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12 天幕で
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デニスは
「行きましょう」と言うと天幕から離れるように歩き出した。
あれ?なかに入ってなにか言ってやるつもりのわたしは、戸惑いながらもついて行った。
デニスが向かったのは、食べ物の屋台だった。
「お肉がちょうど焼きあがったようだけど、レイは食べる?」
「食べる」と答えると
「いいね、平常心」と言われて
「残念、ただの食いしん坊」と答えて笑いあった。
お肉を食べて、ちょっとお菓子をつまんでいたら
「サンダース子爵様、レイチャル様」と声をかけられた。
「いよいよだ」とデニスは言うと、果実水を二つ取って、一つを渡してくれた。
わたしたちは、軽くグラスをあげると一気に飲み干し、並んで天幕に向かった。
「だから、何度も言うが、クリスティーン様を守る為にダグラス侯爵御子息が力を貸して下さったのだ」とお父様の声がした。
「守ると言うのは園遊会にお揃いの衣裳で来ることなのか?」とアミスト侯爵の声がする。
「やってるなぁ」とデニスが呟いた。それから、デニスはわざと靴の音をさせて進んだ。
「レイ!どこにいたんだ。さっさと来て証言しろ」とお父様の声がした。
わたしは黙ったまま、歩いて、父のそばに着くと
「なにを証言するのですか?」と言った。
「だから、マイケルがクリスティーンを守っていると証言するのだ」
「あぁそのことですね。はい。守っているのでしょうかね。わたくしは二人に近寄るなと父に命令されてますので、詳しいことはわかりません」
「近寄るなとはどういうことだ」と父が言うので
「近寄らないということだと思っていましたが、どういうつもりでわたくしに命令なさったのですか?」
「だから」と父が口ごもった時、ケーキを食べていたバージルが、フォークとお皿を持ったまま、父に近寄って
「お父様、はっきり言わないとレイ姉さまはわからないのですよ。いつもそうだったでしょう?上のお姉様とマイケルが出かける時、一緒に行ってないけないってことですよ。わきまえてないですよね。今日は近づいてないですね。レイ姉さまにしては上出来ですね」と言った。
「その、その懇親会にクリスティーン嬢が来たのも命令なのか?」とダグラス侯爵が言ったが、誰に向かって言っているのだろう?
皆が黙っているので、侯爵は
「マイケル、ブラウン伯爵の命令か?」と聞いた。
マイケルは小さな声で
「はい」と答えた。
「なにを言うか!そんな命令はだしていない」
「レイチャル令嬢、どういうことだったのか?」とダグラス侯爵がわたしに聞いてきたので
「マイケルからお姉様を連れて行くから。そちらの方が侯爵家の方たちが喜ぶ。団員も喜ぶ」と言われました。
「なんということだ」とダグラス侯爵が振り絞るように言った。そして顔をあげると「ブラウン伯爵。わたしが二人の噂について直接尋ねた時、たまたま護衛ででかけただけだと言ったな。何故、そんな嘘をついた」
「いや、嘘ではない。妹の婚約者だからこそ、二人で出かけても安心だと思ってマイケル殿にお願いしたんだ」と父が答えた。
「貴殿の息子のギルバード殿でも良いではないか?」
「それが、クリスティーンが嫌がるから」と父は答えてしまった。
「何故、兄のエスコートを嫌がるのだ。それこそ安心ではないか?」とダグラス侯爵が言うと、バージルが得意顔でしゃしゃり出て
「それはお兄様はドレスのことで変なことを言うからです」と言った。
「どういう意味だ?」とアミスト侯爵が怪訝な顔をした。
「ギルバード殿は女性の服装に細かいのか?」とダグラス侯爵も言った。
「ギルバード殿は出席しているのか?」とアミスト侯爵が言うと、父が
「私服で巡回しています」と答えた。
兄は文官で働いているが、剣もそこそこだと言うことで警備の手伝いをしているようだ。それで朝からいなかったのか。
「呼んでくれ」とアミスト侯爵が言うと一人が天幕を出て行った。
「クリスティーン。その揃いの衣裳は、ギルバード殿が関係しているのか?」とアレクサンダー様が姉に尋ねている。
「いえ・・・」とクリスティーンが答えた。
「ギルバード殿は衣裳にうるさいとは?」とダグラス侯爵がクリスティーンに向いて聞いた。
「いえ・・・」と姉は短く答えた。
「では、兄上のエスコートで良かったのではないか?何故、こんな騒ぎになるようなことを仕出かしたのか?アミスト侯爵家、最大の醜聞だ」と姉上を睨みつけている。
「「醜聞?」」とダグラス侯爵と父が声を揃えた。
「白々しい」とアミスト侯爵が言うとダグラス侯爵の方を向いて
「親睦会は盛況だったようで、こちらのクリスティーン嬢を婚約者として団員に披露したそうだね。そして今日はお互いを意識した衣裳だね」と言った。
「そ、そ、それは。マイケル。説明しろ」
「行きましょう」と言うと天幕から離れるように歩き出した。
あれ?なかに入ってなにか言ってやるつもりのわたしは、戸惑いながらもついて行った。
デニスが向かったのは、食べ物の屋台だった。
「お肉がちょうど焼きあがったようだけど、レイは食べる?」
「食べる」と答えると
「いいね、平常心」と言われて
「残念、ただの食いしん坊」と答えて笑いあった。
お肉を食べて、ちょっとお菓子をつまんでいたら
「サンダース子爵様、レイチャル様」と声をかけられた。
「いよいよだ」とデニスは言うと、果実水を二つ取って、一つを渡してくれた。
わたしたちは、軽くグラスをあげると一気に飲み干し、並んで天幕に向かった。
「だから、何度も言うが、クリスティーン様を守る為にダグラス侯爵御子息が力を貸して下さったのだ」とお父様の声がした。
「守ると言うのは園遊会にお揃いの衣裳で来ることなのか?」とアミスト侯爵の声がする。
「やってるなぁ」とデニスが呟いた。それから、デニスはわざと靴の音をさせて進んだ。
「レイ!どこにいたんだ。さっさと来て証言しろ」とお父様の声がした。
わたしは黙ったまま、歩いて、父のそばに着くと
「なにを証言するのですか?」と言った。
「だから、マイケルがクリスティーンを守っていると証言するのだ」
「あぁそのことですね。はい。守っているのでしょうかね。わたくしは二人に近寄るなと父に命令されてますので、詳しいことはわかりません」
「近寄るなとはどういうことだ」と父が言うので
「近寄らないということだと思っていましたが、どういうつもりでわたくしに命令なさったのですか?」
「だから」と父が口ごもった時、ケーキを食べていたバージルが、フォークとお皿を持ったまま、父に近寄って
「お父様、はっきり言わないとレイ姉さまはわからないのですよ。いつもそうだったでしょう?上のお姉様とマイケルが出かける時、一緒に行ってないけないってことですよ。わきまえてないですよね。今日は近づいてないですね。レイ姉さまにしては上出来ですね」と言った。
「その、その懇親会にクリスティーン嬢が来たのも命令なのか?」とダグラス侯爵が言ったが、誰に向かって言っているのだろう?
皆が黙っているので、侯爵は
「マイケル、ブラウン伯爵の命令か?」と聞いた。
マイケルは小さな声で
「はい」と答えた。
「なにを言うか!そんな命令はだしていない」
「レイチャル令嬢、どういうことだったのか?」とダグラス侯爵がわたしに聞いてきたので
「マイケルからお姉様を連れて行くから。そちらの方が侯爵家の方たちが喜ぶ。団員も喜ぶ」と言われました。
「なんということだ」とダグラス侯爵が振り絞るように言った。そして顔をあげると「ブラウン伯爵。わたしが二人の噂について直接尋ねた時、たまたま護衛ででかけただけだと言ったな。何故、そんな嘘をついた」
「いや、嘘ではない。妹の婚約者だからこそ、二人で出かけても安心だと思ってマイケル殿にお願いしたんだ」と父が答えた。
「貴殿の息子のギルバード殿でも良いではないか?」
「それが、クリスティーンが嫌がるから」と父は答えてしまった。
「何故、兄のエスコートを嫌がるのだ。それこそ安心ではないか?」とダグラス侯爵が言うと、バージルが得意顔でしゃしゃり出て
「それはお兄様はドレスのことで変なことを言うからです」と言った。
「どういう意味だ?」とアミスト侯爵が怪訝な顔をした。
「ギルバード殿は女性の服装に細かいのか?」とダグラス侯爵も言った。
「ギルバード殿は出席しているのか?」とアミスト侯爵が言うと、父が
「私服で巡回しています」と答えた。
兄は文官で働いているが、剣もそこそこだと言うことで警備の手伝いをしているようだ。それで朝からいなかったのか。
「呼んでくれ」とアミスト侯爵が言うと一人が天幕を出て行った。
「クリスティーン。その揃いの衣裳は、ギルバード殿が関係しているのか?」とアレクサンダー様が姉に尋ねている。
「いえ・・・」とクリスティーンが答えた。
「ギルバード殿は衣裳にうるさいとは?」とダグラス侯爵がクリスティーンに向いて聞いた。
「いえ・・・」と姉は短く答えた。
「では、兄上のエスコートで良かったのではないか?何故、こんな騒ぎになるようなことを仕出かしたのか?アミスト侯爵家、最大の醜聞だ」と姉上を睨みつけている。
「「醜聞?」」とダグラス侯爵と父が声を揃えた。
「白々しい」とアミスト侯爵が言うとダグラス侯爵の方を向いて
「親睦会は盛況だったようで、こちらのクリスティーン嬢を婚約者として団員に披露したそうだね。そして今日はお互いを意識した衣裳だね」と言った。
「そ、そ、それは。マイケル。説明しろ」
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