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第54話 王太子 アリス目線
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ハトン公爵が出て行くと王太子が話し始めた。
「アリスに任せるのですか?」
「そうだ。アリスは出来るよ」とアレク様が答えている。大丈夫できるわよ。やってたことだから・・・
執務って嫌いじゃない。むしろ好き。出来る分量の仕事だったらね。
面倒だから言わないけど。明日から領地の見回りに行くから、早くここを出て準備したいんだけど。ラズベリーから、うるさく言われているのに。だから、ちょっと他人事のように聞き流してしまったが、気がついたら王太子が偉そうに能書きを垂れていた。
「アリス、無理だってわかるだろ?君はあのとき仕事が負担だった。大変だったって言ってたけど、今はどうだい? 順調に仕事は流れている。王妃殿下はメアリーを迎えに行くつもりで時間を作っていた。船旅だから時間がかかる。そこまで読んで計画を立てていた。先を読んでいた。まぁ行かずにすんだけど・・・だからね。アリス。ちゃんと計画してやれば、仕事はちゃんと出来るんだよ。それを君はできなかった」
なに言ってるのこの人。仕事は特務部がやってるじゃない。この人たちやってないじゃない。やってるつもり?いや、つもりなんだよね。孤児院の慰問の下見なんて楽なことを、やってるつもりでいた人だから・・・特務部が優秀だからだ。だけどこれって乗っ取られているのも同じなのに・・・王国の利益を優先してくれているけど。今のところは。
「だから、これからのしごとはわたしに相談してやればいいから。まえは王太子として忙しくて君にかまえなかったが」と聞いた所で、いらいらが募ってこう言ってしまった。
「必要ない。いらない。知らない。・・・えっとその、助言ってことですね。はい。無理せずにやって行きます。領主としての自分の仕事だけですから、勝手に孤児院に援助を約束する人がいないんですよ。楽です。民を見ましたか?彼らは賢いですよ。余計なことする必要ないですよ。ちゃんとやれてます。民が一人で出来ないことwやればいいだけです」と言うと
「現実は甘くないよ。民は導いてやらねば」と埒もないことを言い出した。アレクを見ると口出ししたそうだけど、首を振っていらないと伝えて
「もちろん、現実はよく存じてますわ。わたくしは他国を旅しました。民は賢いですわ。民はその生き方でわたくしたちを導いてます。わたくしは三人でこの国を動かしてました。今の特務部が何人いますか?」
わたくしがそう言うと王太子は、はっとしたようだが、
「そうだね。やって見なければわからないよね。やって見るといいよ。だけど、いつでも相談に来てくれ」と言って出て行った。
出て行ってくれてほっとした。アレク様が笑いながらそばに来ると
「良く、我慢した」と頭を撫でて来た。それから
「明日からは一人で行くんだよね」と拗ねた顔をして来た。
「一人じゃないですよ。ラズベリーが一緒だし、アレク様が選んだ護衛も一緒ですよ」と答えると
「そういう意味じゃないのに・・・お嬢さん、意地悪して嬉しい?」と言うと、ギュッと抱きしめられた。
「とっとと皇国に戻ればよかった。仕返ししてやるつもりが、なぜか長引いて・・・なぜか伯爵になって領地を持った」
「アレク様が方向を決めたと思いますが」
「そうなんだよね」とアレク様は言うとため息をついた。アレク様の腕から逃れると
「気をつけていきますね」と言うと部屋を出た。
それから、ラズベリーの元へ急いだ。
最初、海の一族のところに行って、それから領地へ行く。飛び地になっているので少し時間がかかるが、道中を楽しむつもりだ。
「アリちゃん、久しぶり」
「久しぶり、この前の航海はありがとう。海が静かでよかった」と挨拶して、お土産の野菜を渡した。
長老様の部屋に行ってきちんと挨拶をして
「歴史書を読んでいて、みなさまが戦争のときに手を貸してくれた。と言う記述を読みました」と言うと
「アリスちゃん。気がついたか。手を貸すよ」とあっさり長老様は答えた。ほんとにこちらが戸惑うくらい、あっさりと。
「その記述通りだと、河を遡って敵の後ろから攻撃したとありますが・・・」
「うん、河くらい行けるよ。軍隊を乗せて河を遡るからね。頼まれればやるよ」と長老様はあっさりと言った。
随分簡単にお返事が来た。これっていざって時にこころ強い。
疑問点が解決したってことで、その夜はいつもの通りに宴会を楽しんだ。わたくしも野菜を鍋に入れてスープを作った。我ながら、上手に出来たと思う。
翌日から領地を見て回った。どこもさすがは公爵領だけのことはある。民は穏やかな表情だ。書類で見たことがある水路や貯水池を実際に見られたのは良かった。
農地も見た限りは豊かな実りを約束しているらしい。話をすると領主に治める小麦がもっと少ないといいなということだ。
気持ちはよくわかるが、それを約束することは出来ない。収穫が終わった頃、もう一度来て税収をどう使うかを話すようにしよう。
全員に不満がないなんてことは出来ないが、税金をなにか形あるものにして見せておいた方がいい。
収穫が終わった時にお祝いをするらしいから、それに魚を持参して参加するのもいいだろう。
領地に大きな問題はなかった。もちろん、ないと思っていたが、自分の目で見て確認出来た。
視察から戻ってわたくしは鍛冶屋に行ってバーベキューの道具を注文した。
それからは図書館で歴史書。おもに戦術史の本を読んだ。
そして、アレク様とこの国を落とす方法をいろいろと考えた。北から攻めた場合。南から攻めた場合。
皇国を落とす方法も考えた。
兵が無尽蔵にいて、文句を言わない。不満をためない。だったら数の暴力でいけるが、それは無理。
準備期間がたくさんあれば、間者を送りこむのがいいかな?
今日は相手に攻めさせる方法を考えた。弱点があればそこを・・・
いまの王国なんて弱点だらけ! 確かに弱点だらけ。自分で言っておきながら、情けない。
「アリスに任せるのですか?」
「そうだ。アリスは出来るよ」とアレク様が答えている。大丈夫できるわよ。やってたことだから・・・
執務って嫌いじゃない。むしろ好き。出来る分量の仕事だったらね。
面倒だから言わないけど。明日から領地の見回りに行くから、早くここを出て準備したいんだけど。ラズベリーから、うるさく言われているのに。だから、ちょっと他人事のように聞き流してしまったが、気がついたら王太子が偉そうに能書きを垂れていた。
「アリス、無理だってわかるだろ?君はあのとき仕事が負担だった。大変だったって言ってたけど、今はどうだい? 順調に仕事は流れている。王妃殿下はメアリーを迎えに行くつもりで時間を作っていた。船旅だから時間がかかる。そこまで読んで計画を立てていた。先を読んでいた。まぁ行かずにすんだけど・・・だからね。アリス。ちゃんと計画してやれば、仕事はちゃんと出来るんだよ。それを君はできなかった」
なに言ってるのこの人。仕事は特務部がやってるじゃない。この人たちやってないじゃない。やってるつもり?いや、つもりなんだよね。孤児院の慰問の下見なんて楽なことを、やってるつもりでいた人だから・・・特務部が優秀だからだ。だけどこれって乗っ取られているのも同じなのに・・・王国の利益を優先してくれているけど。今のところは。
「だから、これからのしごとはわたしに相談してやればいいから。まえは王太子として忙しくて君にかまえなかったが」と聞いた所で、いらいらが募ってこう言ってしまった。
「必要ない。いらない。知らない。・・・えっとその、助言ってことですね。はい。無理せずにやって行きます。領主としての自分の仕事だけですから、勝手に孤児院に援助を約束する人がいないんですよ。楽です。民を見ましたか?彼らは賢いですよ。余計なことする必要ないですよ。ちゃんとやれてます。民が一人で出来ないことwやればいいだけです」と言うと
「現実は甘くないよ。民は導いてやらねば」と埒もないことを言い出した。アレクを見ると口出ししたそうだけど、首を振っていらないと伝えて
「もちろん、現実はよく存じてますわ。わたくしは他国を旅しました。民は賢いですわ。民はその生き方でわたくしたちを導いてます。わたくしは三人でこの国を動かしてました。今の特務部が何人いますか?」
わたくしがそう言うと王太子は、はっとしたようだが、
「そうだね。やって見なければわからないよね。やって見るといいよ。だけど、いつでも相談に来てくれ」と言って出て行った。
出て行ってくれてほっとした。アレク様が笑いながらそばに来ると
「良く、我慢した」と頭を撫でて来た。それから
「明日からは一人で行くんだよね」と拗ねた顔をして来た。
「一人じゃないですよ。ラズベリーが一緒だし、アレク様が選んだ護衛も一緒ですよ」と答えると
「そういう意味じゃないのに・・・お嬢さん、意地悪して嬉しい?」と言うと、ギュッと抱きしめられた。
「とっとと皇国に戻ればよかった。仕返ししてやるつもりが、なぜか長引いて・・・なぜか伯爵になって領地を持った」
「アレク様が方向を決めたと思いますが」
「そうなんだよね」とアレク様は言うとため息をついた。アレク様の腕から逃れると
「気をつけていきますね」と言うと部屋を出た。
それから、ラズベリーの元へ急いだ。
最初、海の一族のところに行って、それから領地へ行く。飛び地になっているので少し時間がかかるが、道中を楽しむつもりだ。
「アリちゃん、久しぶり」
「久しぶり、この前の航海はありがとう。海が静かでよかった」と挨拶して、お土産の野菜を渡した。
長老様の部屋に行ってきちんと挨拶をして
「歴史書を読んでいて、みなさまが戦争のときに手を貸してくれた。と言う記述を読みました」と言うと
「アリスちゃん。気がついたか。手を貸すよ」とあっさり長老様は答えた。ほんとにこちらが戸惑うくらい、あっさりと。
「その記述通りだと、河を遡って敵の後ろから攻撃したとありますが・・・」
「うん、河くらい行けるよ。軍隊を乗せて河を遡るからね。頼まれればやるよ」と長老様はあっさりと言った。
随分簡単にお返事が来た。これっていざって時にこころ強い。
疑問点が解決したってことで、その夜はいつもの通りに宴会を楽しんだ。わたくしも野菜を鍋に入れてスープを作った。我ながら、上手に出来たと思う。
翌日から領地を見て回った。どこもさすがは公爵領だけのことはある。民は穏やかな表情だ。書類で見たことがある水路や貯水池を実際に見られたのは良かった。
農地も見た限りは豊かな実りを約束しているらしい。話をすると領主に治める小麦がもっと少ないといいなということだ。
気持ちはよくわかるが、それを約束することは出来ない。収穫が終わった頃、もう一度来て税収をどう使うかを話すようにしよう。
全員に不満がないなんてことは出来ないが、税金をなにか形あるものにして見せておいた方がいい。
収穫が終わった時にお祝いをするらしいから、それに魚を持参して参加するのもいいだろう。
領地に大きな問題はなかった。もちろん、ないと思っていたが、自分の目で見て確認出来た。
視察から戻ってわたくしは鍛冶屋に行ってバーベキューの道具を注文した。
それからは図書館で歴史書。おもに戦術史の本を読んだ。
そして、アレク様とこの国を落とす方法をいろいろと考えた。北から攻めた場合。南から攻めた場合。
皇国を落とす方法も考えた。
兵が無尽蔵にいて、文句を言わない。不満をためない。だったら数の暴力でいけるが、それは無理。
準備期間がたくさんあれば、間者を送りこむのがいいかな?
今日は相手に攻めさせる方法を考えた。弱点があればそこを・・・
いまの王国なんて弱点だらけ! 確かに弱点だらけ。自分で言っておきながら、情けない。
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