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01 最近変な夢をみると思っていたら

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夢を見ている。自分でもわかっている。これは夢だ。そして昨日の続きだ。

自分は魔法士で魔獣と戦っている。いや戦う男の支援をしている。自分はその男の後ろから魔獣の動きが遅くなる支援魔法をかけている。

重ねて魔獣の命を削るよう支援魔法をかける。と魔獣の尻尾で前の男が吹っ飛んだ。

落下で怪我をしないよう男の身体を浮かせるとゆっくり地面に下ろした。尻尾で打たれた体に治癒をかけた。

目立つよう治癒をかけると男がいやがるから、練習の末、光がみえない治癒をかけられるようになっていて良かった。

動き回る魔獣に男の動きがついていけないようなので、魔獣の足を地面に埋めた。

男はなんどか魔獣に斬りかかり、やっと魔獣の首を刺して仕留めた。

男が振り返った・・・・




残念、目が覚めたか・・・・男の顔を見たいのに・・・・

大輔は重い体を起こした。


今日から、母親と二人の生活に戻るんだなと・・・・散らかった台所で水を飲んだ。

葬式が終わり親戚が帰って行き物音のしない家・・・広い家、学校は今日まで忌引休暇だ。

取り敢えず、台所を片付けトーストの簡単な食事を済ませると家中に掃除機をかけた。無駄に広い家は管理に時間がかかる。床の間に置かれた桐箱を開け中をあらためる。これをさわっていると不思議に落ち着く。子供の頃から聞かされてきた話・・・・信じられない話だが、大輔は信じている。


病気で死んだ母はそれなりに準備していたようで、葬儀も相続も滞りなく終わった。


写真に向かって行ってきますと言うと、散歩にでて、ついでにコンビニに寄った。

店をでて途中の公園の横を通っていると、足元に光る丸い物が出現した。

いやな感じがしてあわてて避けようとすると、後ろから誰かがおおいかぶさって来た。
重みでその場にうずくまった時、身体が浮かんだ。

浮遊感がなくなり、足に地面を感じた。気が付くと丸い模様の中・・・・あの夢で見たことのある・・・魔法陣のなかに座り込んでいた。痛む首に手を当てた。


◇◇◇

こいつ上のやつだなって感じの男が「ワタヌキ・ダイスケ様ですか?」と聞いた。

「あぁそうだ」とひとりが答えた。


「神子様、召喚に答えていただきましてありがとうございます。我々をこの世界をお救い下さい」

「なにをやればいいんだ?」

「神子様、いて下されば・・・あとは・・・」

「それだけでいいのか?」

「大体は・・・・さようでございます」とその男が満面の笑みで答えたとき



黒いマントの男が足音高く入って来た。
「お前たちは召喚をやったのか?今は時期としてはまずい故、後日の最適の日にと決めたではないか?」と男が言った。

「これは兄上、成功致しましたのでご心配には及びません」と金髪の男が言った。

「心配とかそういうことではございません・・・・今は時期ではないと・・・もっと安定するまで待とうと決まったではありませんか」

「予定を早めただけです。もともとわたしは待つのに反対でした。わたしの神子は今日やって来る。神殿長はそう言ってましたよ、今日が良いと。その通りでした。それに二人も来ましたよ」

「だから、よくないのだ」黒いマントの男の銀髪が光った。

「いいか、召喚された神子はひとりだけだ。このことを漏らすな」


「ぼくは神子じゃないから帰りたいんだが」と召喚者のもうひとりが凛とした声をだした。

「・・・・・」

「必要なのは一人・・・・そちらが神子なら僕は関係ないので帰りたいのだが」とその男は言った。

「貴様は帰りたいだと?」金髪がこう言った。

「王子殿下お控え下さい」と黒いマントの男が言った。

「どうしてだ、帰りたいなど無礼ではないか?」と王子が重ねて言うと

「わたしの意志とは関係なくここに連れて来られました。わたしはあちらに大切なものがあります。帰りたいです。それに召喚はひとりと言うならわたしは帰れますね」

「こちらで崇高な使命を果たせるのだぞ」と王子が答えると

「ですからそれはそちらの神子が・・・わたしは関係ありません」

「そうだな、お前ごときが神子の役割はできそうもない」とダイスケが言った。


男はその声を無視して神殿長に向かって

「責任者ですか?帰してください」と言った。

「いや・・・それは・・・・」

「帰す方法はありますよね。呼んだのだから逆をやれば」

「帰る方法はない貴様はずっとここで暮らすんだ」と王子が言うと

「そうだ、すまないが帰す方法はない」と黒マントの男が言った。

「それでは、この世界で自活できるまでの生活を保証していただけますか?」

「なら、これをくれてやる」と王子が金色のコインをばら撒いた。

男は腰をかがめそれをひろい集めると

「これ一枚がどれほどの価値を持つかは存じませんが、お金は大切なものです。あなたがたは民の収める税金をお預かりさせて頂いて充分に活用することを大切に考える立場の方だと思っていましたが・・・・違うようですね。これはお返しします」

王子に近づくとさっと手を取ってその手のひらに

「金色のコイン、七枚、確かにお返ししました」と言いながら乗せた。

王子に近づく素早い動きに気づいたのは黒いマントの男だけだった。

「それではその神子じゃないほう、俺のところで働いてみないか?なにができる?」

「わかりません、どんな仕事があるのでしょうか?」

「そうだな、おいおいと見つけるがいい、それでは行こうか?」と言うと黒いマントの男はもう一人の男を従えて部屋を出て行った。


廊下を歩きながら黒いマントの男は

「名前を教えてくれ」

「名前か?教えるつもりはない。適当に呼べ」

「教えたくないのか?」と黒いマントの男が聞くと

「あぁ」

「それではいずみはどうだ?」

「イズミ?」

「俺の好きな言葉だ」

「それでいい」
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