Norl 騎士魔王漫遊記

古森日生

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グリムリーパー

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騎士魔王の近衛隊グリムリーパー。それはヴァンノールが認めた強者だけが名乗ることが許される栄誉ある称号。
やがては魔族のみならず、人間、妖精、精霊に至るまでありとあらゆる強者を迎え入れるが、その最初の一人となったのが、ユフラテに住む騎士ブーケファルスだった。ブーケファルスはまだ年端もいかぬ少女ながらも魔界に伝わる魔器「スライダー」を自在に操り戦う魔戦士としていずれ魔界全土にその名を轟かす。
だが、そんな騎士ブーケファルスの第一歩が敗北から始まったことを知るものは少ない。

ノールと空焔がユフラテに着いた時、ユフラテは炎上していた。
正確にはツィグリス湿原から煙が見えていたので神速をもってユフラテに入ったのだが。
「我が君。まだ「居る」ようですな」
ユフラテに足を踏み入れるなり空焔がそういった。
「うむ」
ノールは頷き、視線を「スライダー」が祀られていたあの教会に向けた。
中からは何者かが争う気配。ひとつはブーケファルスのもの、もう一つはユフラテを襲った侵入者のものであろう。
ノールが扉を開けた時、決着がつこうとしていた。
黄金の鎧の騎士がブーケファルスの突き出したスライダーをかいくぐり、その体を袈裟斬りに切り裂いた!
「・・・っ!」
ブーケファルスはスライダーを手にしたままくずおれ、そして倒れた。
黄金の鎧の騎士は、持っていた長剣を血振りして鞘に納めた。
そして、入り口の方を振り返った。
「騎士魔王どのか」
ノールは頷いた。
「退いてくれまいか。私は今騎士魔王どのと闘うつもりはない」
確かに黄金の鎧の騎士に戦意は無いようだった。
だが―
「騎士魔王の騎士に手を出し、それが通ると思うのか」
ノールは闘気を放出した。
「・・・なるほど。この騎士、かなりの腕だったが騎士魔王どのの配下か。ならば、言い訳は通るまい」
黄金の鎧の騎士もまた闘気をまとった。
「思いがけぬこととはいえ、騎士魔王ヴァンノールと剣を交えるのは武門の誉れ。
このフレアビスが騎士魔王ヴァンノールを討ち果たす!」
覚悟を決めた黄金の鎧の騎士フレアビスはむしろ嬉々として長剣を抜き放った。
ノールもメルブレイズを抜き放った。
「いざ‼」
フレアビスが一歩踏み出した時、ノールの右腕が一瞬翻りフレアビスの両腕が音もなく大地に落ちた。
「な・・・ 」
フレアビスは茫然としていた。ノールの動きが全く見えなかったのだ。
フレアビスが踏み出す瞬間、ノールは必殺の間合いに飛び込み、フレアビスの左腕を切断、返す刀で右腕を斬り落としたのだ。
そのまま切り伏せることもできたが、ノールはバックステップで最初の位置に戻ったのだ。
フレアビスの眼にはノールの踏み込みすら見えなかった。
「魔王の戦技が・・・ これほどまでに凄まじいとは・・・!」
フレアビスは茫然とつぶやいた。
「貴様の目的は何だ。ユフラテを襲って何を得ようとした」
ノールの言葉にフレアビスは笑った。
「今となってはどうでもよいことだ。騎士魔王と死合うことができたのはこのフレアビスの生涯の誉れ」
そのままフレアビスは倒れた。おそらく敗れた時のために奥歯に毒薬を仕込んで置き、それを噛んだのであろう。
事切れたフレアビスにはもはや気を留めずノールはブーケファルスを抱き起こした。
ブーケファルスの体は、身に着けた薄金の鎧ごと切り裂かれていた。とめどなく血が流れ出し、失血での死はもはや免れまい。
そんな中でも、ブーケファルスの眼はノールを映し、微かに光が戻った。
「申し訳・・・ ありません。 ユフラテを、守れませんでした・・・」
今まさに死を迎えようとしているブーケファルスが口に出したのは、なんとユフラテを守れなかった詫び言だった。
「貴様の手はスライダーを手放しておらぬ」
ノールの言葉にブーケファルスの眼に涙が盛り上がる。そして、悲壮な顔は至福にかわり、その短い生涯を終えた。
「傷は正面だけですな」
空焔がブーケファルスの亡骸を見ながら云った。
「うむ。尋常の立ち合いで敗れたのだろう。亡骸をヴァンパレスへ。勇敢なる騎士の死を讃える」
「奴を殺したのは早まったかもしれませんな」
ノールからブーケファルスの体を受け取りながら云った。
「いや、これだけでは終わるまい。次の出方を待とうではないか」
ノールはそう言ったが、この後の邂逅はさすがのノールをしても想定していなかった事だった。

「ノールよ」
教会を出た時、ノールは声をかけられた。
相手は、襤褸のローブを纏い、漆黒の鎌を手にした細身だが屈強な漢。
やや長めの灰色の髪は天を向き逆立ち、細身の体は死人のように白いが、手にした黒い鎌を振るうには不足ない筋力を備える。
紫で切れ長の瞳は幽冥な焔を宿し爛々と輝く。
五下僕の中でも、きわめて特異な立ち位置をもつ漢。
創造主が命ずれば五下僕をも始末することができる実力者。
純粋な実力では、創造主を除けば疑いなく最強。
五下僕筆頭こそ騎士魔王だが、そのヴァンノールをしても抑えられぬ魔王こそ、この死神(ジョケル)ファーグラザだった。
騎士魔王ヴァンノールをしても、死神ファーグラザの姿を見たのは一万二千年の生涯で数回にすぎぬ。
「なぜ、貴様がここに・・・ 死神ファーグラザよ」
ノールは思わぬ相手にそう声をかけた。
「これだけの死が集まったのだ。わたしがいても不思議はあるまい」
「死を食らいにか?」
「そう云っては角が立つ。そなたらしからんな」
不機嫌を隠そうともしないノールをファーグラザはたしなめた。
ノールはファーグラザの得体の知れなさが苦手だった。
騎士魔王のリヴァイトールと、死神のデスシックルが正面切ってぶつかったらどうなるか。
考えるまでもない。リヴァイトールは両断され騎士魔王ヴァンノールは敗れるだろう。
だが、それだけの力を持ちながら死神ファーグラザは尋常の立ち合いをしないのだ。
騎士魔王としてはそれがどうにも面白くなく、ファーグラザの実力は認めつつも個人的には嫌悪していた。
だが、今の一言は確かに失言だった。
「・・・すまぬ。冷静でなかったようだ」
ノールの謝罪をファーグラザは長い沈黙で受け入れ、そして口を開いた。
「その娘、どうするのだ」
「ヴァンパレスに連れ帰る」
「死人は役に立たぬ」
「・・・わかっている。騎士ブーケファルスの力を惜しみ、奮戦を讃えるのだ」
やや食い気味なやり取りの最後に、ファーグラザは先程よりも長い沈黙で応えた。
「・・・衰えたな。騎士魔王」
「この姿だ」
「姿ではない。その気質だ。以前のそなたならば讃えはしても惜しみはしなかっただろう。わたしはそのようなそなたを好ましく思っていたのだよ」
どこまでが本心なのか。ファーグラザの物云いにノールは顔をしかめた。ファーグラザは手にしたデスシックルを頭上に掲げた。
そのままゆっくり反時計回りに一回転させ、にやりと笑った。
次の瞬間、ファーグラザの姿はものいわず掻き消えていた。だが、ノールの頭の中には確かにファーグラザの声が聞こえた。
『次にまみえる時には、騎士魔王の姿を魅せよ』
ノールは憮然として立っていた。
「我が君よ」
空焔の声に視線を向けると、抱きかかえていたブーケファルスがもぞもぞと動き出していた。
「なん・・・だと・・・」
空焔はブーケファルスを下ろし、立たせたが当のブーケファルスは茫然と自分の傷跡を触りながら立ち尽くしていた。
傷跡はすでになく、切り裂かれた薄金の鎧と、銀糸の衣からのぞく白い肌があるばかりだった。
そんなブーケファルスを横目にノールは考え込んでいた。
(死神ファーグラザは死の神だ。あくまで生死を反転させることは出来ぬ。奴にできるのは死を与えること、そして起こりうる死を余所に移すことだけだ。ブーケファルスの息が戻ったということは、代わりに何者かが命を失ったということだ。
そして、死神は決して無遠慮に死を移すことはしない。と、いうことはわしに関わりのある何者かの命を据え変えた、か?)
―誰が代わりに命を失ったか確かめねばなるまい。ほぼ確信はあったがそう思ったところがノールの甘さかも知れぬ。
だが、それよりも今はブーケファルスだ。
「どうして・・・?」
フレアビスに斬られた記憶があるのだろう。困惑したように声を上げた。
「あの男は死神ファーグラザ、死をつかさどる神だ」
「五下僕の・・・ 死神ファーグラザ様・・・」
「貴様は騎士フレアビスに敗れ、死んだ。だが死神が何を思ったか貴様の命を貴様に返したのだ」
「死神様がどうして・・・?」
ブーケファルスの白い顔が蒼く昏くなっていく。
これ以上疑問を持たせるのはよくない。そう判断したノールは話を打ち切ることにした。
「騎士ブーケファルスよ! 今こそ「スライダー」を手に我が戦列に加われ‼ この騎士魔王直々に迎えに来たのだ!」
ノールはメルブレイズを鞘ごと抜いて掲げた。
それを見たブーケファルスは慌てて片膝をついて敬礼した。
ノールはブーケファルスの肩をメルブレイズの鞘で二度叩いた。
ブーケファルスは差し出されたままのメルブレイズの鞘に口づけ、深く頭を下げた。
「・・・はい! ずっとお待ちしておりました! この命、騎士魔王様に捧げます!」

騎士魔王ヴァンノールはブーケファルスをヴァンパレスに連れ帰ったのち、ヴァンパレスで息のかかったものの生死を調べた。
生死のわからぬものは特命を帯びてヴァンパレスを離れているフォルネアだけだった。
やはり、か・・・ これはわしの弱さが招いたことだ。ブーケファルスには決して知られてはなるまい。


「申し上げます! クレイグルが謎の魔人の襲撃を受けています!」
ヴァンパレスの斥候が騎士魔王に報告を上げる。
ユフラテの一件以来、ノールは四方に斥候を放っていた。そのうちの一人が変事を報告に来たのだ。
「おのれ・・・ ユフラテといい、この騎士魔王をようも舐めたな!」
ノールは立ち上がって叫んだ。その叫びに大地が震える。
「空焔、ブーケファルス、わしとともにクレイグルへ参れ! フォルネア、パレスは貴様に任せた!」
「は・・・ フォルネアはパレスにおりませぬ」
「ならば、ラフアスを呼べ!」
ノールは己の迂闊に苛立った。そのままメルブレイズを手に玉座の間を出ていく。空焔とブーケファルスは黙って付き従った。

クレイグルの街はずれ。平穏に暮らしていた善男善女が屋敷の扉をたたき、声を張り上げていた。
「ハーク様! 我々をお救い下さい!」
「クレイグルをお救い下さい! 後生でございます!」
屋敷の前に集う善男善女は増えるばかりであった。
この屋敷には『光の炎』と称えられる勇者、ハーク=ユダ=イゾールドが住んでいた。
ハークは火と光の複属性を持つ戦士で、各地を放浪しつつ街々の危機を救い、勇者とたたえられていた。
クレイグルもハークによって救われた過去があり、その礼にとこの屋敷を贈られていた。
ただ、長い放浪が祟ったのかいつしかハークは病に倒れ旅に出ることも出来なくなり、クレイグルのこの屋敷に長い逗留をしていた。
それでも、街の危機には立ち上がり、戦い続けたハークをクレイグルの善男善女は頼りにしていた。
そんなハークには弟子がおりハークの身の周りの世話をしながらその戦技を学んでいた。
「皆さんお静かに! ハーク様のお体に障ります」
屋敷の扉を開けて一人の青年が顔を出した。彼こそハークの唯一の弟子にして光の炎を継ぐものとされる戦士、アーサーだった。
年のころは人間にすれば二〇代半ば、細面の美形で茶色の髪を額で二つに分け銀縁の眼鏡をしている。眼鏡の奥の焦茶色の瞳は優しく赤紫のジャケットとズボンがよく似合う。
しかし、その優しい瞳は苦悩に彩られていた。
「おお!アーサー君、ハーク様は⁉」
「もう炎が近くまで来ております! どうかお助けを!」
「ハーク様がもう戦えるご容態ではないことは皆さまご存じのはずでは・・・」
アーサーの抗議は善男善女の声にかき消された。
「このような状況で戦わずして何が勇者か‼」
「死にぞこないの病人を住まわせてやった恩を仇で返そうというのか!」
善男善女の声が重なる。
街の平和と、自らの安寧を求める彼らの声は徐々に大きくなった。そんな善男善女にアーサーは絞り出すように唸った。
「あなたたちはまだハーク様を利用しようというのか・・・! ハーク様はあなたたちのために戦って・・・ 戦い抜いてこのクレイグルを守ってきたというのに・・・!」
「ガタガタ云っていないでハークを出せ!」
「どうせ死ぬなら街を守って死ね!」
空を覆わんばかりに響く怒号に、アーサーは顔を真っ青にして絶望していた。
「あなたたちは狂っている・・・‼」
そんなときアーサーの背後から優しい声がした。
「皆さん、お待たせしました・・・。行きましょう」
ハークだった。
やせ細り、肌は土気色、目の下は紫の隈に覆われていたが、その眼だけはまだ力があった。
黄金の髪と黄金の瞳、光を顕すような白いワイシャツと白いズボン、手にはハークとともに武名轟く聖剣『ライティフォーク』が握られていた。
「皆さんの言う通り、この街は行く宛てのない私を養ってくれたのだよ・・・ その恩を、返さねばね・・・」
ハークは屋敷を出て、ライティフォークを抜き放った。
零れる光が周囲を照らす。
「アーサー・・・ 光の炎ハーク=ユダ=イゾールドの戦い・・・ よく見ておくのだよ・・・」
ハークはアーサーの方を見て微笑むと、表情を引き締め炎上がるクレイグルに駆けていった。

街の中心の噴水、普段はクレイグルの民の憩いの場である公園も、今は街に訪れた災厄の中心だった。
そこにいたのは、黄金の大針を持った一人の戦士。
白銀に逆立つ髪と眉、その下の瞳は蒼く鋭い。長さ五〇センチほどで太さは女子の腕程度の大針は冷気に結露している。
緑一色のローブはところどころ蔓草が金糸で縫い取られており雅で美しい。黄金の魔戦士ブライと呼ばれる戦士だった。
ブライは公園に現れたハークを見て、眉をひそめた。
「・・・プレイエ、たばかったな。わたしがこのような汚れ仕事を引き受けたのはこんな死にぞこないを殺すためではない!」
憤懣やるかたない、といったようにブライは叫んだ。
「死に損ないは戦場を離れ、安らかに死を待つがいい」
ブライはハークに興味を失ったように云い放ったが、次の瞬間表情を変えて黄金の針を横に薙いだ。
ブライを襲った『光の炎』が黄金の針に吹き散らされて消える。ブライの頬には冷や汗が一筋流れていた。
「・・・死に損ないと侮ると、死ぬのはあなたです」
ハークの黄金の瞳が爛々と輝く。
それを見て、ブライの眼もまた闘志に燃えた。
「・・さすがは『光の炎』。 いいだろう! 貴様を魔戦士ブライの敵と認めよう! 我が『凍気』、『光の炎』で止めてみせよ!」

ノール、空焔、ブーケファルスの3人はハークとブライの死闘が始まってほどなくクレイグルに入った。
「間に合ったようですな」
空焔が云うのへ、ノールはうむと頷いた。
「どうやらあの公園のようですな」
「急ぎましょう!」
ブーケファルスが空焔の指し示す公園へ全力で走っていった。炎上するクレイグルにユフラテが重なったのだろう。
ノールと空焔も走り出し、一瞬でブーケファルスを抜き去り公園へ急いだ。
ノールたちが公園にたどり着いた時、ブライとハークの戦いはすでに終盤を迎えていた。
「さすがは・・・ 勇者ハーク・・・」
つぶやき、ブライは血を吐いた。交錯したハークの顔は見えない。
「・・・貴様が万全ならば、敗れていたのはわたしかも知れぬ」
ブライは黄金の針を、突き立てたハークの胸から引き抜いた。
途端ハークの傷跡は凍結し血は流れなかったが、ハークは力なくその場にくずおれた。
「ハーク様!」
アーサーが倒れるハークを抱き留める。
ハークの顔がアーサーの方を向いたが、もはやその眼は何も映していないようだった。
「・・・アーサー、これをあなたに」
虚空にライティフォークを差し出すハークの姿に、もはやハークの死が免れ得ないことをアーサーは悟った。
アーサーはハークの手を掌で包みライティフォークを受け取った。
「ライティフォークは、あなたの手にあって輝くもの・・・ どうか、その光を手放さないで・・・」
ハークは何も映さぬ瞳で笑いかけると、立ち上がった。
その体から今までで最も強く、白く輝く光の炎が立ち昇る。
「魔戦士ブライ・・・ 今から光の炎の神髄をお見せしましょう・・・!」
命を燃やして力に変えているようなハークの気迫にブライは我知らず半歩後ずさった。
「むううっ 面白い! このブライ最大の技で応えよう!」
武者震いをし、自らを鼓舞するように叫んだブライの体から凍気が立ち昇り、周囲の温度が急激に下がっていく。
両手に凍気が集中され、ブライは両腕を頭上に掲げ組み合わせた。その体の前で大針が凍結し、切先がハークに向いた。
ハークは凍てついた胸の前で両手を合わせ、ゆっくりと開いた。その間に超高温に高められた光の炎が圧縮されていた!
『はああーーーーっ‼』
ブライが両腕を振り下ろす!
ハークが両手を突き出す!
ブライとハークの間で極限の凍気と光の炎が衝突した!
「・・・っ!」
刹那だった。
ハークの体が後ろに跳ね飛び、公園の噴水にたたきつけられた!
そのまま噴水の中に落下し、動かなくなる。
ブライはゆっくり手を下ろし、そして片膝をついた。
「ぐはっ・・・ 恐るべき男よ・・・」
決着はついた。

「魔戦士ブライとやら。見事な戦技だった」
ハークとブライの死闘を見届けたノールはブライを称賛した。
「騎士魔王・・・ヴァンノールか」
傷ついた今の状態では満足な戦いは出来ぬ、そう思ったのだろう。
せめて一矢、と黄金の針をノールに向けた。
「行くがよい」
ノールが云い放った言葉に、ブライは虚を突かれたように目を見開いた。
「・・・わたしを見逃すというのか」
「貴様ほどの戦士はそうはおらぬ。その力を惜しむのだ」
逡巡は一瞬だった。
「礼は言わぬ。さらば!」
ブライの決断は早かった。一瞬ののちにはブライの姿は掻き消えていた。
一線級の戦士であるブライは、その引き際もまた見事なものだった。
「次は貴様だ」
ブライの気配が消えるとノールは放心したままのアーサーに向き直った。
「貴様は師が倒されるのを黙って見ていたな。なぜだ」
ノールの言葉に、アーサーはしばらく時間が経ってから答えた。
「・・・見届けよと言われたからです。 たとえハーク様が敗れることがあっても、その言葉に背くことはない」
アーサーの言葉にノールは満足げに笑った。
「魔戦士と云い貴様と云い、魔界にはわしの知らぬ漢がまだまだおるようだ。
貴様、わしに仕えぬか? 遠からず先ほどの魔戦士とまみえる日も来よう」
「騎士魔王の目に留まるほど、私は強くはない」
いまだ放心したままのアーサーに、ノールは笑った。
「貴様と魔戦士では、万に一つの勝機もない。その力、実戦で磨いてやろう」
「ハーク様・・・」
放心していたアーサーの眼にわずかに光が戻る。アーサーは鞘に収まったままのライティフォークをじっと見た。
ゆっくりと鞘を払うと、ハークの手にあった時と同じか、それ以上の光がライティフォークから放たれた。
「これは・・・!」
アーサーは眩しそうにライティフォークを見つめていたが、抜いた時と同じようにゆっくり鞘に戻すと、ノールの眼を見て腰を落とし深く頭を下げた。
「仰せに従います。 ・・・ヴァンノール様。貴方の下で、光の炎を極めます」
「重畳。今日より貴様もグリムリーパーを名乗るがよい!」


クレイグルからさらに南、峻険な山脈にその庵はある。
魔王、魔王神、水神、死神に次ぐ、最後の五下僕。
その情報網、知識では魔界一と云われる、謀者ワイズメルティクレスの住まう『隠者の庵』だ。
メルティクレスは普段隠遁しており、その住処を知るものは同じ五下僕くらいであったろう。
庵の奥でメルティクレスは盤上遊戯をたしなみながら、騎士魔王の来訪を迎えた。
「そろそろ来る頃だと思っていたよ。ヴァンノール」
メルティクレスは盤上から目を離さず、ノールに声をかけた。
その見た目を一言でいうならば、五〇がらみの細身のサラリーマンである。
くたびれたような肌に特徴のない容貌、白髪交じりの髪を七三に分け、口ひげを蓄えている。
装束は紺の背広で、グレーのシャツに赤いネクタイをしている。
「メルティクレスよ。貴様に聞きたいことがある」
「ほう、どれかな?」
メルティクレスは初めて視線を上げ立ち上がった。そのまま応接間の中心のソファをノールに勧め、自らは愛用のデスクチェアに腰かけた。
「フォルネアは今どこにいる」
ソファに腰かけたノールはおもむろに問いを口に出した。
「死んだよ」
そんな問いにメルティクレスはあまりにも簡潔に答えた。ノールは半ばその答えを予期していたように頷いた。
「では次だ」
「ええっ⁉」
思わず、と云ったようにブーケファルスが声を上げた。
「き、騎士魔王様・・・ よろしいのですか?」
「貴様には関係のないことだ」
言い切られて、ブーケファルスは口をつぐんだ。そんなノールをメルティクレスは意外なものを見たように笑った。
「本当に甘くなったのだな、ヴァンノール。 次は?」
「ヴァンソールとは何者だ」
「君の兄だ。本来の騎士魔王だな」
云いながらメルティクレスはデスクの隅にあったボトルを手に取り、琥珀色の液体をショットグラスに注いだ。
「飲むかね?」
「いいや、よい」
ノールが断ったショットに入った蒸留酒を自分で呷りメルティクレスはノールを見た。
「サーヒから聞かなかったかね? 『ヴァン』ソールとして、次代の魔王たるべく育ってきたが君という規格外が生まれてね。
用済みとなり八つ裂きにされ闇に還ったという」
「そのソールがなぜ生きている」
「君だって八つ裂きにされたくらいでは死なないだろう。魔王を甘く見てはいけない」
愉快そうにメルティクレスは笑った。
「ソールは、なぜわしと闘ったのだ?」 
「さしもの魔王にも、寿命が迫ってきたからだ。魔槍ソールスティールを得、自分の生涯の意味を問いに君と槍を交わしたのだ。
ソールは強かっただろう?」
ノールは、岩場で槍を交わしたソールの戦技に思いを馳せた。
「強かった。わしと闘ったものの中では随一だった」
「だが、君には勝てなかった。それがすべてだ」
魔王としての前途を疑わなかったソールの生は、ノールが生まれたことですべてが狂った。輝かしい未来を失い放逐され、魔界を槍一本を頼りに渡り歩く。その戦技をヴァンノールに迫るほどに鍛え上げ、己の命の果てを見て生涯をかけて挑んだ。
だが、ヴァンノールが己を上回ることを身をもってその身に刻み込まれたわけだ。
「ヴァンノール。ソールは君と闘い、そして死んだ。それはよい。だが、その死を汚す奴輩がいる」
「黄金の戦士どもか」
「彼らは、もともとソールが集めた魔界衆と呼ばれる下僕だった。いずれも今の魔界にあってはひとかどの戦士たちだが、魔王の力には及ぶべくもない。ヴァンノール、彼らの目的は君を倒し、ソールの力を得て新たな魔王たることだ」
そこまで云って、メルティクレスはボトルからもう一杯蒸留酒を注ぎ、部屋の灯りにその琥珀色をかざし揺らした。
そして、ショットの酒を呷りまた笑った。
「まあ、放っておくがよいさ。今はソールの力を目覚めさせようと暗躍しているようだが、どうせソールの力を制御などできはしない。
うまく力を目覚めさせたとしても自滅して終わる」
「最後の問いだ。貴様は黄金の戦士どもはソールの力を手にしようとしていると云った。だが、魔戦士ブライも魔騎士フレアビスも主の死を汚すような下郎ではなかった。黄金の戦士どもで確実に消すべきはどいつだ」
「ヴァンノールが気にする相手ではない」
メルティクレスはぴしゃりと云ったが、ノールが沈黙するともう一度笑った。
「では、名だけは覚えておきたまえ。黄金の淑女プレイエ=エフランタ。己の分を顧みぬ愚か者だ」
ノールは、メルティクレスの言葉に話は尽きた、というように立ち上がった。
「世話になった。この礼はいつかする」
「なに。ヴァンノールが私に借りを作るだけでも痛快だよ。そうだ。最後に一つサービスだ」
部屋を出ていきかけていたノールが足を止めた。
「これから妖精城アルフヘイムに黄金の拳師が来る。迎え撃ってやりたまえ。
目的は『碧玉』。とはいっても、実際にそのような宝玉があるわけではない。魔界は負の感情が溜まりやすい環境にある。ユフラテしかり、クレイグルしかり、アルフヘイムしかり、な。長い年月を経てそれらが結晶化した、いわばエネルギー体だな。まあ、大したものではない。くれてやるも破壊するも君の思うままにするといい」
これまでの出来事のすべてを見透かしたようなメルティクレスの言葉に、ノールはメルティクレスと向き直った。
「メルティクレスよ。貴様は恐ろしい漢だったのだな」
この庵を何千年も出たこともなく、それでいて魔界全土の最新の情報に通じる。早耳どころの話ではない。魔界全土にどれだけの使い魔か、情報収集魔法を放っているのか。
「サーヒにもそう思っただろう? 視点が変わると見えるものも変わる、ということだ。サーヒも私も、絶大な力を持った『北の騎士魔王』の前ではただの文弱の徒だったのだからね」
メルティクレスの言う通りだ。サーヒも、メルティクレスもヴァンノールの前では小賢しいばかりの弱者でしかなかった。
「・・・兄には感謝せねばなるまいな」
ノールは、メルティクレスとサーヒに最大の賛辞を与え、庵を後にした。


「騎士魔王様・・・⁉ なぜアルフヘイムへ・・・?」
数か月振りにアルフヘイムへやって来たノールに、妖精王セィラは戦慄した。
数か月しか経っていないのに、以前来た時よりもノールの力が見違えるばかりに増大していたのだ。
そして、その背後に仕える三人の魔族。どの一人をとってもアルフヘイムを滅ぼすだけの力を備えた大物だった。
「少し力を使うぞ」
「はっ・・・ はい」
断らなくてもよいところをわざわざ断りノールは魔力を高めた。
かつてヴンターガストが座していた妖精の玉座。その玉座を形作る巨木から瘴気が立ち昇る。
瘴気はやがて一つの『石』となりゆっくりとノールの手に落ちてきた。
「こ・・・ このような禍々しいものが・・・⁉」
戦慄するセィラにノールは安心せよ、とうなずいた。
「妖精どもの負の感情の結晶だ。ヴンターガストの置き土産だな」
「騎士魔王様・・・ それをいったい?」
「じきに客が来る」
ノールが云うのと同時に、アルフヘイムの城門から轟音がした。
「来たようだな」
ノールはすでに踵を返していた。
城門には黄金の手甲をつけた屈強な拳師がいた。アルフヘイムの城門は魔王の力で守られているが、それを力で破ろうというのか扉に連打を浴びせかけていた。
「待っていたぞ」
城壁の上からノールが声をかけると、黄金の拳師は扉から離れ城門前の橋の上に着地した。
「ヴァンノール! さすがだな。予測していたか!」
短髪にした髪を八金でかため、道着に包まれた肉体は巌のようで、身のこなしはばね仕掛けのよう。
右手には黄金の手甲。
「おれは黄金の拳師、竜飛! 貴様にはフレアビスとブライが世話になったようだ。用事を済ませる前にその落とし前をつけてもらうぞ!」
竜飛は云うなりヴァンノールにとびかかった。ヴァンノールは身動きせず魔力を放出した!
「グワーッ!」
冗談のような苦鳴とともに竜飛の体は跳ね飛び、地面に強くたたきつけられた。
「貴様の力ではわしに指一本触れることも出来ぬ」
竜飛は全身を強く打ったようだが、すぐさま立ち上がり構えをとった。
「アーサー」
ノールは後ろに控えるアーサーに声をかけた。アーサーは一歩出て片膝をついた。
「貴様の光の炎、見せてみよ」
「はっ」
アーサーは城壁から飛び降り竜飛の前に降り立った。
「わたしは騎士魔王ヴァンノールがグリムリーパーの一、アーサー。 黄金の拳師竜飛、騎士魔王様と手合わせしたければまずわたしを打ち負かしてみよ」
アーサーがライティフォークを抜き放つと、聖剣からまばゆいばかりの光が放たれた!
「どけ! うらなり‼」
竜飛は黄金の手甲に闘気を纏わせ神速の突きを放った。
アーサーはライティフォークの刃の腹でそれをそらし、竜飛とすれ違う寸前体を返して横薙ぎに切り払った。
竜飛は身をかがめて躱し、手をついて回し蹴りを放った。
アーサーは体をそらして躱し左手に炎の魔法を宿した。
「エビルフレイム!」
竜飛は魔炎をもろに浴びて後ずさる。アーサーはその瞬間竜飛の首筋に何かを撃ち込んだ。
竜飛は大きくバックステップした。
アーサーは体の正面でライティフォークの切っ先を天に向けて掲げた。
「光の炎!」
バックステップした竜飛を追尾するように白く輝く炎が迫る。
「ぐっ!」
焦りをにじませながら光の炎を何とかかき消した竜飛だったが光の炎を放つと同時に前進していたアーサーの一撃に抗しきれずライティフォークの剣閃を正面から受けていた。
「グワーッ!」
竜飛の体は地面を数回転がって止まった。おびただしい血にまみれていたが、その闘志だけは衰えを見せぬ。
だが、自分に勝機がないことは痛いほどわかっているだろう。
しかも、騎士魔王ではなく従騎士一人に敗れたのだ。
竜飛は思わず歯噛みした。
その時、城壁の上からヴァンノールが竜飛に何かを投げて渡した。
竜飛は思わず右手で受け取った。
「戻ってプレイエ=エフランタとやらに云っておけ。 貴様はヴァンを貶めた。その報いを受けねばならぬ」
「ヴァンを・・・ 貶めた? おれを見逃すというのか」
ヴァンノールは答えぬ。
「後悔するぞ」
虚勢であろうがあくまで戦意をくじかぬ竜飛にノールは笑った。
「させてみよ」
竜飛はそれには答えず、大きくバックステップし、魔酔の森の奥に消えた。
「騎士魔王様。今の拳師に発信魔法を施しました。追跡も可能ですがいかがいたしましょう」
「もう少し泳がせておこう。奴らの本拠だけは掴んでおけ。 見事な戦技だったぞ」
「ありがたき幸せ」
竜飛はブライに比べれば遥かに組みし易い相手ではあったが、初陣の戦果に対するノールのねぎらいにアーサーは片膝をついて敬礼した。

魔界の辺境。黄金の戦士たちの根拠地である神魔大戦の遺跡である白亜の神殿に彼らは集っていた。
黄金の魔戦士ブライ、黄金の淑女プレイエ、黄金の楯ヴォーフラグ、そして—
「戻ったぞ」
黄金の拳師竜飛だった。
「まずは、受け取れ」
竜飛はノールから受け取った『碧玉』をプレイエに放った。
プレイエは『碧玉』を受け取り、検め、にっこり微笑んだ。
「さすがね、竜飛」
「まずは、といったな。ほかに何かあるのか」
黄金の楯ヴォーフラグが横から口を出した。
「ヴァンノールからプレイエに言伝がある」

『貴様はヴァンを貶めた。その報いを受けねばならぬ』

「どういうこと?」
首をかしげるプレイエに、どこからともなく声が響いた声が答えた。
「つまり、ヴァンノールはソール様とわしらの事を勘づいておる、ということよ」
風が巻き起こり、一人の老人がそこに立っていた。
白一色の法衣に、喉まである長い白髭、血のような赤い瞳の小柄な老人。その首には黄金のロザリオが下がっている。
黄金の神士フランキである。
「力だけの脳筋かと思って居ったが、思いのほか目端はきくということよ。それよりも竜飛よ。そなた、妙なものをつけられてきたな?」
「なに?」
「これよ」
フランキが手をかざすと、竜飛の首筋から呪い文のようなものが立ち昇った。
「発信魔法よ。そなたほどのものに気づかせずこんなものを仕込むとはなかなかどうして。
脳筋かと思って居ったが、思いのほか器用な術士がついておるということじゃ」
「すまぬ・・・」
恥じ入ったようにうつむく竜飛の肩を黄金の楯ヴォーフラグがたたいた。
全身を、厚金を重ねて作られた濃紺の無骨な鎧で包み、その体は竜飛よりも一回り大きい。その二つ名の通り、巨大な黄金の楯をもつ重騎士。
老境に入ったといえる厳しい顔にはいくつもの傷跡が走っている。
「相手は、かの騎士魔王。生きて戻っただけで十分だ。恥じ入ることなど何一つない」
ヴォーフラグは、胸を張れ、と竜飛に頷いた。
「そういえば、サグザーはどうした?」
「彼は、あの子に夢中よ」
フランキの声に、プレイエは息を吐いた。
「あの、魔天使か」
ヴォーフラグは苦々しげに顔をしかめた。
「確か、死んだのではなかったのか」
「そうみたいね。まだサグザーの出番は先。それまでは好きにさせておくわ」
あまり興味なさそうにプレイエは話を打ち切った。
「フレアビスが手に入れてくれたユフラテの碧玉、ブライが持ち帰ってくれたクレイグルの碧玉、そして、竜飛のアルフヘイムの碧玉。
あといくつ集めれば、ソール様はお目覚めになるのかしら?」
うっとりと、プレイエはつぶやいた。
「われら魔界衆の心は一つ」
ブライの言葉に、黄金の戦士たちは互いに頷き姿を消した。
その場にただ一人残ったプレイエは、昏い瞳で静かに微笑んでいた。


===
グリムリーパー用語集

死鎌(しけん)デスシックル
死神ファーグラザの魔器。実体のあるものすべてを切り裂く。この鎌の前には如何なる防備も無意味。

善男善女(ぜんなんぜんにょ)
皮肉。

光の炎(ひかりのほのお)
光と火の属性を同時に発現させること。もしくは勇者ハークをたたえる称号。

聖剣(せいけん)ライティフォーク
光の属性を強化する聖剣。右手で使わないと真価が発揮できない。

魔界衆(まかいしゅう)
ヴァンソールの近衛隊で彼が認めた七人の勇士。その証として黄金の武具を持つ。

発信魔法(はっしんまほう)
相手の位置情報を把握する魔法。そのままでは効果時間が短いので核になる何かを相手に撃ち込むのが定法。
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