大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot

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第六章 大人で子供な私のことを

第151話 煮ますか? 焼きますか?

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「ふわー。やっと終わったー」

 テーブルに突っ伏す私。もう体力は限界に近い。軍にいた頃とはまた違った疲労感が、私の体に重くのしかかっていた。

「お疲れさまでした、魔女さん。さっきとは見違えるくらい綺麗になりましたね。空気もおいしいです」

「そりゃ、そうだけど……。というか、君、何でそんなにツヤツヤした顔になってるの?」

「そんな顔してますか?」

 テーブルを挟んで対面に座る彼が、首を傾げながら顔をペタペタと触る。どうやら自覚はないらしい。超人め。

「しかし、君ってすごいよね」

「へ?」

「だって、私と君って、今日会ったばかりだよね。それなのに、私の家に来て真っ先にするのが掃除だなんて。しかも、私にいろいろ指南しながら。すごいとしか言えないよ」

 私は、彼に向かって皮肉交じりにそう告げた。普段、皮肉なんてほとんど言わない私だが、今日ばかりは神様も許してくれるだろう。だって、家の掃除を頑張ったのだから。とってもとっても頑張ったのだから。

 私の言葉に、「……あ」と小さく声を漏らす彼。次の瞬間、その顔はみるみると青ざめ、体全体がブルブルと震え始める。「やってしまった」という心の声が、こちらにまで聞こえてくるようだった。

「ああ、ごめん。別に、私、怒ってるわけじゃ……」

「も……」

「?」

「申し訳ありませんでしたあああああああああああああああああああああああああ!」

 突然、家の中に響き渡る彼の声。ゴンッという、おでことテーブルのぶつかる音。

「ちょ!? だ、大丈夫。大丈夫だから。頭上げて」

「うう。ほんっとうに、ほんっとうに申し訳ありません。どうぞ、僕のことは好きに使ってください」

「いやいや。だから……」

「煮ますか? 焼きますか? あ、それとも油でカラッと……」

「そ、そんなことしないってば!」

 取り乱し続ける彼。そんな彼をなだめるのに、私はかなりの時間を要してしまった。
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