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第5話 アリス目線
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なにやら、水のなかから浮かび上がるように目が覚めた。
「お目覚めですね。よかったですわ」と落ち着いた声がした。
「起き上がれますか?」と言いながら背中に手を添えて起き上がらせてくれ、背中のクッションを入れてくれた。それから水の入ったコップを渡された。
わたくしが水を飲んでお礼を言い終わると女性は
「戸惑ってらっしゃるでしょう?旦那様から説明致しますが、もうお話ができますか?」と静かに言った。わたくしはうなずいた。すると女性は
「わたくしの物で恐縮ですが」と上着を羽織らせてくれた。それから
「知らせて参ります」と部屋を出て行った。なにげなく外を見て驚いた海!!海だ!
そこにノックの音がした。少し間をあけてそっとドアが開いた。
先ほどの女性と男性が二人入って来た。
茶色の髪の男性は壁際の椅子を持ってベッドに近寄ると椅子に座った。
「お嬢さん。お疲れだったようですね。あっわたしはデイビスと言います。医者です。随分長く寝てらっしゃいました。雨に打たれて体が冷えて熱が出たせいです。それは心配ないです。もう大丈夫でしょう。ただ、少し栄養が足りてない。それについてはまた後で話します。とりあえず名前を教えてもらっていいですか?」
迷ったけど
「アリスです。そのここは海ですか?」と答えた。
「アリス嬢。驚かれるのは当たり前ですね。いきなりですから・・・そうですね。船に乗ってます。あなたを保護しましたが急いでましたのでそのまま一緒に船に・・・」
「はーーそうなんですか・・・どこに・・・いえ、お話の続きを」とアリスが言うと
「アリス嬢ですね。わたしは医者のデイビス。あちらはあなたを助けたアレク。そちらはあなたの侍女のラズベリー」
「初めましてアリス。アレクだ」と金髪の男性が言うとすぐにデイビスが
「名前が分かったところで、アリス嬢。食事をとって下さい。あなたが一番優先することです。ちょっと病人食ですが我慢して下さい。食事をとって眠くなったら少しだけ眠って下さい。程よいところで起こします」
「ありがとうございます。デイビス先生。アレク様」とわたくしが答えるとアレク様とデイビス先生は部屋を出て行った。
デイビス先生とアレクさんと入れ違いで食事が運ばれた。
ミルク粥とりんごのコンポートが盆に乗っていた。
「アリス様、起きてテーブルで食べますか?海が見えますよ」
「起きます。あっラズベリーさんよろしくお願いします」と挨拶をすると
ラズベリーさんは
「よろしくお願いします」と頭を下げた。
お粥は美味しかった。ラズベリーさんは壁際に下がって黙っていた。
王太子の婚約者。侯爵家令嬢のわたくしはいつもお腹がすいていた。だから、この食事がとても嬉しくて美味しかった。
わたくしが食べ終わるとラズベリーさんは
「わたくしは下がっております。そこのベルを使って下さい」と言うと
食器を持って出て行った。
わたくしは海を見ながら考えた。どれくらい寝ていたか分からないが、お城ではわたくしがいないことに気づいただろう。仕事の面では困っているだろう。だからどうなんだ!!とちょっと居直った。
多分、寝過ごした程度だったら飛び起きて必死に戻っただろう。だけど・・・今さら、なんだと言うんだ。あの怒りを思い出せ。雨の降る中置いていったくせに・・・
わざとだとは思わない。だけど・・・家族が馬車に乗ってなかったら気が付く。わたくしは侯爵家の家族じゃなかった。
エドワードだって婚約者がちゃんと馬車に乗ったかどうか気にするだろう?だけど彼は気にしなかった。わたくしが
「みなさん、馬車に」って言ったとき彼はすぐに走って行った。わたくしに目も向けなかった。海じゃなくても帰らない。
そういう関係だったのだ。バートとヘドラーは大変だろうが、もともとの部署に戻ればいいのだ。こっそりお礼をおくりたい。食事代を返したい。
これからのことはこれから考えよう・・・と寝てしまったようだ。
今がいつであろうと、当分城へは戻れない・・・いや戻らない。
わたくしは見捨てられた。意図的だとは思わない。でもどうでもいい存在だということを突きつけられた。
食事も満足に取れず、ベッドに横になることもできない生活。
実母も義母もわたくしが食事がとれなくなるようにした。
わたくしに食べさせまいとした。許せない。だ・か・ら・帰らない。食べ物で恨むなんて・・・だけど空腹を知らない人にはわからない。いや、空腹ではない飢えだ。慰問先の孤児だって食事はしているのに。
アレクさんにある程度本当のことを言おう。だけど本当にどうしようもない帰りたくても帰れない状況なんだし。帰りたくないけど。
わたくしは海をぼんやりとみながら考えて行く。わたくしはひどい状況だったことだろう。それを助けてくれて・・・どうして船なのか疑問だが説明してくれるだろうし・・・
ここまで考えると眠くなって来た。わたくしはベッドに入ると目をつぶった。
そうか・・・水のなかから浮かぶと思ったのは船に乗っているせいだったのかな?
「お目覚めですね。よかったですわ」と落ち着いた声がした。
「起き上がれますか?」と言いながら背中に手を添えて起き上がらせてくれ、背中のクッションを入れてくれた。それから水の入ったコップを渡された。
わたくしが水を飲んでお礼を言い終わると女性は
「戸惑ってらっしゃるでしょう?旦那様から説明致しますが、もうお話ができますか?」と静かに言った。わたくしはうなずいた。すると女性は
「わたくしの物で恐縮ですが」と上着を羽織らせてくれた。それから
「知らせて参ります」と部屋を出て行った。なにげなく外を見て驚いた海!!海だ!
そこにノックの音がした。少し間をあけてそっとドアが開いた。
先ほどの女性と男性が二人入って来た。
茶色の髪の男性は壁際の椅子を持ってベッドに近寄ると椅子に座った。
「お嬢さん。お疲れだったようですね。あっわたしはデイビスと言います。医者です。随分長く寝てらっしゃいました。雨に打たれて体が冷えて熱が出たせいです。それは心配ないです。もう大丈夫でしょう。ただ、少し栄養が足りてない。それについてはまた後で話します。とりあえず名前を教えてもらっていいですか?」
迷ったけど
「アリスです。そのここは海ですか?」と答えた。
「アリス嬢。驚かれるのは当たり前ですね。いきなりですから・・・そうですね。船に乗ってます。あなたを保護しましたが急いでましたのでそのまま一緒に船に・・・」
「はーーそうなんですか・・・どこに・・・いえ、お話の続きを」とアリスが言うと
「アリス嬢ですね。わたしは医者のデイビス。あちらはあなたを助けたアレク。そちらはあなたの侍女のラズベリー」
「初めましてアリス。アレクだ」と金髪の男性が言うとすぐにデイビスが
「名前が分かったところで、アリス嬢。食事をとって下さい。あなたが一番優先することです。ちょっと病人食ですが我慢して下さい。食事をとって眠くなったら少しだけ眠って下さい。程よいところで起こします」
「ありがとうございます。デイビス先生。アレク様」とわたくしが答えるとアレク様とデイビス先生は部屋を出て行った。
デイビス先生とアレクさんと入れ違いで食事が運ばれた。
ミルク粥とりんごのコンポートが盆に乗っていた。
「アリス様、起きてテーブルで食べますか?海が見えますよ」
「起きます。あっラズベリーさんよろしくお願いします」と挨拶をすると
ラズベリーさんは
「よろしくお願いします」と頭を下げた。
お粥は美味しかった。ラズベリーさんは壁際に下がって黙っていた。
王太子の婚約者。侯爵家令嬢のわたくしはいつもお腹がすいていた。だから、この食事がとても嬉しくて美味しかった。
わたくしが食べ終わるとラズベリーさんは
「わたくしは下がっております。そこのベルを使って下さい」と言うと
食器を持って出て行った。
わたくしは海を見ながら考えた。どれくらい寝ていたか分からないが、お城ではわたくしがいないことに気づいただろう。仕事の面では困っているだろう。だからどうなんだ!!とちょっと居直った。
多分、寝過ごした程度だったら飛び起きて必死に戻っただろう。だけど・・・今さら、なんだと言うんだ。あの怒りを思い出せ。雨の降る中置いていったくせに・・・
わざとだとは思わない。だけど・・・家族が馬車に乗ってなかったら気が付く。わたくしは侯爵家の家族じゃなかった。
エドワードだって婚約者がちゃんと馬車に乗ったかどうか気にするだろう?だけど彼は気にしなかった。わたくしが
「みなさん、馬車に」って言ったとき彼はすぐに走って行った。わたくしに目も向けなかった。海じゃなくても帰らない。
そういう関係だったのだ。バートとヘドラーは大変だろうが、もともとの部署に戻ればいいのだ。こっそりお礼をおくりたい。食事代を返したい。
これからのことはこれから考えよう・・・と寝てしまったようだ。
今がいつであろうと、当分城へは戻れない・・・いや戻らない。
わたくしは見捨てられた。意図的だとは思わない。でもどうでもいい存在だということを突きつけられた。
食事も満足に取れず、ベッドに横になることもできない生活。
実母も義母もわたくしが食事がとれなくなるようにした。
わたくしに食べさせまいとした。許せない。だ・か・ら・帰らない。食べ物で恨むなんて・・・だけど空腹を知らない人にはわからない。いや、空腹ではない飢えだ。慰問先の孤児だって食事はしているのに。
アレクさんにある程度本当のことを言おう。だけど本当にどうしようもない帰りたくても帰れない状況なんだし。帰りたくないけど。
わたくしは海をぼんやりとみながら考えて行く。わたくしはひどい状況だったことだろう。それを助けてくれて・・・どうして船なのか疑問だが説明してくれるだろうし・・・
ここまで考えると眠くなって来た。わたくしはベッドに入ると目をつぶった。
そうか・・・水のなかから浮かぶと思ったのは船に乗っているせいだったのかな?
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