またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり

文字の大きさ
38 / 56

34 卒業祝いの食事会

 実家は実家で厄介だ。

「おまえが魔法を使えるなら、パーシーもアナベルもカイルはもっと使える。戻って来てちゃんと教えろ」と言って来るのだ。

 アナベルは学院で、教室にやって来ると

「お姉さま、ずるい方法をとったことはわかっています。それを教えて下さい。

 考えなしのお姉さまに出来るんですよ。わたしならもっとうまくやります」とか言うのだ。

 まぁハリソン様が助けてくれて

「アナベル。基礎は魔法の時間に習っただろう。基礎が出来ない人の才能は開かない。

 もっと練習しないと」と行って連れて行ってくれる。

 実家はへんな婚約話を持って来ない点は助かっている。政略結婚とかは考えないようだ。

 そして、早めに寮に入れてくれたブルース様に感謝だ。

 わたしはそんな日々を送り、卒業式を迎えた。


「・・・あなたがた卒業生の前には可能性に満ちた未来が広がっています。自分を信じて足を踏み出して下さい。みなさんの旅立ちを祝福して卒業式を終わります」

「卒業生は退場して下さい」と司会が言った時、花吹雪が会場に舞った。

 見ると四人が筒を上に向けている。そこから花びらがどんどん出て来るのだ。

 会場は響めき拍手が沸き起こった。

 その中をわたしたち卒業生は、家族や知人に手を振りながら会場を後にした。わたしも四人に向けて手を振った。卒業生は全員が四人に向けて手を振った。

 外に出ると急いで寮に戻った。家族に捕まると面倒なことになる。部屋に戻ってサンデーとクーロと遊んだ。大きいカラスの姿は見えなかった。

 時間をみて外出着に着替えた。髪を緩く纏めた。

 途中で魔法士のカーティスに会ったので家に行くと言った。

「おぉ、卒業祝いだな。たくさん食べておいで」と見送られた。

 そうだ、久しぶりだ。たくさん食べよう。

 実家に着くと執事が出迎えた。

「よくお出で下さいました」と執事が出迎えた。

「お姉さま。どうしてさっさと帰ってしまったのですか?魔法士部隊の人を紹介して欲しかったのに、本当に考えなしですね」

「あなたに紹介?馬鹿なこと言わないで」

「おめでとう。リリー」と母がやって来た。

「ありがとうございます」

「リリー。今日の祝いにブラックレイク家も来るから」と父が得意そうに言ったので

「そうですか」と答えた。

「座って話しましょう」と母は言うと椅子に座って

「リリー」とわたしを招いた。



 父が得意顔で
「リリー、いい話だ。アナベルはお前にロバートを譲ってくれるそうだ。アナベルの献身に感謝しないといけないよ」と話し始めた。

「譲るとは、どういう意味ですか?」

「そのままだ。もう一度お前とロバート殿が婚約出来ると言うことだ」

 思い切り嫌そうな顔をして

「その話はお断りしていますが」と言った。

 父は静かにこう言った。

「意地をはることはない。そりゃ、ロバート殿は一度、お前を裏切った」

 わたしは笑ってうんうんと首を振りながら
「はい、両家も協力してましたね」と言った。

 父は一瞬言葉に詰まったが

「それは・・・悪いことをした。アナベルが・・・いや、それはロバート殿が悪いのだ。

 美しいアナベルに心惹かれたのだ。

 わたしたちもつい可愛いアナベルの願いを叶えたくて、無理ないだろ?

 アナベルの願いだぞ!だが、アナベルも成長して反省したんだ。姉の婚約者を奪ってはいけないと」

 最後は俳優のように高らかに言った。

 母は大きく頷くと

「そうなのよ。だからあなたに返すって」と言った。

 わたしはそっけなく

「いりません」とだけ言った。

 アナベルも口を出して来た。

「どうしてですの?お姉さまはロバート様にいただいたものを有り難がって大事に、大事にしてましたよ」

 アナベルを無視して

「いりません」余計なことを言わずに繰り返した。

 兄も言い出した。

「魔法士部隊に入れたから、いい気になっているんじゃないか?」

 あやうく

『もちろん、いい気持ちです』と言いそうになってとどまった。

 兄はわたしの沈黙に勝った!と思ったようで

「そうだ。たかが、魔法を上手いくらいで、あいつらでかい顔して」と言った。

『上級武官は自ずと自信に満ちてでかい態度になりますよ』と言いたいけど、我慢した。まだ早い。

 その時が来たら、こちらから喧嘩を売るんだ。

感想 146

あなたにおすすめの小説

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

姉妹差別の末路

京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します! 妹嫌悪。ゆるゆる設定 ※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済

繰り返しのその先は

みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、 私は悪女と呼ばれるようになった。 私が声を上げると、彼女は涙を流す。 そのたびに私の居場所はなくなっていく。 そして、とうとう命を落とした。 そう、死んでしまったはずだった。 なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。 婚約が決まったあの日の朝に。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。

しげむろ ゆうき
恋愛
 姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。 全12話

【完結】妹は庶子、文句があるか? 常識なんてぶっ飛ばせ!

青空一夏
ファンタジー
(ざまぁ×癒し×溺愛) 庶子として公爵家に引き取られたアメリアは、 王立学園で冷たい視線に晒されながらも、ほんの少しの希望を胸に通っていた。 ――だが、彼女はまだ知らなかった。 「庶子」の立場が、どれほど理不尽な扱いを受けるものかを。 心が折れかけたそのとき。 彼女を迎えに現れたのは、兄――オルディアーク公爵、レオニルだった。 「大丈夫。……次は、俺が一緒に通うから」 妹を守るためなら、学園にだって入る! 冷酷なはずの公爵閣下は、妹にだけとことん甘くて最強です。 ※兄が妹を溺愛するお話しです。 ※ざまぁはありますが、それがメインではありません。 ※某サイトコンテスト用なので、いつもと少し雰囲気が違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

真実の愛に祝福を

あんど もあ
ファンタジー
王太子が公爵令嬢と婚約破棄をした。その後、真実の愛の相手の男爵令嬢とめでたく婚約できたのだが、その先は……。