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122 しょうがないからずっとそばにいてやるんだ

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「ラム、ラムっ……」

 ああ、だめだ。条件反射のように、もうラムに縋るだけ。

「良いのか?」

「うー……」

 どうしてそう言う事聞くかな?!でも返事をしない限り焦らしてくるのは分かってる。仕方がなしにこくりと頷いた。

「おね、がいぃ」

 ふ、と鼻先で笑われたけれど、素直に答えた俺にご褒美をくれる。俺より俺の体のどこをどう扱えばいいか知られてしまっているのが少し腹立たしい。

「あっあっ……ッ、そ、そこ、駄目ぇ!」

 深い場所を何度も何度も突かれて、頭が痺れてくる。ああ、このままじゃ気持ち良くていってしまう……。

「……やっぱり邪魔だな」

「はは……」

 まだ腹の辺りに固まっていた黒いドレスを引っこ抜く。派手に放り投げたのか、床に落ちた乾いた音が聞こえてきた。

「ラム……コレも……」

 ひじの上まである黒い手袋と、太ももまである靴下……足は靴を履いたままなんだよ。やけにヒールの高い黒で統一された靴はどうなっているか分からないけど脱げないんだ。靴下はガーターベルトで留まってるし、やけにマニアックな格好だよ。

「それはそのままでいいだろう?」

「や、やだよっ、なんか……恥ずかしい」

 なんだろう、ドレスより恥ずかしい気がするよ。

「いい表情かおだ。やっぱりそのままで」

「ラム~~~~っ!」

 結局はラムの趣味に付き合わされて、朝まで寝かせて貰えなかった。


「あ」

 枯れた声のまま目を覚ますと、いつも先に起きて涼しい顔で本なんかを読んでいるラムが珍しく横に寝ていた。静かに眠っているラムを起こさないように少し頭をもたげると、ぐちゃぐちゃに脱ぎ捨てたはずのドレスはきちんと整えられて壁際にかかっているし、ベッドのシーツも綺麗な物に取り換えられている。
 誰がそうしたかは考えたくないのでいつも考えないようにしてる。

 ぽすんと頭をラムの横に戻すと、目の前に中々の男前が眠っている。真っ黒い髪に今は見えないが濃い青の瞳のいつまでもイケメンな奴。こいつはいつまで俺と一緒にいるつもりなんだろう?ずっとかな?死ぬまでかな?爺さんになっても二人でこうやってベッドで抱き合って朝を迎えるんだろうか。

「……こいつ、しつこいからな……」

 絶対に離さないと公言して憚らないし、ラムならやりそうな気がしてる。まだスースーと規則正しい寝息を立てていて起きる様子が全くない。

「……死ぬまでよろしくな、旦那様」

 小さくつぶやいて、そっと唇に寄った。良く寝てるんだ、どうせ起きないだろうって思ったんだよ。

「勿論だ」

「!?」
 
 ぐっと後頭部を掴まれて引き寄せられた。結構いい勢いで唇と唇がぶつかったけれど、俺は抗議の声を上げられなかった。

「んむっ!?むー!むー!!」

 素早く唇を割り開かれ、ぬるりと舌が入り込む。あっという間に上に乗られて後はベッドに沈むだけ。

「ラ、ラムっ……待って、待って!」

「待てないなぁ?」

 俺はいつまでもこうやってラムに翻弄され続けて行くんだろうけれど、それも悪くないと思っている。だってラムはずっとそばにいてくれるだろうからね。しょうがないから俺も傍にいてやるんだ、ずっとね。






廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!【終】



 
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