婚約者を借りパクされました

朝山みどり

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18 変わるということ

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わたしとデニスは今、辺境伯領の片隅に来ている。
先月、大雨が振って、子規模な土砂崩れが起きて埋まっていた村が現れたのだ。
その村の教会の図書室に古文書がたくさん置いてあったのだ。
それで、わたしたち王国の古文書好きが集まって整理していると噂を聞いた帝国からも人が来て、賑やかになった。アレクサンダー様も帝国からやって来た。

「久しぶり、レイチャル。この前、論文を読ませて貰ったよ」
「お久しぶりです。あぁあれは偶然両方が身近にあったから、交互に読んで見て、気がついたんですよ。あの流星が来た年は確定してますから、それで他の記録の流星の話題に注意するようになったんです。ただ、六十四年と言う周期はこの長い年月のなかでは、誤差なのかしらと思ったりして・・・神の目線が欲しいですね」
「そうだね・・・」とアレクサンダー様は答えながらわたしに探るような視線を送って来た。なんだろう?なにか発見したのかな?教えてくれないかしら。

そういえば、小さいころアレクサンダー様は過去のことが未来に起こるかも知れないと言ったことがある。あれはわたしが歴史なんて過去に起こったこと。過ぎたことの記録。答えがわかっていることだから、たいして面白くない。だけどお話としては面白いと答えたらここにあるのは過去の記録だけど、どこかに未来のことを書いたものがあると・・・
まさか、今でもそう思って探しているのかしら?

こうやって過去とか未来とかをわたしが見ている間に現実で大きな問題が起きていた。

ブラウン伯爵家が破産しそうなのだ。
確かに今、昔ながらの貴族は苦しいと思う。経済力のある平民が伸びて来ているのだ。
平民は目立つ。うるさい親戚もいない彼らは自由に、派手にお金を使う。同時に派手に稼ぐ。領地から得るものが収入の貴族に対して平民はお金でお金を稼ぐ。
真似をして失敗するのだ。
マイケルも、領民に使うべきお金を投資に使った。そして失った。
わたしたちが知った時、借金は大きく膨れ上がっていた。

話し合いに行く時決めていた。お金で解決するなら返済の手伝いをすると。
だが、予想していなかったことが起きた。そしてそれはとてもいい方法だと思えた。

バージルが爵位を買うと言うのだ。コートロード家が伯爵になると言いだしたのだ。

「なんですって、バージル馬鹿じゃないの!違うでしょ!借金を肩代わりすればいいのよ。爵位は渡さないわ」と姉が怒鳴った。

「馬鹿は姉上ですよ。爵位なんて買おうと思えばもっと安く買えますよ。それに大金を払おうと言うんだから、確かにわたしは馬鹿ですね。それなら破産して下さい。ここを追い出されてどうしますか?どこに行きますか?」

「それは・・・」と姉は口ごもるとわたし、兄、デニスを代わる代わる見ていたが、誰も助け船を出さなかった。

「なによ。勝手に出て行って。落ち目の家に残って守ったのはわたしよ」と叫ぶように言った。


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