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◆初夜やり直し編◆
1.阻止したい!
突然だが、只今、私は推しに押し倒されている。
……決して、意図的にダジャレを言った訳ではない。
そう、決して……!
“推し”と言っても、その相手は私の旦那様である、ヴァルフレッド・オブラスタ公爵だ。
ヴァルフレッド様は、自分のベッドに私を押し倒しながら、熱の籠もった青藤色の瞳でこちらをジッと見つめている。
そこには溢れ出る欲情も込められていて。
……思いっ切り、ヤる気満々だ。
“初夜のやり直し”というものを。
私はというと、顔には出していないが、内心、非常に焦っていた。
何故ならば、サボっていたからだ。
……ムダ毛の処理を。
だ、だってだって! 今日までずっとヴァルフレッド様と義妹さんが相思相愛で、私なんか眼中に無いものだと思っていたのよ!?
だから夫婦になったとはいえ、そういうコトは絶対に無いだろうと高を括り、面倒なムダ毛処理を疎かにしていたのよ……。
毎日の服装は、常に肌の露出が無いドレスを着ていたしね。
この、アディル・ラヴェイン――あ、今はアディル・オブラスタね――の身体はムダ毛が少ない方だと思うけど、長い間処理を怠るとやっぱりちょっとは目立ってくる訳で。
そんな恥ずかしい身体を、自分の“推し”には絶対に見られたくないのよ!
幻滅されたくないのよ!!
あぁ……。私の裸を見た瞬間、顔を歪ませて「えぇ~……」って表情になる彼がありありと目に浮かぶわ……。
そんな“推し”の顔なんて見たくないっ!!
え? 灯りを消して見えなくすればいいだろうって?
触られたらバレちゃうでしょう!? ツルツルとサワサワは大きな違いなのよ……!!
よって、“初夜のやり直し”を断固阻止したいっ!!
……しかし、今のヤる気満々のヴァルフレッド様に、「今日は止めて欲しい」と懇願しても聞く耳持たないだろう。
え? 言ってみなきゃ分からないって?
では試しに言ってみましょうか。気分を害されないように、オブラートに包んで――
「あの、ヴァルフレッド様……? 今日は、その……お止めになりませんか……? 私、突然で……。えっと、心の準備がまだ――」
「アディル……もしかして怖いのか? ――そうか、“初めて”……なんだな。ふふ、心配しなくていい。君を気持ち良くさせる自信が俺にはある。安心して俺に身を委ねてくれ。君の“初めて”が俺で嬉しいよ」
うぐっ! 輝くその微笑みが眩しくて目を開けていられない……!
それにしてもヴァルフレッド様、結構な自信をお持ちのようですね!? 今までどれくらいの女性を相手にされてきたのですかっ!?
「君と結婚してから、女性を快楽に導く方法が書かれてある書物を一通り熟読したから問題無い」
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どんな表情でその書物を購入して熟読していたのかが、とてつもなく非常に気になるところではありますがっ!
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