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70 当然の結果

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「なんの成果も得られなかったな」

「あ、あと、あと1ヶ月頂ければ!か、必ず!!」

「私は結果を残せぬ無能に慈悲をかけることはない。その顔、不快である。今後一切我が前に立つ事を禁ずる。お前の娘も同様だ。何故またそのような色を纏って現れる?私に対する嫌味か?以前は側妃からの要望で首を刎ねずに返したが今日は我慢ならん」

 凍土、一面に凍えた空間。明るい色のラフレシアですら凍りついたような寒々しい部屋の中で、ラムが左手を上げる。
 執務室の扉が少し乱暴に開き、親衛隊がバタバタと5.6人駆け込んで来る。

「や?!何を!」

「連れて行け」

「はっ!」

 親衛隊はラフレシア……リリシアだっけ?の腕を掴んで身柄を拘束する。

「臭っ」

 誰がが思わず漏らすから笑いそうになるが、俺は神妙な顔を頑張ってキープする。

「リ、リリシア!?へ、陛下、娘が何をしたと?!あんなに陛下の事をお慕いしている娘に、なんと言う事を!」

 それに答えるのは俺。そう言う手筈だし、ラムは頭に血が昇っている事になっている。

「レジム公爵。皇帝ラムシェーブルの前で赤い服、特に赤いドレスは禁忌だと何故分からぬのですか?皆が知っている事ですよ?」

「え……」

 レジム公爵はそんな話知らないと口の中で呟いているが、これは知らない方がおかしい話なんだよな。この人、貴族の間でもボッチにされてたのかな?

「それを何度も犯しておいて、その事で公爵家がお取り潰しになってもおかしくないのに。今日という日まであのような赤いドレスを着用してきては庇いきれません」

 朱色とオレンジのドレスは鮮やかな血の色をしていた。本当にラムを苛立たせる天才なのか?と目を疑う程だった。

「そ、そんな……」

 がっくりと膝をつくけれど、しょうがないよ。

「お帰りください」

 とぼとぼとレジム公爵は帰って行く。自ら蒔いた種ではあるが少し可哀想な気もしてしまう。

「リゼロ」

「はっ!では回収して参ります」

 また例の出入り口から手だけにゅっと出てきて、その手にラムは書類を手渡した。

「何の書類?」

「レジム家のもう一つの隠し鉱山とその周りの禁制ギリギリの高価な薬草園の没収司令書だ」

「……ひょ……」

 まさか、ラム。レジム家から財産全てをむしり取るつもりで……?

「あの公爵のことだ。鉱山からの収益と高価な薬草を売れば凌げると思っているだろうと踏んでな。あいつの家から大量に金を吐き出させた」

「あ、何度もお金を持ってきてたね……」

「そうだ。補充出来ると分かっているから、今、自宅に置いてある金をかなり使うだろう。使わせてから押さえるつもりで泳がせていた。良かったな、冷夏対策の資金が浮いたぞ」

 にやりとかなり悪党顔でラムは笑った。この中で一番悪いのは絶対ラムだ!俺は確信したね。

「さて、邪魔者は消えたし祝杯でもあげようかまた良さそうなのを見繕って……」

「いや、終わってないじゃん。何言ってるのさ」

「……は?」

「文官と武官の不仲だよ。なーんにも進展してないだろ?」

「それはそうだが……」

「何とかなるまで飲み会は禁止!」

「は?!」

 怒ったって駄目だろ?!そもそもの問題がどうにもなってないんだから!!

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