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1990年代

今、そこにいる僕

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1999年10月14日~2000年1月20日、全13話。

監督:大地丙太郎。

シリーズ構成:倉田英之。

キャラクターデザイン:大泉あつし。

音楽 :岩崎琢。

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 ごく普通の中学生・シュウはある日、謎の美少女ララ・ルゥと出会ったことで、突如未来の地球に飛ばされ囚われる。 

 そこでシュウは、ペンダントを用いて水を操るララ・ルゥを巡る過酷な戦争の現実を見る。

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第十三話「今、そこにいる僕」


 シュウとララ・ルゥが隠れ住んでいた村も狂王ハムドと側近アベリアが率いる少年兵部隊に蹂躙される。

 シュウと子供たちを殺そうとした少年兵ナブカ。

 背後からナブカを殺そうとした村の少女。

 ナブカをかばって少年兵ブゥは少女に殺され、その少女もナブカに殺される。


シュウ「ナブカーァァッ!!」

 そう叫んだシュウは憤怒の形相で、床に落ちていた銃でナブカに狙いをつける。

 引き金はひかれたが、シュウはナブカを撃つことができなかった。

 シュウは銃を投げ捨て、床にうずくまる。


 そこへ少年兵タブールがやってきて、即座にシュウを撃とうとするがナブカが止める。

ナブカ「殺すな。…もう殺したくないんだ」

 今度は子どもたちを撃とうとするタブールの前にシュウが立ちはだかる。

 構わずにタブールが撃とうとしたとき、「撃ち方やめ」の号令がかかる。

 掃討作戦は終わった。


 ララ・ルゥはアベリアに連れて行かれる。

 ララ・ルゥはペンダントを用いて自らの命を削って水を生み出すことが出来るため狂王ハムドに狙われていた。

 村の生き残りが集められ、アベリアは彼らに奴隷となったことを宣告する。

 ハムドの空中要塞ヘリウッドは浮上し、元の場所へ引き上げていく。


 村があった谷には、兵隊、村人の死体がおびただしい。

 シス、サラ、それにシュウたちも奴隷として牢に閉じこめられた。


 村で子供たちの面倒を見ていたシスは瀕死の状態。

 いまわの際、サラ・リングワルトに彼女のお腹の赤んぼうを憎むなと言い残す。

 サラは元はアメリカで暮らす少女だったが、ララ・ルゥと間違われてこの未来世界に連れて来られた。

 人違いと判明した後も解放されず、兵士を産むために何度もレイプされ、妊娠してしまったのだった。

シス「相手の男が憎いなら憎めばいい。この世界を憎むのもいい。でもその子だけは憎まないでくれ。憎まれるために生まれてくる子どもなんて…い…ない」

 息を引き取るシス。



 同じ村出身の仲間の少年兵ブゥが殺され、放心状態のナブカ。

 手にはシュウの使っていた棒を持っている。

 タブールはナブカを人気のないところに呼び出す。

 ヘリウッドは最強になったと喜ぶタブール。

 掃討作戦が終わり、やっと自分たちの村に帰れるのに、なに言ってるんだとナブカ


 タブールはもう故郷の村は爆弾がしかけられ、跡形もないんだと言う。

タブール「どうでもだっていいじゃないか。俺たちは最強なんだ。逆らうやつは俺が殺してやる」

ナブカ「狂ってる…。お前、狂ってるよ…。何がお前を変えたんだ?」

タブール「俺に言わせりゃ、変わったのはお前のほうだ」

 タブールは拳銃でナブカの腹を撃つ。

 ナブカは手すりを越えて下に落ちて行く。


 ヘリウッドの水はまた尽きようとしている。

 ハムドはペンダントの力で水をよこせと、ララ・ルゥに迫る。

 さもなくば村人の体をすりつぶして血の池を作り、そこにお前を沈めると。


 はいずりながら牢屋にたどりついたナブカ。

ナブカ「これがないとさびしいだろ」と棒をシュウに返す。

ナブカ「お前は帰れ。お前のいたところに帰れ。そこがお前のいるところ」

 そう言って事切れるナブカ。


 牢を脱走したシュウは、ナブカのつけていったネッカチーフで握った棒を手に結わえ、ハムドの部屋を目指す。

 彼を追いかけるタブールたちと撃ちあいになる。

 そのため撃った弾が機械を破壊していく。


 シュウが危ない。

 ララ・ルゥは力を使い、水を呼び寄せてシュウを助ける。


 ララ・ルゥが呼び寄せた水のためにヘリウッドに被害が広がる。


ハムド「お、お前は…!?」

シュウ「松谷修造!」

 シュウはハムドに向かっていく。


 シュウはひたすら棒で殴りつける。

 棒はついに砕け散る。

 悲鳴を上げ、ハムドは逃げ出す。


 ヘリウッドは熱暴走を始め、落下を始める。


 ララ・ルゥは持てる全ての力を解き放つ。

 ヘリウッドを滝のような水が襲う。

 押し流され、溺れ死んでゆく兵士たち。


 激流の中でサラは子どもたちを先導する。

サラ「大丈夫、絶対大丈夫よ」

 いつかシュウが口にした言葉を口にするサラ。


 子供がひとり、水流に流される。

 その子をすくい上げたのは、サラが相手をさせられた兵士の一人カザム。

 子どもをサラに渡し、カザムは水に飲まれて死ぬ。


 ハムドはバウンドシステムでどこかへ逃げようとする。

 しかしバウンドルームの扉が開き、流れ込んだ水にハムドは飲まれる。


 バウンドルームの中、激流に巻き込まれ、くるくる水中を回るハムド。


 それをコントロールルームで冷然と眺めるアベリア。


 主君一途の忠臣だったアベリア。

 ハムドが溺れ死ぬところをじっと見つめる。


 ヘリウッドは地面にぶつかり、空には虹がかかる。

 地には水があふれる。


ララ・ルゥ「いつかまた、一緒に夕陽、見ようね…」

 そう言って、力を使い果たしたララ・ルゥは消えていく。


 サラはこの世界で生きてみようと決意する。

 お腹の子どもはこの世界の世界の子どもだから。

 シュウは前にサラに嘘だと言われた言葉を口にする。

シュウ「生きていれば必ずいいことはあるんだ」

 サラは否定も肯定もせずただシュウを見つめる。


 アベリアの操作でシュウは元の世界へ戻される。


 シュウは来た時と同じ、夕暮れの工場に立っていた。

 元の世界に帰ってきたのだ。

 煙突の先端が消えているのだけが、今までの出来事が本当だったという証拠だった。

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 知る人ぞ知る鬱アニメの代表作。

 とにかく戦争の悲惨さで見た人を鬱にしてくれるアニメです。

 ほとんど喋らなかったヒロイン、ララ・ルゥは、力を使いすぎて消滅。

 もう一人のヒロイン、サラは、ララ・ルゥと間違って連れてこられ、レイプされまくって誰の子だかわからない子を産むため未来世界に残る。

 主人公のシュウは元の現代の世界に戻りますが、ララ・ルゥもサラも救うことができず、拷問されたり、戦闘に巻き込まれたり、悲惨な思いをするけど全く成長せずに、元の剣道の試合に負けて失恋した世界へ帰るだけ。

 しかし、観終わった後、美しい音楽と夕焼けのシーンが心に残る名作です。

 主人公の松谷修造のモデルは松岡修造なのかな?

 ちなみに後に同じ大地丙太郎監督作のアニメ「レジェンズ~甦る竜王伝説~」の主人公も「シュウ / 松谷修造:岡村明美」です。

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声の出演

シュウ / 松谷修造:岡村明美

ララ・ルゥ:名塚佳織

ブゥ:小西寛子

シス:松本梨香

ハムド:石井康嗣

アベリア:安原麗子
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