ある王国の王室の物語

朝山みどり

文字の大きさ
10 / 21

夜会 1

しおりを挟む
迎えにきたアンドリューと一緒に王城に着いた。待合室はすでに大勢待っていた。

アンドリューは「いちいち名前を覚える必要はないんだけどね」と言いながらもそれぞれの名前を教えてくれた。

公爵位は最後の入場らしいが、お祖父様は、座って友達と話したいからと先に会場に入った。

四公爵程の身分になるとそれが出来るのだそうだ。

わたしとアンドリューはうわさの愛人同士ということで注目されていたので、適度にいちゃいちゃした。


入口付近で楽しげな声がしている。みると女性が二人とエスコートの二人がいた。
女性は互いにしっと口に手を当てるがついつい声が大きくなるようだ。
仲良しって言うのがよくわかる。四人ともすごく楽しそうだ。

二人は色違いのおそろいのドレスを着ている。エスコートの男性も調和した装いですごく感じがいい。

はしゃぐ二人をやさしく見守る様子もちょっとうらやましい。

やがてわたしの名前が呼ばれて、会場にはいった。

リンバロスト子爵なんて知られてない名前にちょっと注目されてしまった。


程なく王室メンバーが入場して王太子の婚約が発表された。そしてシャーロットが紹介された。相変わらずカッテシーが安定してない、教育は行われていないのだろうか?

二人が最初にダンスを披露する。それをわたしたちは見守った。

王族、貴族へのお披露目だ。わたしたちは静かに見守った。いや、失敗しろと念を送るものもいるだろう。ドレスや宝石の品定めもしているだろう。

全員の目が二人を追っていた。その時、空気が揺らめいた。二人を追っていた視線が剥がれていくのを感じた。


公爵四人が会場の入口に向かって手を振っていたのだ。無言で満面の笑みで。

王太子たちのダンスより注目を集めてしまった。

王太子たちのリズムが狂った。

ダンスが終わるとすぐに拍手が・・・・・そう、終わるのを待っていたと言わんばかりに・・・・・公爵四人が立ち上がって・・・・

本来ならばすぐに次の演奏が始まる所だが・・・・・給仕が急いで会場入口あたりから青年を公爵たちのテーブルに案内した。手を取らんばかりの給仕の動作に焦りが伺えた。


隣のアンドリューが笑いをこらえて体を震わせていた。わたしはその笑いの発作が移らないよう隅にある料理に気持ちを向けた。

彼が公爵たちのそばに行くとよく来たって感じで四人が背中を叩いている。

青年をテーブルに座らせると公爵たちは楽団を見た。許可を与えるように。

すぐに演奏が始まり、フロアで不安そうに立っていた王太子とシャーロットは二曲目を踊り始め、高位貴族たちがそれに続いた。


王族のダンスは続いているが注目は公爵たちが集めている。

これって意地悪だよね。とても効果的だ。



アンドリューに連れられて公爵たちのところへ行く。視線が刺さってくるよ。愛人登場だよ。

あの青年はバージルと言い辺境伯の三男らしい。ダンスを申し込まれた。


「踊っておいでよ。僕はジェラルドを待っていたいから」とアンドリューがウインクをして来た。
正直、初めてのダンスを知らない男性とはと柄にもなくためらっていたら


彼はにっこり笑うと

「迎えに来たんだ」と言った。

胸がときめいた。だってこの部屋で一番目立つ彼の微笑みだよ・・・・『いや、そうじゃない。そう、あの子だ。あちらは覚えているよね。迎えに来たんだよね』

彼とはすごく踊りやすかった。彼の微笑みをみているとそれだけで魅せられてステップのことなど忘れてしまった。

音楽が終わったとき、ちょっと残念だった。彼がホールドをとかず次の音楽が始まったときはうれしかった。

踊り終わってアンドリューの所に戻ると、ジェラルドが合流していた。

「エリザベートこんばんは」
「ジェラルド、こんばんは」と挨拶を交わす。

「久しぶり、ジェラルド」とバージルが言った。

「三人は知り合いなの?」
「うん、学院で知り合った」
と三人が微笑みを交わした。



これって見目麗しい男性三人に囲まれたそれなり令嬢って図だよね。視線が痛いが快感だ。



その後、化粧室に行く途中で変な女たちに絡まれている先ほどの二人を見かけたので、

「こんばんは、おひさしぶり、お祖父様が会いたがっているの。ご迷惑でなかったら」

と声をかけたら、ちょっとびっくりしたみたいだけど

「ひ、ひさしぶり」とかえってきたので、並んで歩きながら

「びっくりさせた?お話したかったの。待合室で皆さんが楽しそうで」

「見てたんですか?恥ずかしい」

「わたしはエリザベート・リンバロスト」

と自分から名乗って、二人に腕を絡めるとやや、引きずりながら連行した。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】王妃はもうここにいられません

なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」  長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。  だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。  私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。  だからずっと、支えてきたのだ。  貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……  もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。 「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。  胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。  周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。  自らの前世と、感覚を。 「うそでしょ…………」  取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。  ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。 「むしろ、廃妃にしてください!」  長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………    ◇◇◇  強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。  ぜひ読んでくださると嬉しいです!

白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。

【完結】側妃は愛されるのをやめました

なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」  私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。  なのに……彼は。 「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」  私のため。  そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。    このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?  否。  そのような恥を晒す気は無い。 「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」  側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。  今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。 「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」  これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。  華々しく、私の人生を謳歌しよう。  全ては、廃妃となるために。    ◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです!

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】五年苦しんだの、次は貴方の番です。~王太子妃は許す気はありません~

なか
恋愛
「フィリア、頼む」  私の名前を呼びながら、彼が両膝を地面に落とす。  真紅の髪に添えられた碧色の瞳が、乞うように私を見上げていた。  彼––エリクはハーヴィン王国の王太子であり、隣国のシルヴァン国の王女の私––フィリアは彼の元へ嫁いだ。  しかし嫁いだ先にて……私は『子が産めない』身である事を告げられる。  絶望の中でエリクは、唯一の手を差し伸べてくれた。  しかし待っていたのは苦しみ、耐え続けねばならぬ日々。 『子が産めない』私は、全ての苦痛を耐え続けた……全ては祖国の民のため。  しかし、ある事実を知ってその考えは変わる。  そして…… 「頼む。俺と離婚してほしい」  その言葉を、他でもないエリクから告げさせる事が叶った。  実り叶ったこの瞬間、頭を落として頼み込むエリクに、私は口元に微笑みを刻む。    これまで苦しんできた日々、約五年。  それがようやく報われる。  でもね、許す気はない。  さぁ、エリク。 『次は貴方の番です』    ◇◇◇◇  ざまぁを多めにしたお話。  強い女性が活躍する爽快さを目指しております。  読んでくださると嬉しいです!

【完結】私が貴方の元を去ったわけ

なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」  国の英雄であるレイクス。  彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。  離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。  妻であった彼女が突然去っていった理由を……   レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。      ◇◇◇  プロローグ、エピローグを入れて全13話  完結まで執筆済みです。    久しぶりのショートショート。  懺悔をテーマに書いた作品です。  もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

処理中です...