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「……まあ、しょうがねえか」

 また足に鎖が付いている。あの扉の中に入ってしまうと生きている人間じゃ引き出せないから、だそうだ。
 特に何も言われていないから、俺の作業部屋の扉を作って中で作業を始める。

「団長さん、死んじゃったね」

「ああ、まさか帰国の気の緩みとユーリの手引きがあったなんてな」

 苦笑して団長の魂がふわふわと浮いていた。

「どうします?復讐とかしますか?」

「いや、要らないよ。ユーリも死んでしまったしな。あー少しのんびり出来ると思ったらコレかぁ」

「じゃあ次は農夫とかします?」

 のんびり、牛とかを育てて暮らすなんて……。

「似合わねえな!」

 ははっ!俺もそう思った。

「騎士としての生き方は俺に合っている気がする。でもあまり戦争が続くところには行きたくないな……遠く離れた国へ行きたい」

「行く先は俺じゃどうしようもないんで、神様にお願いするしかないんですよ。俺がいじれるのはスキルくらいなんで……」

 マークス団長は流石に良いスキルを持っている。剣の才に指揮官、カリスマ、礼儀作法は2だな。人たらしが4だ。なるほど、好かれる訳だよ。

「このままにしておきましょうか?」

「ああ、このままでいい。次は会う事がないだろうけど、元気で生き抜けよ、ナナ」

「ありがとう、団長さん」

 神様へ渡すメモに一応書き加えて置く。遠くのあまり戦争がない国へ行きたいと希望があります、と。

「そうだ、ナナ。もし俺の家に行く機会があったら、玄関のランプの下を外したら中に鍵がある。それで入っていいぞ。荷物はお前にやろう。金も結構あったからな、保管庫の番号は……」

「あ!待って待って!メモします!」

 俺はマークス団長の遺産を全部受け取る事になったが、家に行くことはあるかな……分からないや。

「お前、かなり良かったからな!尻は大事にしろよ!」

 余計なアドバイスまでもらってから、颯爽と青い風船に掴まって団長は上へあがって行った。

「次は私ですよね?」

「お待たせしましたー。ロベル副団長」

「早くしろー皆待ってるからなー!」

 騎士団は20人いたからあと19人待ちなんだ。みんな裏切られたショックで眠っていないから暇してたみたいだ。流石にユーリの魂は皆になじられてるけど、しょうがないよね~。

「私はこの付近にまた来たいですね。今度は軍属じゃなくて、王宮に仕えたいです。戦場はやはりあまり得意じゃない……」

「なら貴族に生まれないといけないですね。伯爵以上をつければ確実ですけど……かなり能力が減ると思いますけど良いですか?」

 俺はロベル副団長と話を始めたけど、外野がうるさすぎる……!

「副団長、先にアレやっちゃっていいですかね?」

「ふふ、構わないよ。我が団だしねえ」

 副団長に断りを入れて、先にうるさいのを片付けることにした。

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