またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり

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33 卒業式

卒業式がやって来た。この制服も今日で最後だ。
わたしは成績上位であったが主席でなかった。だが、魔法部隊へ所属すると言うことで主席卒業者と同じ扱いをされた。

卒業式の会場に着くとすぐ、パトラに声をかけられた。パトラの両親に挨拶をした。

「リリー」と父の声がした。振り向くと家族五人が揃っている。彼らの顔をみると家を出る前後のごちゃごちゃ。

出た後のごちゃごちゃが頭に浮かんで腹が立ってくる。

それでも
「おはようございます」と挨拶をした。

「卒業おめでとう」と父が言った。口調が固い?って言うかわたしにかける言葉とは思えないが、礼儀正しく

「ありがとうございます」と答えた。

「今日はお祝いをするから帰って来るように」

「なんのお祝いですか?」

「お前・・・リリーの卒業の祝いだ」

「はい」と短く返事をして

「席に着きます」と言って離れた。アナベルが

「これだから」と言っているのが聞こえた。

会場を見ていると魔法士部長が普段より豪華な制服で歩いていた。後ろにコリンとフィリーも続く。

三人を見た者からなにやら騒めきが広がって行った。来賓席に座った三人に来賓が次々と挨拶をしに行っている。

おや、ハリソン様が、王族席から立ち上がると三人の所へ行って隣りに座った。

あれからわたしは研究室に遊びに行ったりして、コリンとフィリーと親しくなっているので、来てくれて嬉しい。

彼らも寮に住んでいるのでいろいろと助かっているし。

ちなみに主席で卒業するのは、侯爵家の三男で、宰相の息子。卒業後は文官として働くそうだ。その後は宰相の補佐でもするのだろう。

「リリー嬢、在学中はあまり親しく出来なかったが、王宮では同級生同士。助け合いましょう」と爽やかに言われた。

近くでみるとすごく綺麗な顔だ。華やかな噂は聞いていた。正直、勉強する暇がよくあるなと感心していた。

「ありがとうございます」

「魔法士部隊に声をかけられても沈黙を守ったあなたには感心しています。有頂天になって自慢してもいいでしょうに。あなたは変わらなかった」

ううーーーん、その評価の内容は理解できないが、褒められたのか?わからなかったので、ちょっとだけ頷いた。

式が終わって別れる時に

「パーティを楽しみにしてます」と言われた。

卒業式の翌週、卒業生を祝う園遊会があるのだ。それが貴族としての最初の社交の始まりとなる。

わたしのドレスはハリソン様が
「先輩。母上に聞いたら作ってくれるそうです。ご家族には自分で作るからと言っておいて下さい」と言うことだっ
たが、母上って王妃様だよねって言うことで、断らせて貰った。

ただ、母がわたしのドレスを気にかけると思えない。実際ドレスに関してはなんの話もない。

それでナタリーとパトラに相談して、既製服を買った。それにナタリーの侍女が少し飾りを足してくれた。

装身具は、二人が貸してくれる。友達はありがたい。

お邪魔した時に、ナタリーのお父様に部隊に入るときの書類を見て貰った。

順番としては見て貰って署名するはずだったのに、うっかり署名してしまったのだ。

話の流れに乗せられてしまった。反省だ。

「リリー嬢。これはリリー嬢のことを考えた書類だ。特に相談の上後援者を別途に決定。

これはいいね。お父上はあっさり署名なさったと言ったな。

その・・・お父様よりもこの後援者が上になる。万が一の時はお父上に逆らっていいと言うことだ。

除籍と言う制度を利用して自由になる方法もあるが、貴族でいることは、いろいろな厄介事を避ける手段でもあるしね」

とナタリーのお父様に教えて貰った。正直、家族が負担になっていたわたしはほっとした。

今になって最下位だけが入団出来たと知ったり、上位も全員入団出来たと思っていたらしい。ブラックレイク家のジョシーの足をわたしが子供の時に治したこと、止めは婚約式で見せた魔法の価値。

王室に献上?した馬。(献上扱いにして、わたし個人にこっそり、代金をくれた)・・・そんなことを知った彼ら。

ミシガン家もブラックレイク家もわたしに接触したがった。

ブラックレイク家はライアン様との婚約も提案して来た。両家が付き合うきっかけを作ったのは確かにライアン様とわたしだ。転んだわたしを見たライアン様が

「あそこで転んでるよ」とうちの親に知らせたのが、最初だ。

助け起こしたとかじゃない。転んでるって教えただけだ。

それがいつの間にか、泣いているわたしを抱いて両親の元に届けたことになっている。冗談じゃない。

魔法士部隊で楽しいことをたくさんやるつもりなのに結婚なんてまっぴらだ。
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