【完結】良い子な邪神に転生した俺は強すぎて封印不可?頑張って封印されます!

鏑木 うりこ

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44 狸のお耳のお帽子を

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「お恥ずかしながら、我が国ルベルトは……何もなく……とても貧しい国です。冬は寒く、夏は短く。それでも私は祖国の事を愛しています」

 ミレニア様は、暖かい目をしている。こんなことを言う一国の姫は初めて見た。皆、邪神と聞けば眉を顰め、絶対に自国へ近づけてなるものかとけん制するのが普通であるのに。

「実はですね、このパーティが始まる前に、中央神殿へ寄ってみたのですよ。そしたら中庭でお昼寝をする少年をちらりと拝見いたしまして。ああ、あの方がルーチェ様なのだなってすぐに分かりましたわ」

「ミ、ミレニア様は……何故、そのような事を……?」

 美しい人はにこりと笑ってから、少し首を傾げて「信じられないかもしれませんが」と前置きをした。

「夢で……中央神殿へ行くようにと、言われた気がしたのです。そして真実をその目で見よと。とてもお可愛らしい方で驚きました。ふわふわの羊のような服を着ていらして、撫でてみたかったですわ」

「ミ、ミレニア様~~!そうなんです、あの服は聖女の一人が作っているらしくフワフワしていて、暖かいそうですよ!」

「まあ!暖かいなんて素敵ね。もし我が国へいらっしゃっても冬の寒さもしのげるかしら?」

 ころころと少女のように笑い、ミレニア様はとんでもない事を口にした。この人は、邪神であるルーチェ様を、わが国へいらっしゃっても、と呼び寄せるようなことをおっしゃるのだ。何故だ!?
 私が向ける不審な目をもにこりと笑ってしまうミレニア様。

「ええ、そうなのです。のよ」

「!?」

 信じられない言葉と共に、私はミレニア様のこの笑顔に心をわしづかみにされてしまった気がした。

「ミレニア様、もし、もしですよ。ルーチェ様がルベルトへ引っ越したいと言われたら……」

「わたくし、あの方の力になりたいと思っておりますので、嬉しいですわ。国民からもしかしたら反対が出るかもしれませんが我が国土は実は広いのですよ。雪と氷におおわれて人が住めぬ場所ですが……」

「素晴らしいです!」

 思わずミレニア様の両手を熱く握りしめてしまった……かなり破廉恥な事をしてしまったが、ミレニア様はまたあの輝くような笑顔で

「レイシャル様は本当にルーチェ様の事を可愛がっておられるのですね!分かりますわ。わたくし、こう見えても毛糸の編み物が得意でして、あの方にお帽子を作って差し上げたいですわ。こう……狸のお耳なんかついてるの」

「可愛すぎです!ミレニア様!」

 思わず私は一国の姫君と熱く語りあってしまったのだが、これも若干まずかった。この様子を父上と兄上が見ていたのだ。厄介払いも兼ねて、私はミレニア様と婚約をする事となり、大して間も置かず、ルベルトへほぼ強制的に送られてしまう事となったのだった……。


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