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103 来たぞ!麦酒だ

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 そうして恙なく一組の結婚式と二組の結婚式は執り行われ、晴れ渡った青空にサファイアとプリネラは持っていたブーケをぽーんと高く投げた。

「あれを取ると次の幸せな花嫁になれるんだぞ!奪い取れー!」

 ちょっと煽ってやったら、未婚令嬢がわーーーっと殺到して騎士団員が出てくる場面もあったが、これが結婚式の醍醐味だろうとちょっと笑ってしまった。
 こういうアクシデントを経て、知り合いお付き合いする人達が現れると良いな、なんて思ってしまう。

 その後の初夜をどういう風に過ごすかは俺が聞くべき所ではないからそれぞれの判断で過ごしたのだろうなと思う事にする。

「街に活気が出ると良いな」

「お前にもあの白いドレスを着せたい」

「断る」

 俺は嫌だよって何度も断ってるよな!?

「着たのを脱がせたい」

「変態だー!!」

 ラムはラムだった。



 夏になり、小麦の生育が順調で誰の目にも冷夏は去ったと感じられる頃、第3皇子の存在を明かした。

「正妃ソレイユが双子を産んだことにより冷夏が去った!」

 言い出したか知らないけれど、そんな噂が流れる。何せイーライ様もウィルフィルド様も綺麗な金髪で、太陽の日差しや実った小麦畑みたいな色だからね。

「今年は小麦の収穫が2倍になりそうだぞ!」

 それはないと思ったけれど、本当に豊作になって貴族達のすっからかんになった食料貯蔵庫にもかなりの貯蓄量が戻ってきたらしい。とても良い事だ。



「んふ、んふふーーー!」

 俺は白い泡の黄金色の陽気な飲み物を片手に気持ち悪い笑みを浮かべていた。

「今年の新麦で出来た物を献上してきたヤツだ」

「来たあああああ!ビールだ!」

 俺はセイリオス謹製冷蔵冷凍庫でキンキンに冷やしたジョッキに更にキンキンに冷やしたビールを並々を注ぐ。

「かんぱーーーい!」

「カンパイ?」

 首を傾げるラムのジョッキにカチンと打ち付けて一気に飲み干した!

「う、めーーーーーーー!これだよ、これぇ!」

「これとは?」

「これだってばあああ!」

 っあーーー!この一杯の為に生きているーーー!ついでに王宮の庭に小っちゃい畑を掘って枝豆を植えた。料理長を説得して唐揚げも作って貰った。なので宅飲み会場のラムの私室には今ビールと枝豆と唐揚げと……あと

「ねぎま、チーズ焼きぃ……くううう!美味いっ」

「ふむ、美味いな」

「だろ!?」

 完璧な居酒屋飯が並んでいる。そして

「焼きおにぎり-うっひょーい!」

「珍妙だな」

 ラムには不評だけど米民族としては欠かせない!

「良いんだ、俺が一人で食うもん~!」

 まさかこの世界で居酒屋飯が並ぶとは思わなかった。


「ラムー、俺、酔っぱらったー!」

「いつも通りだな」

 ふぇーい、気分いいなあ!やっぱりビールは最高だよ!

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