冷徹公爵様にお決まりの「君を好きになることはない」と言われたので「以下同文です」と返したら「考え直してくれ」と懇願された件について

望月 或

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◆本編◆

5.衝撃的な事実

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 あれからヴァルフレッド様とはなかなか会えず、顔を見られたと思ったらすぐに出掛けてしまい、擦れ違いの日々が続いた。
 私は私で、公爵夫人としての心得や振る舞い、仕事等教わることが多過ぎて、忙しい毎日を送っていた。


 ヴァルフレッド様と義妹さんとの仲もあって、公爵家の使用人さん達に邪険にされるかと身構えていたけれど、実際は全くそんなことなく、皆とても優しくしてくれた。
 そして何故か全員、温かい眼差しでこちらを見てくるのだ。まるで子供を見守る親のような……。

 その謎な眼差しに頭上にハテナマークが付いたけれど、使用人さん達から一斉に蔑ろにされなくて一安心だ。


 ヴァルフレッド様は帰りもいつも遅くて、最初は一人で夕食を食べていたけれど、広いお部屋でポツンとご飯を戴くのは味気なく……。
 なので使用人さん達と一緒に食べたいとお願いしたら、皆さん快諾してくれて。
 皆さん気さくで話しやすくて、今では夕食の時間が一日の中で一番の楽しみになっていた。


 ヴァルフレッド様のお部屋で寝るのも、最初はいつ彼が帰って来るのか分からず緊張していたけれど、三日経ち、一週間経っても全然戻って来ないので、今では布団に入って数分で快眠出来るようになった。




 そうして、そんな日々が三ヶ月続いた、夕食後のこと。
 いつものように使用人さん達とご飯を楽しく食べて自分の部屋に戻る途中、執事のローレンさんが前から歩いて来た。
 年配な彼は様々な知識を持っていて、例え小さなことでも、毎度優しく丁寧に教えてくれる。
 そんな彼に、私は改めて感謝の言葉を伝えた。


「ローレンさん、右も左も分からない私に呆れることなく、いつも優しくしてくれてありがとうございます。他の皆さんもとても優しく素敵な方達ばかりで……。お蔭で楽しく過ごさせて頂いています。本当に感謝しています」
「そんな……。大変勿体無いお言葉ありがとうございます、奥様。わたくしどもの方こそ、旦那様と結婚して下さり、深い感謝の意を述べさせて頂きます。奥様と一緒になってからの旦那様は、毎日本当に上機嫌で嬉しそうで……」


 ………………。


 …………んん?


 ……へっ? 上機嫌? 嬉しそう??
 私の顔を見る度、ものすっごーく睨みつけてきますけどっ??

 ローレンさん、とても失礼なことだと承知で申し上げますが、老眼が深刻化していませんか? 老眼鏡を新調された方がよろしいのでは?


「以前、旦那様はお仕事に出掛けられて、数週間屋敷にお戻りになられないことは当たり前だったのですが、奥様が旦那様のお部屋で就寝されるようになってから、遅くなっても毎晩必ず帰って来られるようになりまして。朝はいつも早く出掛けられるので、奥様は旦那様がお部屋にいらっしゃったことはご存じなかったと思いますが……」
「え、えぇっ!? 夜、部屋にいたのっ!? しかも毎晩っ!? ちょ、待って!? 全く気付かなかったんだけどっ!?」


 衝撃的な情報に思わずタメ口でツッコんでしまったけれど、ローレンさんは気にすることなくニコニコと頷いて返した。
 ……てことは、私の間抜けな寝顔を毎晩見られていたってこと!? ヒィ……恥ずかし過ぎる!!

 ……ん? 待てよ? そうなるとヴァルフレッド様、一体どこで寝ていたんだろう?
 私、毎朝起きると必ずベッドのど真ん中にいるから、端っこで縮こまって身体丸めて寝てたとか……?


 ベッドの真ん中を陣取り、大の字になって涎を垂らしながらイビキかいて寝てる私と、ベッドの隅っこに身体を寄せて、布団も取られガタガタ震えながら丸まって眠るヴァルフレッド様――


 ……ああぁっ!! ここの主様なのに何てことさせてたんだ私っ!!
 想像するだけで身悶えする程申し訳無さで一杯になる……!!
 ヴァルフレッド様も遠慮なく私を叩き起こしてくれれば良かったのに!!


 私が頭を抱えて本当に身悶えていると、突然身体に勢い良く何かがぶつかってきた。
 バランスを崩し危うく倒れそうになったが、ローレンさんがとっさに支えてくれたので難を逃れたのだった。



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