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27 大司教
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具体的な準備が始まるとジュディは確認作業に追われた。
ドレスを事前に見せるように何度は言ったも、バーバラ・ジェーンは断った。王妃の前でも、バージルの前でもそう言ったが、バーバラ・ジェーンは断った。
夜会のドレスの場合はそうだろう。だが、王妃のつきそいだ。どこかこのバーバラ・ジェーンは、ずれてるとジュディは思った。あの注意書きをちゃんと読んだだろうか?
そのことの確認もした。同じようにバージルの前でも王妃の前でも、そして王妃とは名前に関するエピソードに話を持って行く行程を何度も打ち合わせた。バーバラ・ジェーンにも参加するように言ったが
「そんな、話の流れを読む訓練は積んでおりますから」と断られた。最後に拒否された時王妃は
「いいわ。あなたはずっと黙っているのよ。口をきかないで」と叱った。
「王妃殿下、よくおっしゃいました。あの者は王妃殿下の見せ場を奪うやも知れません。よくご決断なさいました」
とジュディは言った。ジュディは王妃へのお世辞抜きで本当に心配していたのだ。王妃が機嫌を損ねたらあとが面倒だ。バージルに迷惑がかかる。
面倒なのは大司教も同じだ。大げさなのは大司教は好まないと言う触れ書きなので、遠慮する大司教を王妃殿下の希望で大げさに迎えると言った演出になった。王妃はもちろん嫌がった。
「嫌だわ。わたくしが媚びてるみたい」
「王妃殿下。大げさって言っても孤児院の子にお洒落をさせて、大司教を始めとした関係者の両側で手を繋いで子供は片手に花束を持たせます。そしてここまでエスコートさせまして、花束は用意した花入れにどんどん活けて子供たちはこちらで用意した菓子の包みを貰って帰るっていうのを考えてます。それから最初から殿下は着席して迎えます。大司教は大げさに額づこうとするでしょうから、それを防ぐためです。子供たちに『お席について下さい』と言わせますので、殿下は子供たちに『ありがとう、お連れしてくれて』と微笑んで下さい」
「うーーん。それはいいわね。まかせるわ」
そして当日になった。
準備をするのを手伝い、そのまま王妃を連れてお茶会の会場にやって来たジュディは、やってくれたなと思った。天を仰がなかった自分は偉いと思った。
バーバラ・ジェーンの衣装はデザインは同じだが、生地が違う。夜会などの夜の証明できれいに見える生地だった。
お茶会は昼間で屋外だ。自然光で清楚に見える生地で作ったのだ。バーバラ・ジェーンの衣装は変にテカリが出て安っぽく見える。それに豪華な刺繍がスカート部に入っている。ガラスか宝石も散りばめられている。
王妃の機嫌が思い切り悪くなったのが理解出来た。いくつか理由を考えたが、それは後にしようとジュディは決めた。
後ろの護衛と侍女には動くなと目で合図を送って
「殿下どうぞお席に」とジュディは自ら椅子を引いた。
「バーバラ・ジェーン。あなたも着席して、口をきかないで。挨拶もしなくていい」
「なっなっ」
「黙りなさい」
ジュディは子供に手を引かれて楽しげに歩く一行に近づいた。
「よくいらして下さいました」と大司教に声をかけ後ろに続く司教をはじめとする王都の教会関係者に
「よくお連れ下さいました」と頭を下げた。それから
「王妃が首を長くして待っております」と、やや脇を歩いて先導した。
わざと殿下を付けなかった。大司教を持ち上げるためだ。
大司教と手を繋いでいた子は
「どうぞ、お掛け下さい」と大司教を座らせた。
子供たちは教えられた通りに花束を大きな器に入れると、ジュディからお菓子を貰って所定の場所に並ぶ。
関係者全員が席に付くと
「ありがとう。あなたたちのおかげで助かりました」とジュディが子供たちに言った。
護衛と侍女が先導して子供たちが帰って行った。
「皆様、よくお越しくださいました。長い挨拶はせっかくの楽しい時間を少なくしてしまいます。どうぞ。お茶を楽しんで下さい」とジュディが挨拶すると侍女がお茶を注いでいった。
「大司教様は教会の改革など、多くの苦労をなさってらっしゃいますが、一番はなんでしたでしょうか?」と王妃が言うと
「そうですね。どれも神の理想を実現する道筋でございますので、さほど苦労とは思えませんでした」
「まぁ、そのような」
「いえ、そうなんですよ。まったく神は偉大ですね。いえ、寛大ですねこのようなわたしを理想の実現に使うとは」
「ほんとに偉大なんでございますね」
「苦労と申しましたら実はほんとに苦労したことがございます。わたしのなまえはスペルと言います」
「スペルですか?」
「変わった名前でこざいますでしょうと申し上げても返事に困りますね。変わった名前なんです。無学な親がわたしを教会に預けるとき書類に名前を書けと言われましてね、それまで坊や、おい、とかで名前もなかったんですよ。親は書類にある字を書いたんですよ。それも数が多いといいと思いましてね。ssppell って書いたんですよ。枠いっぱいに、わたしどう読むか悩みましたが、スペルってしました。字の多さは親の愛と解釈してます。と言えるようになるのはけっこう後ですが・・・これが一番の苦労ってことはたいした苦労はしてないですね」
「まぁ無学な親を持つと子供は苦労しますね。わたくしはバーバラ・ジェーンとわかりやすい名前です。長いのは親の愛情ですよ」とバーバラ・ジェーンが最悪のタイミングで口を出した。
ドレスを事前に見せるように何度は言ったも、バーバラ・ジェーンは断った。王妃の前でも、バージルの前でもそう言ったが、バーバラ・ジェーンは断った。
夜会のドレスの場合はそうだろう。だが、王妃のつきそいだ。どこかこのバーバラ・ジェーンは、ずれてるとジュディは思った。あの注意書きをちゃんと読んだだろうか?
そのことの確認もした。同じようにバージルの前でも王妃の前でも、そして王妃とは名前に関するエピソードに話を持って行く行程を何度も打ち合わせた。バーバラ・ジェーンにも参加するように言ったが
「そんな、話の流れを読む訓練は積んでおりますから」と断られた。最後に拒否された時王妃は
「いいわ。あなたはずっと黙っているのよ。口をきかないで」と叱った。
「王妃殿下、よくおっしゃいました。あの者は王妃殿下の見せ場を奪うやも知れません。よくご決断なさいました」
とジュディは言った。ジュディは王妃へのお世辞抜きで本当に心配していたのだ。王妃が機嫌を損ねたらあとが面倒だ。バージルに迷惑がかかる。
面倒なのは大司教も同じだ。大げさなのは大司教は好まないと言う触れ書きなので、遠慮する大司教を王妃殿下の希望で大げさに迎えると言った演出になった。王妃はもちろん嫌がった。
「嫌だわ。わたくしが媚びてるみたい」
「王妃殿下。大げさって言っても孤児院の子にお洒落をさせて、大司教を始めとした関係者の両側で手を繋いで子供は片手に花束を持たせます。そしてここまでエスコートさせまして、花束は用意した花入れにどんどん活けて子供たちはこちらで用意した菓子の包みを貰って帰るっていうのを考えてます。それから最初から殿下は着席して迎えます。大司教は大げさに額づこうとするでしょうから、それを防ぐためです。子供たちに『お席について下さい』と言わせますので、殿下は子供たちに『ありがとう、お連れしてくれて』と微笑んで下さい」
「うーーん。それはいいわね。まかせるわ」
そして当日になった。
準備をするのを手伝い、そのまま王妃を連れてお茶会の会場にやって来たジュディは、やってくれたなと思った。天を仰がなかった自分は偉いと思った。
バーバラ・ジェーンの衣装はデザインは同じだが、生地が違う。夜会などの夜の証明できれいに見える生地だった。
お茶会は昼間で屋外だ。自然光で清楚に見える生地で作ったのだ。バーバラ・ジェーンの衣装は変にテカリが出て安っぽく見える。それに豪華な刺繍がスカート部に入っている。ガラスか宝石も散りばめられている。
王妃の機嫌が思い切り悪くなったのが理解出来た。いくつか理由を考えたが、それは後にしようとジュディは決めた。
後ろの護衛と侍女には動くなと目で合図を送って
「殿下どうぞお席に」とジュディは自ら椅子を引いた。
「バーバラ・ジェーン。あなたも着席して、口をきかないで。挨拶もしなくていい」
「なっなっ」
「黙りなさい」
ジュディは子供に手を引かれて楽しげに歩く一行に近づいた。
「よくいらして下さいました」と大司教に声をかけ後ろに続く司教をはじめとする王都の教会関係者に
「よくお連れ下さいました」と頭を下げた。それから
「王妃が首を長くして待っております」と、やや脇を歩いて先導した。
わざと殿下を付けなかった。大司教を持ち上げるためだ。
大司教と手を繋いでいた子は
「どうぞ、お掛け下さい」と大司教を座らせた。
子供たちは教えられた通りに花束を大きな器に入れると、ジュディからお菓子を貰って所定の場所に並ぶ。
関係者全員が席に付くと
「ありがとう。あなたたちのおかげで助かりました」とジュディが子供たちに言った。
護衛と侍女が先導して子供たちが帰って行った。
「皆様、よくお越しくださいました。長い挨拶はせっかくの楽しい時間を少なくしてしまいます。どうぞ。お茶を楽しんで下さい」とジュディが挨拶すると侍女がお茶を注いでいった。
「大司教様は教会の改革など、多くの苦労をなさってらっしゃいますが、一番はなんでしたでしょうか?」と王妃が言うと
「そうですね。どれも神の理想を実現する道筋でございますので、さほど苦労とは思えませんでした」
「まぁ、そのような」
「いえ、そうなんですよ。まったく神は偉大ですね。いえ、寛大ですねこのようなわたしを理想の実現に使うとは」
「ほんとに偉大なんでございますね」
「苦労と申しましたら実はほんとに苦労したことがございます。わたしのなまえはスペルと言います」
「スペルですか?」
「変わった名前でこざいますでしょうと申し上げても返事に困りますね。変わった名前なんです。無学な親がわたしを教会に預けるとき書類に名前を書けと言われましてね、それまで坊や、おい、とかで名前もなかったんですよ。親は書類にある字を書いたんですよ。それも数が多いといいと思いましてね。ssppell って書いたんですよ。枠いっぱいに、わたしどう読むか悩みましたが、スペルってしました。字の多さは親の愛と解釈してます。と言えるようになるのはけっこう後ですが・・・これが一番の苦労ってことはたいした苦労はしてないですね」
「まぁ無学な親を持つと子供は苦労しますね。わたくしはバーバラ・ジェーンとわかりやすい名前です。長いのは親の愛情ですよ」とバーバラ・ジェーンが最悪のタイミングで口を出した。
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