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29 せっせと働くぞ
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急ぐけど慎重に……毎日かなりの間殿下の頭に潜り込んで、瘤を隔離した。血管からぼっこり飛び出た所をチクチク、チクチク縫い合わせて孤立させたんだ。次は縫った所を治して完全に血管をまっすぐにしてから、瘤を砕いていく。こいつがなくなれば頭痛は止まるはず。
「シャトルリア様、そろそろ今日は限界です」
「ん……」
宰相に呼び戻されて、殿下の中から引き上げる。うん……だいぶ疲れが溜まってる……ゆっくり眠りたい。行ったり来たりすると本当に疲れる。シャトルリアの体に戻ったらクラクラと目の前が揺れて立ち上がれなかった。
「このまま続けるとあなたが……戻ってこれなくなる」
そうしたらシャトルリアの体は死んでしまう……それは良くないな。
「少し……明日は治療をお休み……しよう……」
「シャトルリア様っ!」
俺はそのまま気を失って眠ってしまったらしい。良かった体に戻ってからの寝落ちで。戻る前に寝たら危なかったぜ。俺は三日間眠り続け、起きたら頭がぼーっとしてた。最近何をしていたか暫く思い出せなかった。宰相さんがやって来て挨拶を交わしてやっと思い出した。
「ホルランド様のご様子は?」
「あなたを探して泣いておられますよ」
「あはは……早く行ってやらなきゃ」
子供の頃ですらそんなに甘えん坊じゃなかったぞ? 寝ていた元の自分の寝室から出て、ホルランド様の部屋の扉をノックするとすぐに扉は開く。中からホルランド様の俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「シャト、どこ……シャト……シャト……」
「ごめんなさい、寝坊しました」
「シャト、シャト! 聞いてシャト。少し頭が痛くなくなったよ。今までズキンズキンってしてたのがね……」
ホルランド様は少し元気になった。血管から切り離したから、血が通わなくなった瘤はちょっとづつ小さくなっているのだろう。小さくなれば押していた場所が解放される。だから痛みが減る。良かった、成功してる。
「じゃあ治って来たか見てきますね。ホラン、眠れますか? 大人しくしててくださいよ?」
「シャトが傍にいてくれるなら静かにしているよ」
「いますよ、ここに」
手を握ると、弱弱しいけれど握り返してくれた。ああ、やっぱり回復傾向にある、良かった。にょろん、と中にはいる。するとシャトルリア本体は力が抜けくったりと横になってしまう。それを宰相は倒れないように支えてくれる……そうして俺は殿下の頭の中へ入って行く。
やっぱり瘤は小さくなってきている。そいつを端から壊して行く。壊したゴミは……砕いて砕いて小さくして血管から流してしまう。あれだけ小さければ引っかからず流れて行ってくれるだろう。そして老廃物として体の外に排出されて行く。そして結構長い間圧迫されて変形してしまった脳みそにヒールをかけてみたり、撫でたり突いたりしながら形を元に戻るようにしてみる……うん、邪魔者がいなくなってちょっとづつ元に戻ってるみたい。
でも赤くなって腫れているから油断はできない。いい子いい子って撫でてやる。そのまま元気になるんだぞって応援すると素直なもんで回復に向かっていくんだ。イールンの時もそうだったけど、結構回復していくんだよね。あと同じような異常がないか見て回ると……小さいのがあと3個もあってぎょっとした。全部なんとかしておかないとこれが大きくなったらまた頭痛がする! せっせと俺は働いた。血管から切り離して孤立させ、小さくする作業を今日も頑張ったぞーい!
「シャトルリア様、そろそろ今日は限界です」
「ん……」
宰相に呼び戻されて、殿下の中から引き上げる。うん……だいぶ疲れが溜まってる……ゆっくり眠りたい。行ったり来たりすると本当に疲れる。シャトルリアの体に戻ったらクラクラと目の前が揺れて立ち上がれなかった。
「このまま続けるとあなたが……戻ってこれなくなる」
そうしたらシャトルリアの体は死んでしまう……それは良くないな。
「少し……明日は治療をお休み……しよう……」
「シャトルリア様っ!」
俺はそのまま気を失って眠ってしまったらしい。良かった体に戻ってからの寝落ちで。戻る前に寝たら危なかったぜ。俺は三日間眠り続け、起きたら頭がぼーっとしてた。最近何をしていたか暫く思い出せなかった。宰相さんがやって来て挨拶を交わしてやっと思い出した。
「ホルランド様のご様子は?」
「あなたを探して泣いておられますよ」
「あはは……早く行ってやらなきゃ」
子供の頃ですらそんなに甘えん坊じゃなかったぞ? 寝ていた元の自分の寝室から出て、ホルランド様の部屋の扉をノックするとすぐに扉は開く。中からホルランド様の俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「シャト、どこ……シャト……シャト……」
「ごめんなさい、寝坊しました」
「シャト、シャト! 聞いてシャト。少し頭が痛くなくなったよ。今までズキンズキンってしてたのがね……」
ホルランド様は少し元気になった。血管から切り離したから、血が通わなくなった瘤はちょっとづつ小さくなっているのだろう。小さくなれば押していた場所が解放される。だから痛みが減る。良かった、成功してる。
「じゃあ治って来たか見てきますね。ホラン、眠れますか? 大人しくしててくださいよ?」
「シャトが傍にいてくれるなら静かにしているよ」
「いますよ、ここに」
手を握ると、弱弱しいけれど握り返してくれた。ああ、やっぱり回復傾向にある、良かった。にょろん、と中にはいる。するとシャトルリア本体は力が抜けくったりと横になってしまう。それを宰相は倒れないように支えてくれる……そうして俺は殿下の頭の中へ入って行く。
やっぱり瘤は小さくなってきている。そいつを端から壊して行く。壊したゴミは……砕いて砕いて小さくして血管から流してしまう。あれだけ小さければ引っかからず流れて行ってくれるだろう。そして老廃物として体の外に排出されて行く。そして結構長い間圧迫されて変形してしまった脳みそにヒールをかけてみたり、撫でたり突いたりしながら形を元に戻るようにしてみる……うん、邪魔者がいなくなってちょっとづつ元に戻ってるみたい。
でも赤くなって腫れているから油断はできない。いい子いい子って撫でてやる。そのまま元気になるんだぞって応援すると素直なもんで回復に向かっていくんだ。イールンの時もそうだったけど、結構回復していくんだよね。あと同じような異常がないか見て回ると……小さいのがあと3個もあってぎょっとした。全部なんとかしておかないとこれが大きくなったらまた頭痛がする! せっせと俺は働いた。血管から切り離して孤立させ、小さくする作業を今日も頑張ったぞーい!
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