういえば、1つ、お尋ねしていいですか?」
「別に構わないが、なんだ?」
「アウレウスという方はどのような方なのですか? おそらく、レオ兄様と交流が深い方だと思うのですが……」
リリアにとってはレオニクスにはまだバレていない。ただ、アウレウスという人を知らなかったせいで、少し気分を損ねてしまったと思っている。
この国で、その名前を知らないということは、おそらく、アルベルト帝国の人間だ。そう当たりをつけてベルフリートに尋ねる。
それが1番ボロを出していることに気がつくことはなかった。
「…………いや、俺の国にはレオの知人でアウレウスという名前のやつはいない。お前が認識していないだけで、案外身近に居るんじゃないか?」
「? そう……なのでしょうか? 私の身近に……」
私の身近に……そのような方、居たかな?
「まぁ、これだけは言ってやるよ」
「?」
「レオとそのアウレウスというやつは仲が良くない。それも、一方は今すぐにでも消し去りたいと思っているほどに……な」
「…………」
「そんな事を話している間に、王子様との会談が終わったようだ」
その言葉に、2人がいた場所を見ると、アレはもう居なく、ティアだけが残っていた。
今すぐ話を聞きに行きたい。けれど、ベルフリード皇太子殿下の話にも気になることがありすぎます。
そんな事を考えていると、ティアから独り言が聞こえてくる。
「……ホントなんなのアイツ。お姉様のせいで成績を下げられているだの、『君もアレの嘘に苦しめられているんだろう。俺はわかってる』よ。嘘をついてるのはお前だろ! あーもう! ムカつく!」
「てぃ、ティア……?」
「どうやらお前のお姫様はご立腹みたいだぞ。よかったな。アレの虜になってなくて」
それはそうなのですが……ぇぇ、ならどうしてティアは仲良さそうにしていたの?
初対面で「妹にしてください」って言うから変な子かと思ったけど、話してみたらいい子だったし……ただ、私が居ない時には何回か口喧嘩しているみたい。喧嘩するほど仲がいい……なのかな?
これでティアの学園生活も安泰。そう思っていたのに……
どうして、アレとティアが一緒に中庭に居るのでしょうか? それも仲睦まじそうに……一体何が?
「ほぅ。この国の王子は浮気を堂々とするのか」
後ろから声を掛けて来たのは今年から留学生として来たベルフリード皇太子殿下です。同じ立場を持つものとしてアレの様子はさぞ滑稽に映るでしょうね。
「浮気は別にどうでもいいのです。問題なのはその相手がティアであるということただ一つ」
「問題なのは相手が妹であることだけか?」
「ティアじゃなければ別にどうでも……アレがもっといい人ならティアにふさわしいと思いますが、アレでは到底ふさわしくありません」
「妹にふさわしいねぇ。自分の婚約者なのに酷い言いようだな」
「別に私もアレも望んで今の立場にいるわけじゃ……」
んっ? ベルフリード皇太子殿下……?
ギギギと音が鳴っているかのように、ぎこちなく後ろを振り向く。そこには紛れもなくベルフリード皇太子殿下が笑みを浮かべて立っていた。
「俺とわかった上で話していたのではないのか?」
「それはっ! そうですが……」
ティアとアレの取引に夢中になりすぎて、話しかけて来たのが誰かだなんて、そこまで気にしていませんでした。
「妹の方がよっぽど大事か。ククッ、レオの言っていた通り、他の奴とは違うようだな」
レオ?……レオ兄様? まさか、レオ兄様が学園に来れないので、ベルフリード皇太子殿下が?
「……流石に他国の王族相手に手を出すのはまずいかと」
「待て待て、どうして俺がアレに手を出すことになっている」
「? だってレオ兄様の知り合いなのですよね?」
「ああ、そうだが……いや、そういう事か……お前、相当アレのことが……」
「い、いえっ、決して! そんなことありません!」
「いや、今更取り繕うのは無理があるだろう……」
いえ、レオ兄様にはまだバレていないはずなので、まだ誤魔化せるはずです。そう、これ以上ボロを出さなければ大丈夫。
「そういえば、1つ、お尋ねしていいですか?」
「別に構わないが、なんだ?」
「アウレウスという方はどのような方なのですか? おそらく、レオ兄様と交流が深い方だと思うのですが……」
リリアにとってはレオニクスにはまだバレていない。ただ、アウレウスという人を知らなかったせいで、少し気分を損ねてしまったと思っている。
この国で、その名前を知らないということは、おそらく、アルベルト帝国の人間だ。そう当たりをつけてベルフリートに尋ねる。
それが1番ボロを出していることに気がつくことはなかった。
「…………いや、俺の国にはレオの知人でアウレウスという名前のやつはいない。お前が認識していないだけで、案外身近に居るんじゃないか?」
「? そう……なのでしょうか? 私の身近に……」
私の身近に……そのような方、居たかな?
「まぁ、これだけは言ってやるよ」
「?」
「レオとそのアウレウスというやつは仲が良くない。それも、一方は今すぐにでも消し去りたいと思っているほどに……な」
「…………」
「そんな事を話している間に、王子様との会談が終わったようだ」
その言葉に、2人がいた場所を見ると、アレはもう居なく、ティアだけが残っていた。
今すぐ話を聞きに行きたい。けれど、ベルフリード皇太子殿下の話にも気になることがありすぎます。
そんな事を考えていると、ティアから独り言が聞こえてくる。
「……ホントなんなのアイツ。お姉様のせいで成績を下げられているだの、『君もアレの嘘に苦しめられているんだろう。俺はわかってる』よ。嘘をついてるのはお前だろ! あーもう! ムカつく!」
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