【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

文字の大きさ
54 / 139

54 お約束の二日酔い

しおりを挟む
「ディエス」

「……ごめん、ラム……頭が割れる様に痛い……飲み過ぎた……」

「だろうな。薄めもせずに飲むからだ」

「だって……美味かったんだ……」

 ガンガンする、ガンガンだ。くそ……俺はなんであんなに飲んだんだ。そしてどうして今回もラムは平然としているんだ……?

「ラム、なんで……平気なの……?」

「適量を知っているからだ」

 くそ……思いっきり飲ましてやろうと思っていたのに……。控えめなノックの音が響いてメイドの一人があのまっずい薬湯を持って来てくれたみたいだ、うう、不味い……もう一杯……!

「不味いぃ……ところで、ラム。俺なんか変な事言ってなかった……?お前に何か聞かれたような気がするんだよね」

「何も?」

「……ホントに……?」

「ああ」

 なら良いか。今回の二日酔いは強烈すぎて仕事を半日休んでしまった。

「ラムは働いてきていいぞ……」

「私も具合が悪いからな」

 と、言いつつ俺が撃沈しているベッドの横で椅子に座って本を優雅に読んでるよな?どこが具合悪いんだ??サボりか!!

「大丈夫ですよ、急ぎの用件はありませんから。なんなら一日休養になさってはどうでしょう?」

「や……それは駄目だ……なんか、駄目だ……二日酔いで休みとか駄目だろう」

 今日の予定を変更してくれた侍従のルトはそんなことないですよ、と笑ってくれるけれど、俺が嫌だし、そんなの心が落ち着かないわ!

「くそう……氷だ、氷がなかったのが敗因だ……くそう」

 絶対魔法の練習をして氷を作れるようになってやるぞ、畜生め!

「……」


 暫く後にルトが持ってきた水が冷たくてよく見ると中に氷が浮かんでいたのでものすごく驚いた。

「ルト!こ、氷が入ってるんだけど!?」

「厨房に行ったら……ありますよ」

「は!?」

 バッとラムを見ると

「聞かれなかったから言わなかった」

「てめええええ!!」

 ニヤリと笑ったので、こいつは知ってて黙ってたんだな!?色々締め上げて聞き出してやろうと思ったらあえなく返り討ちにあいそうになったので

「ソ、ソレイユ様に言いつけてやるーーー!」

「それは駄目だ」

 走って正妃宮まで逃げて来て、半日くらい遊んでいたらメイド長やら侍女ちゃん達が呼びに来るし、最後にはソレイユ様に

「ディエス……ラムが暴れているらしいのよ。悪いんだけど、戻ってあげてくれないかしら?」

 なんて言われてしまった。仕方がなく戻ると、執務室にはいつも通りラムが座って仕事をしていたから暴れたなんて大げさな話だったんだろう。

「うわああああ……ディエス様、ディエス様あ!戻ってきてくれて本当にありがとうございます!」

「……ルト??どうしたんだ?」

「久しぶりの昔の陛下はやっぱり怖いですーー!どこにもいかないでくださいーーーディエスさまあああ!」

 と、平伏されたので困ってしまった。ラム、一体何をしたんだ???

「ラム、なんかしたの?」

「……なにも」

「どうして怒ってるんだ?」

「怒ってはいない」

「……そうなの?」

「ああ」

 おいおい、怒ってんのは俺の方だろうに、なんでラムがご機嫌斜めなんだよ。理不尽じゃねぇ?でもまあギスギスしてんのは気持ち悪いし、俺が折れてやるとする。

「……今度、氷入れて飲もうぜ」

「ああ」

 機嫌が直ったみたいだ。ラムは酒が好きだなぁ、ホント。




しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...