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1 元搾取子 腐女子、転生する

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「あ」

 課金しなきゃ……それが前世を思い出した想いだった。

 目の前に何か尊いモノがいたので、思わず五体投地して全世界に感謝の祈りを捧げてしまった。

「マリー?!どうしたの!!誰か、マリーが!マリーが!!」

「きゃー!マリエルお嬢様!」

「ヴィンセント!貴方ッまさかマリーを?!」

「わ、私はそのような事は!マリー!マリー!!」

 6歳の春の日、私は前世の推しのショタい姿を見て気を失った。当然、あまりの尊さにだ。ついでに鼻血もたっぷり噴出させてもらった。
 仕方がないでしょう?!なんせ2.5次元が突然3次元に現れたのよ?!皆だって画面の中の嫁が突然8歳になって現れたら同じ事するでしょ?!これから、2.5次元嫁が大きくなって行く姿を逐一見れるのよ?!全宇宙に感謝、圧倒的感謝!全ての神に、事象に圧倒的感謝よ!

「ありがたやーありがたやー……」

「マリエル様が目を覚まされました!」

「マリー!ああ、私の可愛い、私だけのマリエル!貴女がいなくなったらお母様はどうしたらいいの?!」

「お母様……?」

 私の小さな手を握りしめていたのはリエリルお母様だ。お母様と言っても私は6歳で、お母様は25歳。お姉様と言っても過言ではない。
 艶々のミルクティーみたいなストレートの髪に、宝石なら紫水晶と言われる綺麗な瞳。その瞳からポロポロ涙を零している美女は私を抱き寄せる。

「マリー、良かった!三日も目を覚まさないから、お母様は心配で心配で……」

「ご心配をおかけしました、お母様。どこも痛くありませんよ」

 お母様、この世界でのお母様。私はこの人が大好きです。前世の思い出したくもない母親は所謂毒親で弟ばかり可愛がっていた。
 私は搾取用生物で、適当に育てられ「育ててもらった恩」とやらを返す為にそれはそれは搾取された。
 その毒親、毒家族から逃げ出したのが30歳の時。そして遠くて一人暮らしを始め、やっと自分の趣味を持てたのがサブカルチャーの深い所。

 腐った、腐女子だった。

 誰も止める事もない、素晴らしい世界に没頭した……特に大好きだったのは乙女ゲームの癖に2次創作が激アツだった「トランプる~ジョーカーは勘違い聖女?!~」だった。4種類のスートの家と王家で5人の攻略対象者。そしてそれぞれの家にいるキング(国王じゃなくて、通称ね)、クイーン、ジャック、そしてエースのサブ攻略者。あー好き。大好き。世界観事尊い。

 そんで激しい課金の嵐。運営マジ金の亡者?!かと思ったんだけど、毎回神アイテムの配布にトラ畜(トランプるを熱愛する運営の家畜のような我々庶民)は湯水のようにお金を注ぎ込んで行ったわ。

 ありがとうございます!ボーナスも残業代も全部よ!でもありがとうございます!!私はとても幸せだった。


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