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ハイタック王国 1
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その時、ブラウン神官はなにも、出来なかった。いつのまにか離れた所で、ただひとり、囲まれているオオヤナギ。
さっきまで、後ろにいたのに、どうしてそこにいるのか?まったくわからなかった。
わかっているのは、オオヤナギが危ないと言う事だった。
だが、すぐにでも斬られると思ったオオヤナギの周りの近衛隊はなにやら、奇妙に動き、それからなにやら、目がおかしくなったと思ったら、オオヤナギは消えていた。
すぐに城中が捜索されたが、なにも見つからなかった。
やがて1ヵ月経ち、半年が過ぎたが、オオヤナギは見つからなかった
ある日、ブラウン神官は、街の本屋へ出かけた。その途中の古着屋で、神官見習いのズボンを見つけた。
思わず手に取って見ていると、若い男性が
「いらっしゃい」と言った。
「これをどこで?」
「さぁ、どこだったでしょう」と男性は答えた。
当たり前かと思い、ブラウン神官は
「すみませんでした」と言うと、店の前を立ち去った。
そうだ、なにも見つかってないのは逃げた可能性もあると思いついたのだ。
本屋に行くのはやめて、すぐに神殿に戻った
先ずマイル神官と会い二人で神官長を探した。
「あの余分の神子ですが、あの方は魔力を持っています。隠していましたが、確かに持っています。
前に広間の掃除をしたときに、神官見習いが意地悪をしてバケツの水をこぼしました。その水をまとめて窓から捨てました。そして、掃除道具を自分の収納に入れました。その翌日、あの騒ぎが起きてお話する暇がありませんでした。
ですが、最近の神子様はとうてい神子様のようではありません。
あのオオヤナギが真の神子様です」
「そんなバカな・・・・」
「信じられませんが、本当のことです。取り敢えず、探してみましょう。あの状況で姿を消したのも、能力を使ったと思えば納得できます。見つかっていない。死体すら見つかっていないのです。近衛や魔法士を出し抜いたのかもしれません。
すぐに探しましょう。各地の神殿に連絡を取りましょう」
「だが・・・・・」と神官長が迷うと、
「今の神子様を鑑定しますか?その結果を公開できますか?」とマイル神官が追い詰めた。
「しかし・・・」とためらう神官長に
「ミツルギ様は王子殿下に譲りましょう」とブラウン神官が言った。
「神殿はオオヤナギ様を王宮の手から守れなかったと反省して公表するのです。神子を探したい。手助けが欲しいと。他国の神殿に連絡しましょう。召喚したのは我が神殿です。ハイタック王国の神殿です。神子に対して権利があり、守るのも我々です。助けを求め、対価として神子を貸してあげるのです。神官長の顔も保てます」
「大丈夫だろうか?」と自信の無い声の神官長に、
「大丈夫です。もし見つからなくとも、城を封鎖したのも、攻撃したのも王宮です」とマイル神官が付け加えると
「そうだな、神殿はなにもしとらん。むしろオオヤナギを保護しておった」と神官長は自分に言い聞かせるように言った。
「そうですよ。神殿はオオヤナギに、静かに本を読んで勉強する環境を与えておりました」とブラウン神官が言った。
「それに、給金も渡しておりました。それもここに来た時にさかのぼって渡しました。大事に保護しておりました」とマイル神官も神官長に向かって言った。
「あの、目立つ容姿です。かならず誰かの目に止まっていることでしょう」静かにブラウン神官が言うと
「そうだな、すぐに手配書を出そう。大切な者を探しておると」と神官長が、少し力の出てきた声で言った。
さっきまで、後ろにいたのに、どうしてそこにいるのか?まったくわからなかった。
わかっているのは、オオヤナギが危ないと言う事だった。
だが、すぐにでも斬られると思ったオオヤナギの周りの近衛隊はなにやら、奇妙に動き、それからなにやら、目がおかしくなったと思ったら、オオヤナギは消えていた。
すぐに城中が捜索されたが、なにも見つからなかった。
やがて1ヵ月経ち、半年が過ぎたが、オオヤナギは見つからなかった
ある日、ブラウン神官は、街の本屋へ出かけた。その途中の古着屋で、神官見習いのズボンを見つけた。
思わず手に取って見ていると、若い男性が
「いらっしゃい」と言った。
「これをどこで?」
「さぁ、どこだったでしょう」と男性は答えた。
当たり前かと思い、ブラウン神官は
「すみませんでした」と言うと、店の前を立ち去った。
そうだ、なにも見つかってないのは逃げた可能性もあると思いついたのだ。
本屋に行くのはやめて、すぐに神殿に戻った
先ずマイル神官と会い二人で神官長を探した。
「あの余分の神子ですが、あの方は魔力を持っています。隠していましたが、確かに持っています。
前に広間の掃除をしたときに、神官見習いが意地悪をしてバケツの水をこぼしました。その水をまとめて窓から捨てました。そして、掃除道具を自分の収納に入れました。その翌日、あの騒ぎが起きてお話する暇がありませんでした。
ですが、最近の神子様はとうてい神子様のようではありません。
あのオオヤナギが真の神子様です」
「そんなバカな・・・・」
「信じられませんが、本当のことです。取り敢えず、探してみましょう。あの状況で姿を消したのも、能力を使ったと思えば納得できます。見つかっていない。死体すら見つかっていないのです。近衛や魔法士を出し抜いたのかもしれません。
すぐに探しましょう。各地の神殿に連絡を取りましょう」
「だが・・・・・」と神官長が迷うと、
「今の神子様を鑑定しますか?その結果を公開できますか?」とマイル神官が追い詰めた。
「しかし・・・」とためらう神官長に
「ミツルギ様は王子殿下に譲りましょう」とブラウン神官が言った。
「神殿はオオヤナギ様を王宮の手から守れなかったと反省して公表するのです。神子を探したい。手助けが欲しいと。他国の神殿に連絡しましょう。召喚したのは我が神殿です。ハイタック王国の神殿です。神子に対して権利があり、守るのも我々です。助けを求め、対価として神子を貸してあげるのです。神官長の顔も保てます」
「大丈夫だろうか?」と自信の無い声の神官長に、
「大丈夫です。もし見つからなくとも、城を封鎖したのも、攻撃したのも王宮です」とマイル神官が付け加えると
「そうだな、神殿はなにもしとらん。むしろオオヤナギを保護しておった」と神官長は自分に言い聞かせるように言った。
「そうですよ。神殿はオオヤナギに、静かに本を読んで勉強する環境を与えておりました」とブラウン神官が言った。
「それに、給金も渡しておりました。それもここに来た時にさかのぼって渡しました。大事に保護しておりました」とマイル神官も神官長に向かって言った。
「あの、目立つ容姿です。かならず誰かの目に止まっていることでしょう」静かにブラウン神官が言うと
「そうだな、すぐに手配書を出そう。大切な者を探しておると」と神官長が、少し力の出てきた声で言った。
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