またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり

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35 お迎え

 その時、執事が

「ブラックレイク家の皆様がお見えです」と告げた。

 ロバート様が

「お招きいただきありがとうございます」と入って来た。

 小さな花束をわたしに差し出して

「卒業おめでとう」と言った。

「ありがとう」と受け取って、執事に渡した。

「綺麗、お姉さまに合わないわ。わたしの部屋に飾って頂戴」とアナベルが言った。

「アナベルにありがとうございます。どうぞ、お席に」と父が案内して全員が席についた。

 ブラックレイク侯爵に

「リリー嬢、卒業おめでとう。魔法士部隊に入るとは、才能があったんだね」と言われて

「ありがとうございます」とだけ答えた。


 話が長くなると面倒なので

「帰りが遅くなるので食事にして貰えますか?」と遠慮なく催促した。

「あぁぁ、そうだな」と父が答えた。

「ロバート。もう一度リリーと婚約する話だが」と父が言い出すと

「お断りしてます」
「でも、お姉さまはロバート様がお好きですよ」

「そんなことはありません」とわたしが言うと

「お姉さま、意地を張らないで下さい」とアナベルが言い募っていると

「いい加減にしてもらえますか? あなたがたは少しおかしいです。もう一度リリーと婚約ってなんですか?
 これなら、婚約を解消して下さい。もう関わりたくない」とロバート様が言った。

「ロバート。なにを言うんだ。祝いの席だぞ」とブラックレイク侯爵が言うのを聞いて、

 わたしは吹き出しそうになった。


 冷静な執事が合図してワインとオードブルが運ばれて来た。


 わたしは、鮭の燻製を美味しく食べた。わたしの好みの強めの燻製。添えてあるキャベツの酢漬けも美味しい。

「お姉さま。わたしに魔法を教えて下さい。わたしの方が上手に出来ます。

 ですから教えて下さい。そしたらロバート様の手もすぐに治せます」

 スープはカボチャ。バターが少し強いが美味しい。パンも早く給仕された。


「そうだ。アナベル。ハリソン様はどうするのか?」と父が聞いた。

「あの方はまた別ですわ。ねっロバート様」

 ロバート様はアナベルを無視してパンをちぎった。

「お姉さまってやっぱり考えなしですね。せっかく、ロバート様がね」とアナベルが最後の「ね」とロバート様に向けて言ったので

「そうね。無理ね。お断り」と答えておいた。謎理論は謎のままで。

 わたしは黙って料理を味わった。後、お肉はなにが出るかな?

 おぉローストポークだ。ソースはアップルだ。

 美味しい。ソースのお代わりが出来るといいなと思っていたら、お代わりがあると言うのでさっそく貰った。

 それにしても、この家もブラックレイク侯爵夫妻もおかしい。

 ロバート様とライアン様が夫妻に賛同してない点はほっとするが、伯爵家は全員がおかしい。

 本気でこの家から逃げ出した方がいい様な気がする。

 今頃、そう思うなんて鈍いような気がするが、魔法士になっていなければ、家出して籍を抜くようなやりかたになっただろう。

 デザートはオレンジゼリー。ほんとうにここのコックは美味しいのを作る。

 感動していたら、執事があわてて部屋に入って来た。お父様になにか耳打ちするとお父様はわたしを見た。

 そして立ち上がると部屋を出て行った。

 しばらくするとお父様は二人で戻って来た。もう一人はハリソン様だった。

「先輩、お迎えに上がりました」とハリソン様は真面目に言った。

「まぁ王子殿下、よくいらして下さいました」と言いながらアナベルは立ち上がるとハリソン様に駆け寄った。

「さぁお席について。どうぞ遠慮なく」とハリソン様に向かって言った、それからわたしに向かって

「お姉さま、帰る所ですよね。御遠慮なく」と言った。

「帰る所だったのか。ちょうどいい。それでは先輩行きましょう」とハリソン様はわたしに軽く頭を下げた。

 デザートのお代わりを諦めてわたしは暇を告げた。


「どうも、お祝いありがとうございました。ごちそうさま」と言うと

 ハリソン様は

「それでは、これで」と言ってわたしの為にドアを開けて

「先輩、どうぞ」と言った。
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