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第16話 一応、国事行為だ
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その日、当番のスペーダ公爵夫妻と公爵嫡男とその夫人のカーラ。国王夫妻。メイナード侯爵。が集まった。
次の間には、お城の厨房の者。備品の管理部門の部長。バートとヘドラーなどが集められていた。
「先ず、今回の当番のスぺーダ公爵。片付けが終わっていないとメイナード侯爵と備品の管理の方から報告が来ているがどうなっているのだ」と宰相が口火を切った。
スぺーダ公爵夫人が答えた。
「それは、アリス様の仕事です。王妃殿下はアリス様に言い付けました。わたくしはそれをこの目で見ました。簡単な仕事ですよね。たったそれだけですよ」
「なるほど。アリスがかかわっているのだな」と国王が答えると
「そうです。あら、アリス様はいないのですね。言いつけられているのに?」とスぺーダ公爵夫人が鼻で笑った。
侯爵はスペーダ夫人を睨みつけた。するとスペーダ公爵は居心地が悪そうになったが夫人は平気で笑いが顔に残っていた。
侯爵の頭のなかには
「遠くに行く人」の言葉が渦巻いていた。
「それでは、朝のスープ作りから順を追ってみましょうか」と宰相が言うと王城の厨房の係員が二人入って来た。
「嘘、偽りは罪になる。わかっておるな」と宰相が言うと二人は深くうなずいた。
「きちんと話したいから、二人ともその椅子に座り、固くならずに答えよ」とメイナード侯爵が言うと椅子をすすめた。
「アリス様は当番の仕事を王妃様に言いつけられたと練習に来ました。前から材料の見積もりの為にお話してましてが、作る練習で驚きました。ずっと留守番だったのに出席だと聞いて。でも練習して貰うのは問題ないのでお手伝いしました。上手になりました。まぁ当日もわたしたちが行くので問題ないですがね」と言うのを聞いて
スぺーダ公爵はビクッとなったが顔にはなにも出なかった。
「あのときは可笑しかったな」と言うともう一人も
「本当だ。アリス様がやりたがるとか大きな声で言ってなぁ」
「まったく、見え透いててなぁ」と言うのに宰相が大きな咳払いをすると
「余計なことは言わんでもよい」と言い
「当日のスープは王城の厨房のものが作ったのだな」と確認すると
「「スープとバーベキューですね」」と二人は訂正した。
二人が退室すると公爵たちは下を向いてなにも言わなかった。
侯爵は最初と同じように二人を睨みつけていた。
それから、ブランコの事件の時、そばにいたものが呼ばれて入って来た。メイナード侯爵は、目撃者を呼んでいるが、もちろんマロン伯爵も入ってきた。王妃の侍女にはどうしてアリスを呼んだのか詳しく話させた。その時の王太子とバーバラの発言を聞いて侯爵の目は冷たくなった。
「つまり姉上の侍女が姉上の意を汲んでアリスを呼びに来たのではなく、侍女の独断と言うことなのだな。姉上の言いつけではないな」と侯爵が言うと
「当たり前じゃない。わたくしはそんなことは」と王妃が言うのを侯爵は無視して侍女を見ていた。
「王妃殿下からの・・・独断とかそう言うものでは・・・アリス様はなんでもやって下さるので・・・つい頼ってしまって」と侍女は床にひれ伏して必死に言葉を尽くす。
それに答えず侯爵は独り言のように
「王太子殿下とバーバラがアリスに行くように言ったのだな。それはもういいバーバラはわたしが言って聞かせる。それでブランコはマロン伯爵の意見で今後は廃止でいいですね。スペーダ公爵家には廃棄とするとしっかり命じて下さい。アリスではなくスペーダ公爵家が」と宰相を見て言うと
「お待ちください。わたしは何も言っておりません」とマロン伯爵が言った。
「御子息がお怪我をして、奥方がアリスに食ってかかったとそこの侍女が証言したではないか」と侯爵が言うと
「違う。なにもしてない。それにあれは奥方ではない」とマロン伯爵は必死に言った。
「なにもしてないと言うのはあなたのことですか?」と侯爵が言うと侍女が泣きながら
「マロン伯爵の御子息がブランコで怪我をして奥様が怒って、どうしようもなくアリス様に助けを求めたのです」と言った。
「本来スペーダ公爵家が処理すべき問題だが、無責任案件が一つ増えた所で痛くもあるまい。誰が関わってもマロン伯爵の意見は意見だ。今後、怪我人が出ると困るからな。マロン伯爵の賢い意見は採用だ。ブランコは廃止だ」と侯爵が言うと
「違う、違うのだ。息子ではない」と言うマロン伯爵を侯爵は冷たく見ると
「ありがとう。もう引き取ってくれ、ブランコの件は終わりだ。そちらの侍女も」と言った。
「わたしたち自身が子供の頃に乗って遊んだブランコはマロン伯爵家がなくしたってことですね」
マロン伯爵と侍女が引きづられて部屋を出て行く時、公爵夫妻も一緒に出て行った。
侯爵は王妃に向かうと
「アリスに押し付けていた仕事は引き取って下さい。便利に使えるアリスはいません。姉上たったそれだけなんですよね。たったそれだけです。自分でやって下さい」
「忘れてました。バートとヘドラーをもう一度呼んで下さい。食費を払わないといけません」と侯爵が言うと
「食費とは?」と王が不思議そうに言った。
「娘の朝食と昼食、夕食です」と侯爵が言うと
「三食もか?どういうことだ?」
「わたしだって理解できませんよ。食事をするなと実の娘に言う母親も、姪の食事を取り上げる伯母も」
「ウィル、誤解よ。説明させて」と王妃が言うと
「誤解ってどこが誤解ですか?アリスは二人の情けで食べていたんですよ」
「なにを言ってるんだ」と国王が王妃の肩を抱いて言うと
「詳しい説明は王妃から聞いて下さい。大事な娘を・・・可愛がって下さっていると思ってました」と侯爵が言っていると、二人が、バートとヘドラーがやって来た。
「お礼を渡したいと思って、アリスが婚約してお城に来はじめてから世話になり食事を取らせてくれた。そのお礼だ。こんな形のお礼しか出来ない」と袋を二つずつ渡した。
二人は驚いたが、黙って袋を受け取ると頭を下げて出て行った。
「ふた家族でもう一度話しましょう。連絡します」と言うと侯爵は部屋を出た。
残ったのは王妃と未だ事情が飲み込めない国王だった。
次の間には、お城の厨房の者。備品の管理部門の部長。バートとヘドラーなどが集められていた。
「先ず、今回の当番のスぺーダ公爵。片付けが終わっていないとメイナード侯爵と備品の管理の方から報告が来ているがどうなっているのだ」と宰相が口火を切った。
スぺーダ公爵夫人が答えた。
「それは、アリス様の仕事です。王妃殿下はアリス様に言い付けました。わたくしはそれをこの目で見ました。簡単な仕事ですよね。たったそれだけですよ」
「なるほど。アリスがかかわっているのだな」と国王が答えると
「そうです。あら、アリス様はいないのですね。言いつけられているのに?」とスぺーダ公爵夫人が鼻で笑った。
侯爵はスペーダ夫人を睨みつけた。するとスペーダ公爵は居心地が悪そうになったが夫人は平気で笑いが顔に残っていた。
侯爵の頭のなかには
「遠くに行く人」の言葉が渦巻いていた。
「それでは、朝のスープ作りから順を追ってみましょうか」と宰相が言うと王城の厨房の係員が二人入って来た。
「嘘、偽りは罪になる。わかっておるな」と宰相が言うと二人は深くうなずいた。
「きちんと話したいから、二人ともその椅子に座り、固くならずに答えよ」とメイナード侯爵が言うと椅子をすすめた。
「アリス様は当番の仕事を王妃様に言いつけられたと練習に来ました。前から材料の見積もりの為にお話してましてが、作る練習で驚きました。ずっと留守番だったのに出席だと聞いて。でも練習して貰うのは問題ないのでお手伝いしました。上手になりました。まぁ当日もわたしたちが行くので問題ないですがね」と言うのを聞いて
スぺーダ公爵はビクッとなったが顔にはなにも出なかった。
「あのときは可笑しかったな」と言うともう一人も
「本当だ。アリス様がやりたがるとか大きな声で言ってなぁ」
「まったく、見え透いててなぁ」と言うのに宰相が大きな咳払いをすると
「余計なことは言わんでもよい」と言い
「当日のスープは王城の厨房のものが作ったのだな」と確認すると
「「スープとバーベキューですね」」と二人は訂正した。
二人が退室すると公爵たちは下を向いてなにも言わなかった。
侯爵は最初と同じように二人を睨みつけていた。
それから、ブランコの事件の時、そばにいたものが呼ばれて入って来た。メイナード侯爵は、目撃者を呼んでいるが、もちろんマロン伯爵も入ってきた。王妃の侍女にはどうしてアリスを呼んだのか詳しく話させた。その時の王太子とバーバラの発言を聞いて侯爵の目は冷たくなった。
「つまり姉上の侍女が姉上の意を汲んでアリスを呼びに来たのではなく、侍女の独断と言うことなのだな。姉上の言いつけではないな」と侯爵が言うと
「当たり前じゃない。わたくしはそんなことは」と王妃が言うのを侯爵は無視して侍女を見ていた。
「王妃殿下からの・・・独断とかそう言うものでは・・・アリス様はなんでもやって下さるので・・・つい頼ってしまって」と侍女は床にひれ伏して必死に言葉を尽くす。
それに答えず侯爵は独り言のように
「王太子殿下とバーバラがアリスに行くように言ったのだな。それはもういいバーバラはわたしが言って聞かせる。それでブランコはマロン伯爵の意見で今後は廃止でいいですね。スペーダ公爵家には廃棄とするとしっかり命じて下さい。アリスではなくスペーダ公爵家が」と宰相を見て言うと
「お待ちください。わたしは何も言っておりません」とマロン伯爵が言った。
「御子息がお怪我をして、奥方がアリスに食ってかかったとそこの侍女が証言したではないか」と侯爵が言うと
「違う。なにもしてない。それにあれは奥方ではない」とマロン伯爵は必死に言った。
「なにもしてないと言うのはあなたのことですか?」と侯爵が言うと侍女が泣きながら
「マロン伯爵の御子息がブランコで怪我をして奥様が怒って、どうしようもなくアリス様に助けを求めたのです」と言った。
「本来スペーダ公爵家が処理すべき問題だが、無責任案件が一つ増えた所で痛くもあるまい。誰が関わってもマロン伯爵の意見は意見だ。今後、怪我人が出ると困るからな。マロン伯爵の賢い意見は採用だ。ブランコは廃止だ」と侯爵が言うと
「違う、違うのだ。息子ではない」と言うマロン伯爵を侯爵は冷たく見ると
「ありがとう。もう引き取ってくれ、ブランコの件は終わりだ。そちらの侍女も」と言った。
「わたしたち自身が子供の頃に乗って遊んだブランコはマロン伯爵家がなくしたってことですね」
マロン伯爵と侍女が引きづられて部屋を出て行く時、公爵夫妻も一緒に出て行った。
侯爵は王妃に向かうと
「アリスに押し付けていた仕事は引き取って下さい。便利に使えるアリスはいません。姉上たったそれだけなんですよね。たったそれだけです。自分でやって下さい」
「忘れてました。バートとヘドラーをもう一度呼んで下さい。食費を払わないといけません」と侯爵が言うと
「食費とは?」と王が不思議そうに言った。
「娘の朝食と昼食、夕食です」と侯爵が言うと
「三食もか?どういうことだ?」
「わたしだって理解できませんよ。食事をするなと実の娘に言う母親も、姪の食事を取り上げる伯母も」
「ウィル、誤解よ。説明させて」と王妃が言うと
「誤解ってどこが誤解ですか?アリスは二人の情けで食べていたんですよ」
「なにを言ってるんだ」と国王が王妃の肩を抱いて言うと
「詳しい説明は王妃から聞いて下さい。大事な娘を・・・可愛がって下さっていると思ってました」と侯爵が言っていると、二人が、バートとヘドラーがやって来た。
「お礼を渡したいと思って、アリスが婚約してお城に来はじめてから世話になり食事を取らせてくれた。そのお礼だ。こんな形のお礼しか出来ない」と袋を二つずつ渡した。
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