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104 宅飲みのお約束*(皇帝ラムシェーブル視点

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「酔ったのか?」

「酔った、酔った!ウェーイ!まだ飲めりゅぞー!」

 ディエスはジョッキで10杯以上は呑んだだろうか?途中ヨタヨタと

「トイレぇ」

 なんて言っていたからついて行ったが一人で立っていられない、もう潰れる寸前だ。

「おいしーなぁ!ラムぅ!キンキン最高!キンキンーー!」

「ああ、そうだな」

 確かに喉越しが良いとは思うがそれ程ではない。私が味わいたいのは酒よりもお前だから。
 まだ飲もうとするジョッキを取り上げて横に置く。

「あー、返せぇ……」

「後でな」

 膝の裏を掬ってベッドの上に乗せれば、にやりぃと笑った。いつもならちょっと困った顔をするのにやはり酔っていると大胆になる所が良い。

「する?」

「ああ」

「良いぜー」

 ニヤニヤと笑いながら自分から脱いで行くのは少し色気がないが、まあそれも良い。

「ディエス、この傷」
  
「あーガッツリ残ったなぁ……てぇかさぁーラム、触んなよぉ?」

 もたつく指先でシャツのボタンを外せば下腹部には大きな傷痕が広がっている。触るなと言われて触らない奴はいない。つ、と指の腹でなぞれば細い体が大きく跳ねる。

「あっ!やっ、触んなぁっ!感じるんだからぁ!」

「やはりか」

 やけに私から隠すと思ったら、そう言う事か。

「ばかぁ、触んなぁ!なぁんかラムに触られるとすげぇビクンってするからぁ!」

 止めろと私を押し返そうとしても酔った腕では力が入る訳がない。指で撫でただけで肩で息をしながら涙目でこちらを見ている。とろとろに溶けて拗ねているような、誘っているようなあの瞳が堪らないし、ここに舌を這わせたらどんな声を聞かせてくれるのか楽しみでならない。
 薄い腹に顔を近づける。

「ラム……?ラム……、や!やめ!あぁんっ!!」

 私を煽るゾクゾクとする良い声だ。暫くいい声を上げさせてやれば、我慢が出来なくなったのか自分から強請ってくる事を覚えたようだ。

「ラム……

「どこでそんな痴態を覚えて来た?」

「……う?」

 酒精に頭の中を支配され、良く言葉も染み込まぬままでもディエスは私を迎え入れる。

「いれるぞ、カズシ」

 少し迷ったがカズシの名を呼んでみた。嫌がるだろうか、ディエスはカズシである場所に私を許すだろうか?

「うん、良いよ」

 何の拒絶もなく、カズシでありディエスである私の愛しい人は暖かく包み込んでくれた。

「ぅん……あ、ああ……」

 いつものようにゆっくり進めて行く。酔って感覚が鈍くなるのか、いつもより嫌だとかダメだとか言わない。そのくせいい所に掠めると

「んあっ……」

 なんていい声を上げるのが、私の事をよく分かっていると思う。

「な、ラム……なんで和志って呼ぶ、の?」

 流石に気がつくか?とろんと溶けた目で聞いてくるが、明日になれば忘れてしまうのに。

「お前の全てが欲しい。ディエスである今のお前もカズシであった過去のお前も」

 ディエスは少しだけ動きを止めてから吹き出した。

「あはっ!強欲だぁ~~」

「何せ皇帝陛下だからな。欲しいと思った物は全て手に入れなければ気が済まないんだ」

「皇帝陛下にそう言われちゃあ、差し出すしか無いよなぁ?あはは、ラムシェーブル陛下、どうぞ田中和志をよろしくお願い致しまーす」

 言ったな、カズシ?もうお前を離してやらんからな?



 



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