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94 社長、不祥事であります!
俺は覚悟を決めて王妃宮に来ていた。
「う、うう……胃が痛い……」
俺はラムと生きていく事を決めた。でもラムの正式な奥さんはソレイユ様だ。今まではなんていうか気持ちと覚悟が定まってなかったから良かったけれど、でもこれからは違う。ソレイユ様に謝らねば仁義が通らない!
だからソレイユ様に面会を申し込んだ。うう、緊張する!
「失礼しますっ!」
社長に不祥事案件を報告する気持ちだ!!この場合、不祥事を起こしたのは俺だ、俺が犯人だぁあ……胃がシクシク痛い。入ると涼やかな立ち姿のソレイユ様が待っていてくれた。
「座って、ディエス」
「は、はいっ!」
俺はスサッと下座についた。そして
「この度は……!」
と、口を開く前にソレイユ様が話し出した。
「私とラムは生まれた頃からの婚約者でした」
「はいっ!聞き及んでおりますっ!」
カチコチと硬くなっている俺を他所に、ふふ、と薄く笑ってからソレイユ様は続ける。
「子供の頃は何の疑問もなく、ラムシェーブルと結婚して2人で帝国をよくして行くんだと思っておりました。そしてそれはラムシェーブルも同じ思いでした」
俺は静かにソレイユ様の話を聞いていた。
「でもこの帝国は正妃は政治に関わらない。それが伝統であり、そうする様に私は躾けられ、学ばされた……私はその帝国のしきたりを破る勇気がなかった。共に来て欲しいと言うラムシェーブルの手を振り払い、その心を裏切り、しきたりに従いました。私は私自身を守ったの」
葛藤があったんだろう。でもそれが常識と学んだ物を捨てる事は出来なかった。
「そうやってラムシェーブルを裏切ったのに、彼が側妃を取る事を恐れたわ。女性の側妃だったらどうしよう、ラムが私を見限ったらどうしようと震えたのよ、自分勝手でしょう?」
俺は首を横に振る。女性の側妃が選ばれ、心が完全に離れたソレイユ様は離婚される可能性もあったんだ。皇帝の寵愛を失ったら正妃と言えど発言力は弱くなる。弱くなれば、この厳しい世界で生き残るのは難しい。
「そしてラムシェーブルは男性の貴方を選んだ。私はとても安堵したのよ?酷い女でしょう?」
そんな事はない。ソレイユ様は最初から俺に優しかった。
「そうしたら、貴方はとても良い子だった。私をラムの妻として扱い、自分は下で良いと身を引いた。その姿に私がどれほど助けられたか……私の心は貴方に守られていたのよ?」
そんなつもりはなかった。でもソレイユ様は絶対頼りになるって思ったから……取り入るのに必死だっただけ。
「それなのに貴方は何度も何度も私を救ってくれるの。ウィルも貴方がいなければ今頃名も貰えず土の下だった……そして私が殺したラムの心を生き返らせてくれた……ありがとう、そしてごめんなさい。そしてラムをお願い、私のように捨てたりしないであげて」
「ソ、ソレイユさま……」
「一度ラムシェーブルを裏切った私はもう子供の頃と同じように純粋にラムを愛する事が出来ない。でも貴方は違う。お願いします、ラムシェーブルをお願い」
ソレイユ様は立ち上がり、床に膝をついて頭を下げようとする。
「わっ!やめて下さい!ソレイユ様、頭を上げて!!」
「もう貴方しかラムシェーブルを真に愛してあげられる人がいないの、お願いよ、ディエス!」
「えっと、あの……その件についてこちらにお邪魔したのですが……」
「私が出来る事なら何でも」
俺はしどろもどろでラムを好きになって申し訳ない事を説明した。恥ずかしくて上手く話せなかった……ううっ!
「ディエス……貴方はなんて良い子なの!!」
ソレイユ様にぎゅっと抱きしめられた!ひえっ!柔らかくて良い匂い……じゃなくて!
「ありがとう、本当にありがとう!ラムシェーブルをお願いね!ああ、貴方はまた私の心を救ってくれるのね!」
「そんな、私こそ……ラムはソレイユ様の旦那なのに……」
「旦那と言うより、ラムシェーブルは大きな子供みたいな物よ?なんだか息子に立派なお嫁さんが出来た心地だわ!」
「ええー……?」
でも本当に嬉しそうに、まるで踊り出しそうなソレイユ様を見て、俺も物凄く安堵した。
何だが思っていたのと違う結果になって、ある意味拍子抜けして正妃宮から帰ってきた。
「私はソレイユの子ではないぞ」
「分かってるよ……」
ラムの執務室に戻ると口を尖らせて文句を言っているので、まあそれ程怒ってはいないようだ。ラムは怒ると無表情、無口になるタイプだもんな。
「ジンギとやらは通ったのか?」
「うん、通った、と思う」
俺達は誰にも後ろ指を差されることなく笑い合っていたいから。それはとても贅沢な事だろう。
ソレイユ様は俺の事を良い子だって言うけれど、ソレイユ様の方がずっと良い子で、素敵な人だ。
「俺は幸せ者だなぁ」
「不幸になられては私の沽券に関わる」
あ、そうですね、旦那様よ。
「う、うう……胃が痛い……」
俺はラムと生きていく事を決めた。でもラムの正式な奥さんはソレイユ様だ。今まではなんていうか気持ちと覚悟が定まってなかったから良かったけれど、でもこれからは違う。ソレイユ様に謝らねば仁義が通らない!
だからソレイユ様に面会を申し込んだ。うう、緊張する!
「失礼しますっ!」
社長に不祥事案件を報告する気持ちだ!!この場合、不祥事を起こしたのは俺だ、俺が犯人だぁあ……胃がシクシク痛い。入ると涼やかな立ち姿のソレイユ様が待っていてくれた。
「座って、ディエス」
「は、はいっ!」
俺はスサッと下座についた。そして
「この度は……!」
と、口を開く前にソレイユ様が話し出した。
「私とラムは生まれた頃からの婚約者でした」
「はいっ!聞き及んでおりますっ!」
カチコチと硬くなっている俺を他所に、ふふ、と薄く笑ってからソレイユ様は続ける。
「子供の頃は何の疑問もなく、ラムシェーブルと結婚して2人で帝国をよくして行くんだと思っておりました。そしてそれはラムシェーブルも同じ思いでした」
俺は静かにソレイユ様の話を聞いていた。
「でもこの帝国は正妃は政治に関わらない。それが伝統であり、そうする様に私は躾けられ、学ばされた……私はその帝国のしきたりを破る勇気がなかった。共に来て欲しいと言うラムシェーブルの手を振り払い、その心を裏切り、しきたりに従いました。私は私自身を守ったの」
葛藤があったんだろう。でもそれが常識と学んだ物を捨てる事は出来なかった。
「そうやってラムシェーブルを裏切ったのに、彼が側妃を取る事を恐れたわ。女性の側妃だったらどうしよう、ラムが私を見限ったらどうしようと震えたのよ、自分勝手でしょう?」
俺は首を横に振る。女性の側妃が選ばれ、心が完全に離れたソレイユ様は離婚される可能性もあったんだ。皇帝の寵愛を失ったら正妃と言えど発言力は弱くなる。弱くなれば、この厳しい世界で生き残るのは難しい。
「そしてラムシェーブルは男性の貴方を選んだ。私はとても安堵したのよ?酷い女でしょう?」
そんな事はない。ソレイユ様は最初から俺に優しかった。
「そうしたら、貴方はとても良い子だった。私をラムの妻として扱い、自分は下で良いと身を引いた。その姿に私がどれほど助けられたか……私の心は貴方に守られていたのよ?」
そんなつもりはなかった。でもソレイユ様は絶対頼りになるって思ったから……取り入るのに必死だっただけ。
「それなのに貴方は何度も何度も私を救ってくれるの。ウィルも貴方がいなければ今頃名も貰えず土の下だった……そして私が殺したラムの心を生き返らせてくれた……ありがとう、そしてごめんなさい。そしてラムをお願い、私のように捨てたりしないであげて」
「ソ、ソレイユさま……」
「一度ラムシェーブルを裏切った私はもう子供の頃と同じように純粋にラムを愛する事が出来ない。でも貴方は違う。お願いします、ラムシェーブルをお願い」
ソレイユ様は立ち上がり、床に膝をついて頭を下げようとする。
「わっ!やめて下さい!ソレイユ様、頭を上げて!!」
「もう貴方しかラムシェーブルを真に愛してあげられる人がいないの、お願いよ、ディエス!」
「えっと、あの……その件についてこちらにお邪魔したのですが……」
「私が出来る事なら何でも」
俺はしどろもどろでラムを好きになって申し訳ない事を説明した。恥ずかしくて上手く話せなかった……ううっ!
「ディエス……貴方はなんて良い子なの!!」
ソレイユ様にぎゅっと抱きしめられた!ひえっ!柔らかくて良い匂い……じゃなくて!
「ありがとう、本当にありがとう!ラムシェーブルをお願いね!ああ、貴方はまた私の心を救ってくれるのね!」
「そんな、私こそ……ラムはソレイユ様の旦那なのに……」
「旦那と言うより、ラムシェーブルは大きな子供みたいな物よ?なんだか息子に立派なお嫁さんが出来た心地だわ!」
「ええー……?」
でも本当に嬉しそうに、まるで踊り出しそうなソレイユ様を見て、俺も物凄く安堵した。
何だが思っていたのと違う結果になって、ある意味拍子抜けして正妃宮から帰ってきた。
「私はソレイユの子ではないぞ」
「分かってるよ……」
ラムの執務室に戻ると口を尖らせて文句を言っているので、まあそれ程怒ってはいないようだ。ラムは怒ると無表情、無口になるタイプだもんな。
「ジンギとやらは通ったのか?」
「うん、通った、と思う」
俺達は誰にも後ろ指を差されることなく笑い合っていたいから。それはとても贅沢な事だろう。
ソレイユ様は俺の事を良い子だって言うけれど、ソレイユ様の方がずっと良い子で、素敵な人だ。
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あ、そうですね、旦那様よ。
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