マイアバターに異世界転生したら宰相だった私に救いの手を!

鏑木 うりこ

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護るべきもの

30 **昔の男**

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 殿下はあまり寝ていないのに、ウキウキと準備をして出て行った。

「い、いってらっしゃいのちゅーをして下さい!」

「お断りします」

 調子に乗るな!と、力一杯思ったが、右腕にずっとくっ付いて取れず、キス待ち顔でずーーーっといる。
 コーディ殿下のしつこさは、折り紙つきだ。ルンルンとスキップしていたので推して知って欲しい。

 私も本当に重い腰を上げなければ。もうすぐ、アルトが檄を飛ばすだろう。鼓舞するため、リュリュが祝福の歌を歌うかもしれない。ついていなくては。

 はー…なんでこんな日の前日にやる気だすかなぁ?とコーディ殿下の脳天気なわふわふ顔を思い出した。

 仕事しよ。

 
 小さなバルコニーの上にアルトもリュリュもいた。下から見えない奥の方で、見守ろうとしたら、リュリュに引き出される。
 
「パパ、ラブラブね」

「祝福の歌 間違えないでくださいよ」

 にひひ、と笑って 間違えても誰も気づかないからー!と言う。大物かな?
 ついでに言うと私のことは放っておいてください…。誠に遺憾の意であります…。


「勝利を我が手に!」

 アルトの言葉で城門が開き、戦いの火蓋が切って落とされた。

「ひとまず、会議室でしょうか。陛下についていきましょう」

「うん」

 会議室の前には会いたくない男 No.1のカティスが壁にもたれていた。

「少し、話がある」

「……」

 私にはないです、と言いたかったが、そうも行かず

「リュリュはアルト陛下と一緒にいて下さい、すぐ戻ります」

 仕方がなく、カティス陛下の後ろに付き従った。
 ファディアンの人間が多く使っている棟の1室に入る。誰も使っていない小さな客間のようで、テーブルと椅子、それからベッドがひとつだけおいてある簡素な部屋だ。

「なにか、御用で?」

「リィン、お前コーディと寝たな?」

 この男、なんのつもりか。

「答える義務はないと思いますし、これから戦場に立つ陛下にお聞かせする話でもありません」

「そう、義務なんてない」

 右腕を取られた。そして放り投げられる。

「なに、を!」

 着地位置はベッドの上で、しまった!と飛び降りる前に馬乗りにされた。近頃ろくに戦場で戦っていない私は、カティスに遅れを取る。
 手枷で両手を素早くまとめてあげられ、ベッドに括り付けられた。

「なあ、少し遊ぼうぜ?」

「や、やめ……!」

 あっと言う間に衣服は剥ぎ取られ、後孔を撫でられる。

「ひっ…!や、やめて、」

「おいおい、まだ柔らかいじゃないか?お前らいつまでヤってたんだ?」

 ひたり、と当てがわれるものに恐怖が湧く。

「何もしなくても入るな」

「やめ、いや、」

 ぐ、と体重をかけられると、最初は抵抗したものの、良く可愛いがられた身体は文句一つ言わずに くぽん、と飲み込んだ。

「あ、あ、あ!嫌だ、止めて、」

 ぐぬぐぬと中に入り込んでくるモノを止められない。

「おね、やめて、嫌、」

「何が嫌なんだ?嬉しいんだろう?」

 違う、嬉しくないよ。

「抜いて……カティス、……ティス、おねが…い」

「おい、リィン!お前何だよ、くそッ」

「ひぃっ‼︎」

 急にえぐられて、悲鳴のような声が上がる。嫌なのに、止めて欲しいのに。

「あっあっ!やっ…いっ!」

 中を擦られ、突かれ、痛みと嫌悪の中から、快感を拾い出す。
 
「やめ…!いやっ!はぁっあっ……!」

 私は知っている。コレの良さを。

「あっ!あ…っ!そ、ソコ、い、い……」

 塗られて行く、何もかも。もう考えられない。

「い、いいっ!もっとぉして!あっ!やっ!あっあ…あああああーーーっ」

「くっ」

 自分の上で小さく呻いた男は誰だっていい。快楽の波に巻かれ、沈んだ。しばらく余韻を楽しんでいたが、ぬるりと引き抜かれる。

「お前は、そんな奴じゃなかったろう?なあ!」

 私はどんな奴だと言うの?銀月?冷徹?そんな感じだったと思う。

 がちゃりと、枷が外れる。両手は自由になったが、力なくぽてりとベッドの上に落ちた。
 
「なんだよ、本気なのかよ!そんなにあの犬が良いのかよ!」 

「……え…?…」

「くそッ!」

 カティスは持っていたタオルを投げつける。

「願いは叶ったのに、振られたじゃないか」 

 つまらん!全くもってつまらない!

 扉を乱暴にしめ、カティスは足早に歩く。

 この苛つきは戦場でぶつけよう。奥歯をぎりっと噛んだ。




「戻りました」

 会議室の前の兵士に声をかけ、中に入る。作戦など口を出す気はないが、リュリュの護衛は私の仕事だ。

「リンパパ!ど、どうしたの⁈」

「どうもしないよ」

 慌ててリュリュが駆け寄ってくるが、平静に答える。彼女が驚くほど酷い顔をしているのだろうか。

「そ、そう…大丈夫、で、いいのね?」

「大丈夫ですよ?」
  
 辛そうに顔を歪めたが、パパが大丈夫って言うなら…大丈夫でいいよ…と小さな声で呟いた。

  
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