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34 両親が来ましたわ

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「ママママママルグリッド様が来るーーーーーーー!?」

 その悲報は王宮を駆け巡り、まるで蜂の巣を突いたような大騒ぎに変わった。そんな騒ぎは私は知らないけれど、お父様とお母様が仲良くやって来られた。

「うふふージョージ、早く早くー!」

「ははは、マギーは早いなあ~!」

 なんとお二人は荷物は最低限で馬の背に乗って走っていらした……。やけに早いと思ったのよね。そして何故か貴族の屋敷が立ち並ぶ高級住宅地の高級そうな家がロンド邸になっていて、中はきれいに整えられていたし、執事やメイドも揃っていて

「お帰りなさいませ、ご主人様」

 と、お迎えまであった。おかしいわね……ウチにこんなすごい家を買うお金なんてなかったはずなのに??

「久しぶりに馬をかっ飛ばしたら楽しかったわぁ!」

「いやあしかし、私はなまってしまったようだ。太ももが痛いよ」

 お父様とお母様は今でも仲が良くてどこでもイチャイチャしていらっしゃる。それにしてもあの田舎のロンド領から……一週間ほどでやって来られたのかしら……?馬車で20日以上かかる場所よ……?

「私もよ、もっと遠乗りしましょう、ジョージ」

「そうだねえ、帝国の端まで走ってもいいかもね」

「あらいいわね!」

 他国へは行かないで下さいませ。本当に私の両親は凄くて私はまだまだね、と思ってしまいます。

「詳しい事を聞いていいかしら?マリー」

「ええ、お母様」

 私は入学してからの事をかいつまみつつ、お母様に全て話してしまいます。何も隠す事なんてありませんしね。

「うわあ、これがインクをかけられたブラウスかい?なんて物を大切にしないコが多いんだ」

 お父様がまだら色のブラウスを持ち上げて驚いていらっしゃいます。全くその通りですね。

「女子のいじめは陰湿なものが多いけれど、ブラウスが20枚近くまだらだなんて。この国の学園の質は悪いわねえ。転校しましょうか?」

「友達が出来たのです。下位クラスなのですけれど、とても良い子達です……下位クラスは変な人もいましたが、仲良くやっていました」

「成程、あの王に近しい上位貴族達はゴミカスって事ね。やっぱりあの時お兄様にこの国を併呑して貰えば良かったかしら?ねえジョージ」

「うーん、そうだねぇ。今ならロンド領もしっかり纏まってるし、あのバラもきちんと植え替えもした。我らが王とは言え、ここ数年何もしてないし賛成したくなるね」

 呑気な笑顔で言わないで下さいませ、お父様。貴方様が止めずに誰が止めると言うのですか?むしろお父様しかお母様を止められないと言うのに!


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