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15 ちっちゃくなっちゃった
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「うう……苦し……寒い……」
「ルーチェ様……」
でも、セラフィスさんにも遠ざかって貰った。くらくらするけど、更に強く結界を張ってもらう。俺が抑えつける事が出来る量ギリギリの力。
「暴れないで……暴れないで……苦しいよう……」
解放してしまいたい。でもそんなことをしたら一番最初に死んじゃうのはセラフィスさんだ。今も心配そうにほんの少し離れた所から俺を見守っている。そんなのやだ、セラフィスさんを、アドニスをレオニスを聖女の皆を殺したくない。だから頑張る、俺は力を何とか抑えつける……。
「痛いよう……痛いよう……」
早く、早く封印して欲しい。そうしたら痛いとかつらいとなくてただ眠っていればいいだけなのに。こんなに苦しい事もないのに……。神様、神様……約束が違うよ。俺、いつまで頑張ったらいいの……?いつになったら封印できる人が現れてくれるの?
「うう……」
涙がぽろりと落ちてしまった。俺もやっぱりつらいよ……。
『羽佐間さん……いえ、ルーチェ。ごめんなさい、こんなつらい目に合わせるつもりは全くなかったのに』
俺は泣きながら眠って夢の中で神様に会った。もう限界かもしれない……。
『ルーチェ、体を二つに割りなさい。本体と分身を作るんです。本体に力を多く残して、分身で活動をする。そうすればもう少し自由に動けるはず。私から加護も授けます。お願いです、何とか、何とか持たせてください』
『分かり……ました……』
朝早く目覚めると、俺が見える場所で皆が眠りこけていた。毛布を被って、きっと俺が暴走しないかどうか見張っていたんだろう……違う、きっと泣いている俺が心配で離れられなかったんだ……でも近寄ると危ないからギリギリの位置で。ありがとう、まだ頑張れるよ。
神様に言われた通り、俺は分身を作れるか試してみた。ほとんどの力を本体に、ほんのちょっとの力を分身に。
「わわ、出来たでしゅ……うみゅっ!小っちゃくなりしゅぎた!」
なんと舌っ足らずな!これは恥ずかしいぞ!俺の声を聞きつけて、セラフィスさんがうーん、と目を覚ました。
「わっ!ルーチェ様が縮んでる!」
「あわっ!こ、これにはふかいわけがありましゅて!」
「深い訳……あれっ!?ルーチェ様が二人になっている!」
本体の方は結界の中で眠っている。
「じつはですね、かみしゃまにいわれまして。こっちが分身でしゅて、本体からちょびっと力を持ってきてるので……きけんじゃないでしゅ!」
とてとてと歩いて結界から出る。セラフィスさんの傍によるとばっと抱きかかえられた。
「あにゃ!」
「ルーチェ様!ルーチェ様!ごめんなさい、ごめんなさい!」
「なかないで、しぇらふぃしゅしゃん……」
俺もぎゅっとセラフィスさんを抱きしめ返す。あったかいなあ、セラフィスさんは。俺はもう少し頑張れそうだと思った。
「ルーチェ様……」
でも、セラフィスさんにも遠ざかって貰った。くらくらするけど、更に強く結界を張ってもらう。俺が抑えつける事が出来る量ギリギリの力。
「暴れないで……暴れないで……苦しいよう……」
解放してしまいたい。でもそんなことをしたら一番最初に死んじゃうのはセラフィスさんだ。今も心配そうにほんの少し離れた所から俺を見守っている。そんなのやだ、セラフィスさんを、アドニスをレオニスを聖女の皆を殺したくない。だから頑張る、俺は力を何とか抑えつける……。
「痛いよう……痛いよう……」
早く、早く封印して欲しい。そうしたら痛いとかつらいとなくてただ眠っていればいいだけなのに。こんなに苦しい事もないのに……。神様、神様……約束が違うよ。俺、いつまで頑張ったらいいの……?いつになったら封印できる人が現れてくれるの?
「うう……」
涙がぽろりと落ちてしまった。俺もやっぱりつらいよ……。
『羽佐間さん……いえ、ルーチェ。ごめんなさい、こんなつらい目に合わせるつもりは全くなかったのに』
俺は泣きながら眠って夢の中で神様に会った。もう限界かもしれない……。
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『分かり……ました……』
朝早く目覚めると、俺が見える場所で皆が眠りこけていた。毛布を被って、きっと俺が暴走しないかどうか見張っていたんだろう……違う、きっと泣いている俺が心配で離れられなかったんだ……でも近寄ると危ないからギリギリの位置で。ありがとう、まだ頑張れるよ。
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「ルーチェ様!ルーチェ様!ごめんなさい、ごめんなさい!」
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俺もぎゅっとセラフィスさんを抱きしめ返す。あったかいなあ、セラフィスさんは。俺はもう少し頑張れそうだと思った。
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