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47 こいつ優秀か?
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「そういえば君は……聖騎士団長の……」
「あ、はい……」
詳しく語ることは何もない。この国のお偉いさんはどうでも良い平民の初級治癒術師マークとエリート聖騎士のフロウライト・アイアンメイデンがお付き合いすることを望んでいない、当たり前だな。エリート貴族はエリート貴族と結ばれるべきとほぼ全員が思っている。
王太子もそう考えているかどうかそこまでは興味がなかったから知らないし、興味もなかった。好きなように思ってくれ、俺も好きにする。
「君、ずぶ濡れじゃないか。それに随分ぼろぼろだ……そうか」
「えっと……」
わざと木や枝に引っかかりながら逃げたからあちこちが破れていたり、葉っぱがついてたりする。きれいに逃げる訳には行かないからな。どうやらその辺の平民の事情も察してくれたようで、秀麗なお顔の眉間に皺が寄った……はあ、立派な王太子様らしい反応。素晴らしいんじゃないかな? ウィントン王太子は。
「そのままでは風邪をひく。誰か、聖騎士団長殿に伝言を」
ちょうど通りかかったメイドに言伝をしている……普通に常識のある奴だ。そうだね、まずはフロウライトに知らせるべきだもんね。でもそろそろ飽きた俺は帰りたい、フロウライトを置いてでも帰りたいのだ。
「あ、あの!大丈夫、ですから。わ、私はもうお暇させていただきますし」
「そんな姿のまま帰させる訳には行かないですよ。何か着替えを……君、結構背が高いですね」
「本当に大丈夫です、帰ります」
「待って。せめて服だけでも」
「だ、大丈夫です」
脱ぐ訳にゃいかんのだ。おっぱいがぱっつんぱっつんだからだけじゃない。毎日フロウライトと噛んだり吸ったりじゃれてた痕が残ってるからでもない。その辺りはマークでも誤魔化せる。
それよりなにより身体中にある古傷だ。最近はケガをすることは殆どなくなっているが、若い頃必死で生きていた凛莉師匠の身体中は大小数え切れないほどの傷がある。厳しい訓練や命がけの戦闘で傷ついた体、幸か不幸か生き残り、今の地位についた証。俺には実感がないまるで本に書いてあった物語のような記録。
それを何も知らない人に見せるわけにはいかない。
「こんな所にも」
「こら、舐めるな」
文字通り傷を舐め合って遊んだこともある。フロウライトだって沢山の怪我をした跡があって、お互い様だから気にすることはない。でも街にいつもいる初級治癒術師がこれではどう言い訳したら良いかさっぱり見当もつかない。
「……よく見ると結構背も高いし、体もしっかりしている?君、本当に治癒術師かい?」
「し、失礼しますっ!」
眼鏡はしっかりかけている。王太子は真実を見破る目を持った稀な人物のようだ……まずいな、こいつ優秀だぞ。さっさと離れるに限る。マークには何か秘密があると知られる前に逃走しよう。
身を翻す俺の腕を掴もうとするのをスルリと交わし走りだそうとしたが、パーティ会場の方から悲鳴と怒声が聞こえて来た。なんだ?面倒くさい。
「何だ?!」
「……」
瞬間、耳を澄まして聴覚だけを意図的に引き上げる。悲鳴、泣き声、毒?……刺客。ふむ? 国王が毒を飲まされ、会場には毒の霧、数人の刺客が紛れ込んだというところかな?刺客の数は多分六人、毒の煙は麻痺狙い、痺れ茸系の植物毒のブレンドって所か。貴族相手の拡散系、一般人なら苦しむだろうけれど。
フロウライトにゃ効かんな。ほっとこ。
「殿下!こちらにおられましたか!刺客です、すぐに避難を、あ」
ざっと暗がりがから王家の影の一人が飛び出て来て報告をしている。そして「あ」じゃねーよ、「あ」じゃ!何、世界一安全な場所でしたか、失礼しましたみたいな顔してんの?! やめてくんない?? 俺はただの治癒術師だっつーの。
「刺客?! 父上は!」
「ど、毒を盛られ……今、治療に」
おい、こっちをチラ見すんな! 解毒もお前達の仕事だろう! 俺はちゃんとしっかり教えたからね?!ちょっと様子を見て欲しいなーみたいな視線を投げかけるのやめなさい。
「私も行こう」
「いけません! 御身は大切、ここにい」
おいっ!
「すぐ避難しましょう!」
ここにいたら安全じゃないからね?! 俺は護衛任務なんて受けてないし、ただの治癒術師だから王太子が襲われたって知らないよ! 助けたりしないからね!
「マークっ!」
「あっ」
その混乱を知ってか知らずか分かりやすい長身が凄い勢いで駆けてくる。いつもの分厚い立派な鎧は脱いできらきらした礼服に身を包み……うん、男前が一段とアップしてるねぇ~かっこいい!きゃー素敵ー!
「済まない、邪魔に邪魔を重ねられ戻って来られなかった」
「大丈夫ですよ」
「すまん……」
まあ俺の格好を見てだろうけど、しょんぼりと眉が下がってしまった。こうなることは事前に了承済みだから特に問題はないんだけど、やはり実物を見ると罪悪感があるんだろうなぁ。可愛い奴め。
「聖騎士団長! 父上は、会場は?!」
「殿下、私は今日は非番でして、警備はすべて王宮騎士団の取り仕切りです。部外者が口を挟む所ではありませぬ故分かりません」
「そんなことを言っている場合ではなかろう!」
物凄く分かりやすい仏頂面をフロウライトは作り出し、王太子殿下の質問を突っぱねてしまった。あっあー……ひっさしぶりに石頭モードが炸裂した。はは、俺を無碍に扱う奴らに相当切れてんだろうなぁ、やっぱり可愛い奴だ。
「あ、はい……」
詳しく語ることは何もない。この国のお偉いさんはどうでも良い平民の初級治癒術師マークとエリート聖騎士のフロウライト・アイアンメイデンがお付き合いすることを望んでいない、当たり前だな。エリート貴族はエリート貴族と結ばれるべきとほぼ全員が思っている。
王太子もそう考えているかどうかそこまでは興味がなかったから知らないし、興味もなかった。好きなように思ってくれ、俺も好きにする。
「君、ずぶ濡れじゃないか。それに随分ぼろぼろだ……そうか」
「えっと……」
わざと木や枝に引っかかりながら逃げたからあちこちが破れていたり、葉っぱがついてたりする。きれいに逃げる訳には行かないからな。どうやらその辺の平民の事情も察してくれたようで、秀麗なお顔の眉間に皺が寄った……はあ、立派な王太子様らしい反応。素晴らしいんじゃないかな? ウィントン王太子は。
「そのままでは風邪をひく。誰か、聖騎士団長殿に伝言を」
ちょうど通りかかったメイドに言伝をしている……普通に常識のある奴だ。そうだね、まずはフロウライトに知らせるべきだもんね。でもそろそろ飽きた俺は帰りたい、フロウライトを置いてでも帰りたいのだ。
「あ、あの!大丈夫、ですから。わ、私はもうお暇させていただきますし」
「そんな姿のまま帰させる訳には行かないですよ。何か着替えを……君、結構背が高いですね」
「本当に大丈夫です、帰ります」
「待って。せめて服だけでも」
「だ、大丈夫です」
脱ぐ訳にゃいかんのだ。おっぱいがぱっつんぱっつんだからだけじゃない。毎日フロウライトと噛んだり吸ったりじゃれてた痕が残ってるからでもない。その辺りはマークでも誤魔化せる。
それよりなにより身体中にある古傷だ。最近はケガをすることは殆どなくなっているが、若い頃必死で生きていた凛莉師匠の身体中は大小数え切れないほどの傷がある。厳しい訓練や命がけの戦闘で傷ついた体、幸か不幸か生き残り、今の地位についた証。俺には実感がないまるで本に書いてあった物語のような記録。
それを何も知らない人に見せるわけにはいかない。
「こんな所にも」
「こら、舐めるな」
文字通り傷を舐め合って遊んだこともある。フロウライトだって沢山の怪我をした跡があって、お互い様だから気にすることはない。でも街にいつもいる初級治癒術師がこれではどう言い訳したら良いかさっぱり見当もつかない。
「……よく見ると結構背も高いし、体もしっかりしている?君、本当に治癒術師かい?」
「し、失礼しますっ!」
眼鏡はしっかりかけている。王太子は真実を見破る目を持った稀な人物のようだ……まずいな、こいつ優秀だぞ。さっさと離れるに限る。マークには何か秘密があると知られる前に逃走しよう。
身を翻す俺の腕を掴もうとするのをスルリと交わし走りだそうとしたが、パーティ会場の方から悲鳴と怒声が聞こえて来た。なんだ?面倒くさい。
「何だ?!」
「……」
瞬間、耳を澄まして聴覚だけを意図的に引き上げる。悲鳴、泣き声、毒?……刺客。ふむ? 国王が毒を飲まされ、会場には毒の霧、数人の刺客が紛れ込んだというところかな?刺客の数は多分六人、毒の煙は麻痺狙い、痺れ茸系の植物毒のブレンドって所か。貴族相手の拡散系、一般人なら苦しむだろうけれど。
フロウライトにゃ効かんな。ほっとこ。
「殿下!こちらにおられましたか!刺客です、すぐに避難を、あ」
ざっと暗がりがから王家の影の一人が飛び出て来て報告をしている。そして「あ」じゃねーよ、「あ」じゃ!何、世界一安全な場所でしたか、失礼しましたみたいな顔してんの?! やめてくんない?? 俺はただの治癒術師だっつーの。
「刺客?! 父上は!」
「ど、毒を盛られ……今、治療に」
おい、こっちをチラ見すんな! 解毒もお前達の仕事だろう! 俺はちゃんとしっかり教えたからね?!ちょっと様子を見て欲しいなーみたいな視線を投げかけるのやめなさい。
「私も行こう」
「いけません! 御身は大切、ここにい」
おいっ!
「すぐ避難しましょう!」
ここにいたら安全じゃないからね?! 俺は護衛任務なんて受けてないし、ただの治癒術師だから王太子が襲われたって知らないよ! 助けたりしないからね!
「マークっ!」
「あっ」
その混乱を知ってか知らずか分かりやすい長身が凄い勢いで駆けてくる。いつもの分厚い立派な鎧は脱いできらきらした礼服に身を包み……うん、男前が一段とアップしてるねぇ~かっこいい!きゃー素敵ー!
「済まない、邪魔に邪魔を重ねられ戻って来られなかった」
「大丈夫ですよ」
「すまん……」
まあ俺の格好を見てだろうけど、しょんぼりと眉が下がってしまった。こうなることは事前に了承済みだから特に問題はないんだけど、やはり実物を見ると罪悪感があるんだろうなぁ。可愛い奴め。
「聖騎士団長! 父上は、会場は?!」
「殿下、私は今日は非番でして、警備はすべて王宮騎士団の取り仕切りです。部外者が口を挟む所ではありませぬ故分かりません」
「そんなことを言っている場合ではなかろう!」
物凄く分かりやすい仏頂面をフロウライトは作り出し、王太子殿下の質問を突っぱねてしまった。あっあー……ひっさしぶりに石頭モードが炸裂した。はは、俺を無碍に扱う奴らに相当切れてんだろうなぁ、やっぱり可愛い奴だ。
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