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47 ワシ、面倒事は好かん

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 以前のダグラス・バンドールならしない事だろうけど、ワタシが入ってさらに若返った新生ダグラス・バンドールは気づいてしまったのに見なかった振りは寝覚めが悪いと言うものだ。
 教会の奴らが殿下のご機嫌取りに忙しい隙を見計らってスッと気配を消す。おお、上手いぞワシ。こう言う事は出来るんだなぁ~!

 そのまま二階へ上がる階段を見つけ静かに上がって行くと、ああ、いるいる。

 痩せ過ぎて不健康な子供、病気で寝込んでいる子供。小さすぎる、あるいはもう大人になりかけている少女。どんな奉仕をさせられているのか、まあお察しだ。とは言え、全員は保護できん。

「おい、お前達の中でヤバい女の子と男の子を一人づつ拾ってやる誰がヤバいんじゃ?」

「ひっ?!」

 ワシが突然声をかけたもんで、子供達はびっくりしたが、顔を見合わせてからすぐに答えた。

「お、男の子はルーク!咳が止まらないんだ!」

「女の子はアンナ!よ、夜に……ううっ」

「……そうか」

 そして二人にハンカチを渡す。バンドール家の家紋が入ったハンカチだ。

「明日、誰かよこすから、その時にハンカチをと聞かれたら……」

「わ、分かりました」

 二人に耳打ちをし、

「すまんな、全員は無理だが少しは改善できるよう、手は尽くしてみよう」

「あ、ありがとうございます!」

 そして何食わぬ顔で戻って来る。

「ダグラス様!一体どこへ行っていたのですか!」

 殿下がワシにまとわりつくので、そこでやっとワシに目を向けたと言う感じの神父。はぁ、教会の孤児院とはこんな感じのばかりなんじゃろうか。
 ワシは奉仕活動とか全く無関心であったからなぁ。ここからやるしかあるまい。

「少し庭を見ていただけですよ、殿下。庭を畑にでもすれば少しは食べ物も増えるでしょうに」

「ダグラス様。この辺りの協会は国からかなりの補助金が出ておりますから、その辺りは問題ないかと」

「ほう」

 ならば隠されている痩せ細った子供達はなんだろうなぁ?しかも収容人数よりかなり多くの子供達がいるみたいだし、職の斡旋も行われていないようじゃのう。

「ならば使なのですね」

「勿論ですとも!」



 さぁて、誰が悪いんじゃろうか?

「それは教会の責任者の方と監査官でしょうね」

「ほう?」

 ちらりと神父の方を見ると、にこにこと人の良さそうな顔を崩さないが、胸の前に組んだ手が忙しなく組み替えされている。
 外したんだろうが、いつもごつい指輪でもしているんじゃろうな、跡が消え切れておらんわ。
 うん、クロじゃな。あと、その腹の脂肪が何よりの証拠じゃろて。カナン並みじゃのう。

「……ダグラス様?」

 ワシの顔を覗き込んでくる殿下になんでもありませんよ、と返す。

 もし、この広い王都にあちこちにある教会が運営している孤児院が全部こうなのであれば、大問題になるじゃろうなぁ。
 面倒くさい予感にワシは平静な顔の裏側でもう一度うーん、と唸ってしまった。


 
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