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◆本編◆
9.次々と明かされる真相
「俺は何としてでも君に『愛してる』を言いたくて、毎晩寝ている君を抱きしめながら言葉にしようとしたけど、どうしても口から出てこなくて……。しかし、寝惚けている君はこの上なく可愛かったな。俺に擦り寄って抱きしめ返してきて、『ヴァルフレッド様好きー』と言いながら、俺の頬にキスしてきて……。本当に毎晩が至福の時間で……。あぁ、思い出しただけでも幸せだ……」
うっとりと言うヴァルフレッド様に、私は絶句する。
やっぱり抱きしめられてたー! しかも何てことをしてるの私っ!? いくらその顔が大好きだからって、き、キスとなっ!? 寝惚けるにも程があるわ!! 恥ずかしくて今すぐに死ねるわッ!!
「け、けど、どうして私を……あ、愛しているのですか? ヴァルフレッド様とは、婚姻式まで面識が無かったと思うのですが……」
「……アディル……君、社交場の時俺をずっと見ていただろう? 柱の陰から、遠くから」
ヒェッ、やっぱりバレてたー! 睨まれた時点で分かってたけどね!!
「あ、あはは……。あれだけ見てちゃ、やっぱり気付かれちゃいますよね……?」
「あぁ。俺を見てくる奴は、大抵打算的な奴らか、好奇心の目か、色目を使った女性達なんだが、君だけは違った。純粋な“好意”の視線だった」
“好意”という名の“欲望の塊”な視線ですけどね!?
「目が合えばすぐに逸らしたりその場から逃げる奴らが殆どの中、君は目が合うといつも可愛らしく微笑んでくれた」
あんなに怖い目つきで睨まれたら、普通の人は誰でも目を逸らしたり逃げ出したくなりますって!
――って、んんっ? 可愛らしくは分かりませんが、誤魔化し笑いはしていましたね、はい。
「けれどいくら目が合っても、君は微笑むだけで決してこちらには来ようとしない。いつも遠くから俺を見つめているだけ。周りの奴らは、公爵になった俺と繋がりを持とうと必死な者達が殆どなのに。――俺は君に興味を持った。何を考えているのか知りたいと思った。けれどこちらから声を掛けると逃げられると思った俺は、別の方法で素の君を知ろうと思った」
「別の方法……?」
「『変身魔法』で動物に変化して、君に近付いた」
……っ! もしかしてあのお利口な猫ちゃんが!?
「猫になって近付いた俺を、君は想像以上にすごく可愛がってくれた。君のことを知ったらすぐに止めようと思っていたのに、君の傍は居心地がとても良くて、気付けば三年もそれを続けていた」
……あの猫ちゃんがヴァルフレッド様だったなんて……。
確かに珍しい青藤の毛の色だったし、こちらの言葉を分かっているような仕草もしてたしな……。
……待って? 私が転生者ってこと、猫ちゃん姿のヴァルフレッド様に話してないよね……?
まぁでも、もし話してたとしても信じられない話だし、作り話だと思うだろうから大丈夫かな。
――あっ! 私、猫姿のヴァルフレッド様のお腹に思いっ切り顔を埋めて匂い嗅いだりしちゃってた!
猫好きなら、猫ちゃんが目の前にいたら絶対やっちゃうって! 『猫吸い』を我慢するの無理だって!
それについてはどう思っていたのかしら……。うぅっ、訊くの怖いから無かったことにしよう……。
「君は猫の俺に沢山の話を聞かせてくれたな。そして、君は本当に純粋な気持ちで俺の顔が好きだということが分かった。ただ見ているだけで幸せだと。近付いて俺を困らせたくないと。――俺は、初めて俺の顔に感謝をした」
「え?」
「君と離れたくなかったんだ。君の人となりに触れ、その時にはもう“好き”から“愛している”に気持ちが変わっていた」
「え……えぇっ!?」
「“猫”ではなく、“人”として君の傍にいたいという欲が出た俺は、どうしたらいいかローレンに相談した。彼は、『相手から好意を持たれているのなら、結婚の申し込みをしてみてはどうか』と提案してくれ、俺は早速君に縁談の申し込みをした」
「……! あれは政略結婚の申し込みではなかったのですか?」
「政略……?」
ヴァルフレッド様は、私の言葉にポカンとした表情を浮かべた。
「違う! それは断じて違うっ! 純粋に君と結婚して、ずっといつまでも一緒にいたかったんだ! そんな誤解をさせてしまったのなら、前以て君に会って文章でもいいから気持ちを伝えれば良かったな……。その前に、あの有り得ない噂の火消しが先か……。色々と順番が間違っていたようだ。気持ちが急っついてしまって……。本当に済まない……」
……ウン、ホントノホントニネ!!
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